フィジオセラピストに聞こう!/股関節・太ももの痛み―大腿骨疲労骨折

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!


第67回 股関節・太ももの痛み―大腿(だいたい)骨疲労骨折

朝晩冷え込むようになってきました。ランニングを1年を通してしている人も最近始めた人もいるでしょう。特に冬は大会が多く、トレーニングをして大会に臨む人も多いと思います。けがは通常の運動量(距離、頻度、負荷)が変化した時に起こりやすいので、この時期はけがのリスクも高まります。

オーバーユースによるけが

今回から数回にわたり、さまざまなオーバーユース(使いすぎ)によるけがについてお話しします。今回は股関節・太ももの痛みとして現れる、大腿骨の疲労骨折をご紹介します。

疲労骨折そのものは、ランナーや陸上選手などに多いけがです。全ランナーや陸上選手の実に5人に1人が疲労骨折を経験するとのデータも出ています。疲労骨折はランニングのように同じ動作の運動を繰り返すことによりミクロのレベルで骨に過度の負荷がかかり、ダメージが回復する前に更に負荷がかかることで起こります。一般的には男性より女性が患いやすく、また年齢に関係なく急な運動量の増加は疲労骨折のリスクを格段に上昇させます(ホリデー中は運動を中断しホリデー明けに急激な運動量を行う、また運動不足状態から急激に運動量を増加させるなど)。

大腿骨疲労骨折の症状

大腿骨疲労骨折の症状は、太ももの痛み(46%)、あいまいな股関節の痛み(27%)、内股周辺の痛み(8%)、片足ジャンプをすると痛みが出る(70%)などが特徴です。

急に運動量を増やし痛みが出た場合は、直ちに運動を中止し2~3日運動を控え、それから運動を再開してみましょう。同じように痛みが出る場合は受診し、必要があればMRIスキャンで画像診断を受け、どれくらいの期間安静にすべきか専門家の指示に従いましょう。

出典:Medbridge education John Snyder Stress fractures
出典:Medbridge education John Snyder Stress fractures

この安静期間もフィジオセラピストの指示の下、フィットネス・レベルを下げないために負荷のかからない方法でリハビリを進めます。スイミングや足をつけない水中ランニングなども良いでしょう。早期に診断を受ければ6週間で回復するものですが、診断が遅れると疲労骨折箇所から骨の壊死に至ってしまうリスクもあります。早期に診断を受け治療すればフィットネスの低下は最小限に抑えられ、安全な形でスムーズに運動に復帰出来ます。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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