フィジオセラピストに聞こう!/自律神経失調症と姿勢の関係

フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!

第90回 自律神経失調症と姿勢の関係

「自律神経失調症」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。これは正式な病名ではないですが、誰もが何となく原因不明の体調不良を表現する時に使っている印象を受けます。また、この言葉からはストレスによる心身の不調とそこからの改善には、心療内科での受診や薬物療法を連想する人も多いと思います。

具体的な症状としては、原因不明の胸の痛みやめまい、動悸(どうき)、息切れ、手足の冷え、不眠、食欲不振などが挙げられます。これらの症状があるにもかかわらず、医師の診察を受け異常がないと確認されれば、自律神経の不調に起因すると考えることができます。

自律神経とは何か?

自律神経とは、交感神経と副交感神経で形成されている神経組織であり、全ての内臓に神経のネットワークを張り巡らせ、各内臓の機能を制御しています。交感神経がある内臓にスイッチを入れるとしたら、副交感神経はスイッチを切る役目をしています。交感神経は胸椎(きょうつい)1番~腰椎4番にあり、副交感神経は脳幹で心臓、肺、消化管、膵臓(すいぞう)の活動を制御し、腸骨2番~4番で結腸、肛門、膀胱(ぼうこう)、生殖器の機能を制御しています。

各臓器に対する交感神経と副交感神経の影響は、以下の表の通りです。

【表】各臓器への交感神経と副交感神経の影響

臓器 交感神経 副交感神経
心臓 心拍数の上昇 心拍数の低下
気管支分泌物の低下と気管支拡張 気管支分泌物の増加と気管支狭窄
消化管 消化分泌物と動きの低下 消化分泌物と動きの増加
膵臓 内分泌物の低下 内分泌物の増加

参照: General Anatomy and Musculoskeletal System: Thieme Atlas of Anatomy By: M Schuenke et al, 2006.

交感神経は背中、副交感神経は首

交感神経は背中に集中しているため、姿勢が悪く背中が固くなると、交感神経の機能に影響が出ることがあります。また、猫背になると首や脳幹にも影響を与えるため、副交感神経に作用することがあります。

このような場合、フィジオセラピーでは背中や頸椎(けいつい)を柔らかくするための関節モビライゼーション、背中や首の筋肉のリリース・マッサージ、ストレッチや筋トレを集中的に行います。心身の疲れを、まずはカラダから和らげていこうとアプローチします。背中や頸椎の機能をフル・スペックに改善することで自律神経系の機能改善につながります。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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