フィジオセラピストに聞こう!/ひざの変形性関節痛

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!


第66回 ひざの変形性関節痛

変形性関節症/関節炎(以下OA)は関節に慢性的な痛みがある、もしくは反復的に痛みの出る症状で、オーストラリア全人口の9%、特に65歳以上では50%以上の人が程度の差はあれ患っていると言われています。

近年では質の高い研究結果が多く発表されており、特に膝関節のOAの場合、フィジオセラピー(リハビリを含む)による保存療法が第一の選択であり、コスト・パフォーマンスの面でも優れていると位置付けられています。当院を受診する患者の方々も、手術や薬物療法ではなく保存療法を希望される場合が大多数です。

しかし、OAの治療にはフィジオセラピーによる保存療法が選択肢として説明されないことが未だに多くあります。また、OAの痛みはレントゲンやMRIの結果と往々にして合致しないことが医学的に立証されているにもかかわらず、画像診断を指示される頻度は減っていません。

現状は、整形外科の専門医を訪れ膝置換術などの外科的処置を受けることが一般的です。ところが、アメリカで2013年に革新的な研究結果が発表されました。それによると、膝置換術を受けた30%以上の患者が外科的処置が不必要だった、保存療法を指示されず手術のみが解決策だと思い込んでいた、術後15~30%の患者に機能改善が見られなかった、ということです。

代表的な保存療法(リハビリ)

まず痛みの原因である炎症を止めるため、GPに消炎剤の処方をしてもらいます。炎症とそれに伴う痛みが筋力を更に弱化させてしまうためです。この際、フィジオからマニュアル・セラピー(手技療法)を受けることは、痛みの緩和と可動域の改善に効果的です。

次に、筋力強化のための運動を行います。筋力をしっかりと付けるためには週3~4回(ほぼ毎日を目指しましょう)のエクササイズが効果的です。膝に全体重がかかるウォーキングやスクワット、階段昇降はこの段階では避け、室内自転車や浮力を受けて歩ける水中ウォーキングなどから始めましょう。筋力と可動域の回復に応じて、スクワットなど負荷のかかる運動に進展させ、筋力を更に強化することで再発の予防になります。

保存療法(リハビリ)は、もちろん瞬時に症状が改善されるわけではありません。患者自身がより高いレベルのクオリティー・オブ・ライフを欲し、積極的にリハビリに取り組み、継続することで高い効果が得られるのです。同時に、頑張り過ぎは禁物で、自分に合った最善かつ継続可能な運動療法に、フィジオセラピストと相談しながら取り組むことが大切です。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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