フィジオセラピストに聞こう!/スポーツ中の脳震盪

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!


第61回 スポーツ中の脳振盪

最近では映画でも取り上げられるようになった若年性アルツハイマー。その原因の1つにスポーツ中の脳振盪(のうしんとう)が挙げられています。脳振盪の危険性は長らく問題視されてきました。しかし、選手の気持ちを優先し、症状が出てもプレーを続行させることが現場では当然のように続きました。現在、脳振盪と若年性アルツハイマーの強い因果関係が認められつつある中で、脳振盪のさまざまな症状への迅速な正しい対処は、選手生命とその後の人生までをも大きく左右します。選手に水をかけほおを叩き、試合を続けさせるのは漫画の世界だけにしなければなりません。

脳振盪とは

脳損傷の1種で、頭や首を主に体を強打した際、頭蓋骨の中で脳が揺れたりねじれたりし、脳細胞がダメージを受けることを言います。スポーツ中の脳振盪と聞くと、プレー中に選手が意識を失ってしまうことを想像しがちです。実際は他にも、混乱、記憶障害、バランス感覚の低下、頭痛、目まい、気分の落ち込み、音に過敏になるなど症状はさまざまです。接触直後や試合後でもこの様な症状が出た場合、脳振盪を疑う必要があります。プレー中であれば速やかに退場し、首への強い痛み、悪化する頭痛、精神錯乱や興奮状態、繰り返し嘔吐する、複視、手足のしびれや弱化など、これらの症状が深刻な場合は直ちに救急病院に行きましょう。

脳振盪の管理法

脳振盪と診断された、または疑いのある場合、運転・飲酒は控えましょう。普段から服用している薬がある場合は直ちにGPで服用の可否を確認します。処方箋不要の薬でも医師の判断を仰ぐのが良いでしょう。そして、症状次第では体と頭と心をゆっくり休めるため学校や仕事を休むことが望ましい場合もあります。脳振盪は多くの場合7日から10日程で改善します。全ての症状が落ち着き24時間以上待ってから、徐々にリハビリを行います。

18歳以下の選手は特別

18歳以下の選手は体も成長途中で脳振盪になりやすく、回復まで更に長い時間を必要とします。学校側と相談し、休憩を頻繁に取り入れる、課題の提出時間を延長するなど柔軟に対応することが大切です。全ての症状が落ち着いてから選手同士の接触プレーがある練習に戻るまで14日以上かけるようにし、再発防止に努めましょう。

フィジオセラピーでは

さまざまな症状が見られる脳振盪ですが、フィジオセラピーではその中でも特に首のけがや頸椎性頭痛を治療し、バランス感覚のリハビリを行います。そして、最高のパフォーマンスができる状態に回復するまで体力を強化させながら安全にアシストしていきます。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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