フィジオセラピストに聞こう!/梨状(りじょう)筋性坐骨神経痛

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!


第64回 梨状(りじょう)筋性坐骨神経痛

出典:Essential Anatomy 5
出典:Essential Anatomy 5

今年に入ってすぐ、64歳の母が緊急入院しました。臀部から腰部への激しい痛みが原因らしく、特に治療も無いまま3日で退院しました。母は入院当日、葬式の受付を手伝っており、久しぶりにヒールの高い靴を履き立った状態で多くの弔問客にお辞儀を繰り返していたようです。受付を手伝い始めて1時間程で左臀部の辺りから、もも裏、ふくらはぎやつま先までピリピリとした痺れと痛みが出て、そのうち立っていられなくなり入院となりました。腰椎の椎間板ヘルニアか神経根の狭窄症からくる坐骨神経痛との疑いがあり、腰椎MRIを撮りましたが異常はなく、今回は梨状筋性の坐骨神経痛、または梨状筋症候群だったと考えられます。

梨状筋と坐骨神経

坐骨神経は腰椎から左右1本ずつ、臀部の大臀筋、梨状筋の下を通ってひざ裏に向かって伸びています。ヒールの使用や前傾姿勢など梨状筋の緊張を高める姿勢をしていると、緊張した筋肉により坐骨神経が圧迫され神経の炎症を引き起こし、臀部からつま先まで痺れや痛みを生じさせます。

そして、10人に1人の割合で坐骨神経が梨状筋中を貫通していると言われています。今回の場合だと、お辞儀などの臀筋群に負担のかかる動作を繰り返していると梨状筋が坐骨神経を頻繁に狭窄させる(狭める)ので梨状筋性の坐骨神経痛が発症しやすくなります。もし、痛みが出てしまった場合は、以下の対処法または治療法を取りましょう。

痛みへの対処法・治療法

① いすに座る時は硬めで厚みのあるクッションを用い、ひざが股関節より低くなるように座る。
② 床に座らない(体育座り、あぐら、正座など)。
③ 臀部をボールや手で軽くマッサージする。
④ 臀部のストレッチは悪化する可能性があるので、フィジオセラピストの指示に従う。
⑤ ウォーキングは短い距離を頻繁に行い、上り坂は避ける。水中ウォーキングは安全で効果的。
⑥ 臀筋を強化することで再発を防止する。⑦通常3週間から6週間くらいで痛みは落ちつくが、薬の使用は医師の指示に従う。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る