フィジオセラピストに聞こう!/赤ちゃんに良い抱っこひも

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!


第65回 赤ちゃんに良い抱っこひも

赤ちゃんにとって心配なある症状

「赤ちゃんに良くて、動きやすく疲れない抱っこひもはないですか」。出産を控えた方々から最もよく聞かれる質問の1つです。そして、良い抱っこひもを選ぶことは赤ちゃんの将来にとって非常に重要なことになります。

というのも、オーストラリアでは50人に1人の赤ちゃんが「股関節形成不全症(Hip Dysplasia)」という症状を引き起こすと言われています。股関節形成不全症では、関節音がする、左右の足の長さが異なる、足を引いて歩くなどの症状が見られ、将来的に股関節炎になる最大の要因ともされています。また、症状がひどい人では30代で股関節置換手術が必要になるケースも見受けられます。

股関節形成不全症の人びとを支援する団体「ヘルシー・ヒップス・オーストラリア」によると、同症状にならないためには、特に生後4~6カ月の間が重要とされています。その間に新生児の両股関節をアルファベットの“M”の形に維持することで正しい股関節の形成が促され、股関節形成不全症の予防につながります。

良い抱っこひも・ベビーカー選び

避けるべき姿勢(左)と正しい姿勢(右)(出典:International Hip Dysplasia Institute)
避けるべき姿勢(左)と正しい姿勢(右)(出典:International Hip Dysplasia Institute)

上記を考え、抱っこひもは赤ちゃんを真っすぐな姿勢に保ち、なおかつきちんと両脚を開けるものを選ぶのが良いでしょう。また、肩ひも部分が幅広なものや、腰にベルトがあるものは、長時間抱っこしても赤ちゃんの体重を分散して支えられるため、ご両親にとっても肩こりの予防・軽減になる大きなメリットがあります。

同じコンセプトで、ベビーカーも座面が幅広く、奥行きは浅く、両サイドが開いているシートが好ましいです。また、おくるみで包む場合も下半身は自由に動かせる余裕を持たせることが大切になります。

余談ですが、イギリスの研究では対面式の抱っこひもの場合、赤ちゃんの脳の発育や活動が活発になることが分かっています。

抱っこひもは新生児から数年間にわたり、育児には欠かせないものです。赤ちゃんの成長や利用目的に合わせて、赤ちゃんとご両親にとって最適なものを選びたいですね。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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