男性の悩みを解消! 骨盤底筋の運動療法─前編

フィジオ セラピスト に聞こう

体の痛み改善法


男性の悩みを解消! 骨盤底筋の運動療法─前編


▶▶▶フィジオセラピーは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神 経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専 門家で、必要に応じてMRIや専門医に紹介し、包括的な治療を 行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、 体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう !

 

「排尿後しばらくしてから下着が尿で濡れてしまう」「ED(勃起障害)かもしれない」「前立腺の手術をした」など、男性ならではの悩みも少なくありません。

このような悩みはセンシティブで、なかなか相談しづらいものです。これらの症状の原因はいろいろ考えられますが、薬に頼る前にまずはフィジオセラピーで筋力トレーニングを行ってみませんか。

骨盤底筋と呼ばれる筋肉を鍛えることで、これらの症状に効果的な改善を期待できると言われています。骨盤底筋とは、排尿を途中で止めたり、肛門を締める時などに使用する筋肉です。もとは腰痛のリハビリの一環としてトレーニングする筋肉でした。しかし、近年ではこの骨盤底筋のトレーニングによって、上記の症状に対しても治療効果があることが解明されてきました。ある英国での研究では、長期的にはバイアグラと同等の効果が認められるという研究結果まで出ています。

 

男性の尿漏れの原因は、大きく分けて3つ考えられます。(1)尿道の中に尿が残ってしまう、(2)老化に伴う前立腺肥大症、(3)過活動膀胱。骨盤底筋のトレーニングで回復が期待できるのは(1)と(2)が主因で、骨盤底筋が弱くなったことによって引き起こされている場合です。

(1)の場合、排尿後陰茎を振ることで改善することも多いですが、骨盤底筋を鍛え、出し切る訓練をすることが大切です。

(2)の場合、年を重ねるごとに男性ホルモンの影響で前立腺が肥大化する傾向があります。通常、投薬もしくは手術により肥大した前立腺を縮小させます。その手術前後に骨盤底筋を鍛えることで術後回復が大きく改善でき、術後のEDになるリスクなどを軽減させられます。(3)のメカニズムはまだ解明されていません。

 

EDには、精神的要因や血管・神経・前立腺の問題、投薬の影響などさまざまな要因があります。陰茎の構造として、3/4は外に出ていますが、残り1/4は体内で骨盤底筋郡を貫いています。陰茎を支える骨盤底筋を鍛えることによって陰茎を支える力が強くなり、海綿体にたまった血流を陰茎内に留めておく力が強まります。また、「筋トレを頑張っている」という事実は、自分に自信を取り戻すきっかけになり、心理的にも良い作用が期待できます。

 

フィジオセラピーではこのような症状を改善し、患者のクオリティー・オブ・ライフ(Quality of Life)の向上を目指します。次号後編では具体的な治療方法とその効果についてご説明したいと思います。


 

奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業 後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダー リングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務 し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治 療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会 公認筋骨格系理学療法士。

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