フィジオセラピストに聞こう!/帯状疱疹の後のケア

フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!

第91回 帯状疱疹の後のケア

帯状疱疹とは、ヘルペス・ゾスターウイルスが原因で体に発疹が出る症状です。そもそもは過去に、水痘(水ぼうそう)ウイルス(通常は子どもの時)に感染したことに由来します。

帯状疱疹に感染した場合、なるべく早く一般開業医(General Practitioner/GP)で診察を受け、水泡のような発疹が少ないうちに抗ウイルス剤を服用することが大切です。

神経痛で筋肉が弱くなる!

帯状疱疹後の神経痛は、最初の処置が遅れれば後々影響が大きくなります。メカニズムとしては、ヘルペス・ゾスターウイルスが脊椎(せきつい)中から放出され、末梢神経を炎症させ感覚神経に作用し、強い痛みや通常の刺激に対しても極めて敏感になるなどの症状を引き起こします。それが数カ月から数年にわたって続きます。

また、0.17~5パーセントの確率で運動神経にも影響を及ぼします。運動神経に影響が出ると筋肉が弱ってしまうのです。

とてもまれなケースですが、最近この症状の患者さんが来院されました。まだ40歳の若さで、帯状疱疹が出た左半分のみ、げっそりと筋肉が落ちていました。神経痛は、薬によってかなり緩和できます。しかし一度、運動神経に影響が出ると筋肉への伝達が弱くなり次第に筋肉が弱ります。

そもそも神経伝達がうまくできない状態ですので、筋肉を上手に動かすことができず、筋トレも効果が出にくくなります。例えば、10キロの箱を持ち上げようと力を入れたつもりでも、実際にはそれを持ち上げるほどの力が出せず、自分の認識と実際の出力にギャップが生じ驚くことになるのです。もちろん、トレーニングによって筋力は回復するのですが、通常よりもはるかに長い期間が必要となります。

帯状疱疹に関して、弱った筋肉のリハビリ以外はフィジオセラピーの診察領域外です。しかし、発症初期に腰痛、背中の痛みや座骨神経痛だと思い、フィジオセラピーを受診される人がいます。診察時に帯状疱疹の疑いがあり、すぐにGPで受診するようにお願いしたことが何度かあります。

発症から48時間以内に抗ウイルス剤を服用できれば、重篤なケースになることはまれです。しかし症状はあるが、しばらく様子を見ることで手遅れになってしまい、その後何カ月~何年も痛みが続くことになるケースがあります。ましてや筋肉が弱ってしまうこともあるわけです。過剰に心配する必要はないのですが、痛みを感じたら早期に医療のプロフェッショナルによる診察を受け、正しい治療を始めましょう。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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