肩こり(3)

フィジオ セラピスト に聞こう

体の痛み改善法


第36回:肩こり (3)


▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう !

 

今回は肩こりに加え、頭痛・吐き気を伴うタイプをご紹介したいと思います。肩こりが慢性化するということは、姿勢がいつも前かがみになりがちだということです。前回ご紹介した肩こりに関わる上部・中部僧帽筋、肩甲挙筋は頭蓋骨と上部頚椎(頭蓋骨と首の境目辺り)に接合しているため、慢性肩こりとは長期間にわたり上部頚椎に負荷がかかることを意味します。この状態が続くと、頚椎2番周辺を通っている大後頭神経が圧迫されます。

大後頭神経への刺激過多

この神経は、頭蓋骨の頭皮近くを後頭部から頭頂部を通り、前頭部まで伸びています。この頚椎2番が負荷を受け炎症を起こし、大後頭神経を刺激すると頭痛が出ます。頭痛の現れる個所は人それぞれですが、大後頭神経が走っている道筋のどこかで発生します。後頭部、コメカミ付近、目尻、眉毛周辺や眼球の後ろなどに痛みや圧がかかったように感じる、というのが一般的です。

また、頚椎3番は脳幹に近く、脳幹から胃に通っている神経へも刺激が連鎖した場合、吐き気を催すこともあります。

偏頭痛

偏頭痛だと思い、市販の消炎剤を服用し、だましだまし対応してきた人もたくさんいるのではないでしょうか?もちろん偏頭痛と診断される場合もありますが、頭部の左右片側だけに痛みがある場合は頚椎性の頭痛の可能性があります。そのほか緊張性、ホルモンの関係などさまざまな要因が混在するケースも多く見られます。例えば、天気(特に曇りまたは雨)に左右される偏頭痛を持っており、さらに崩れた姿勢でデスク・ワークをしていたため頚椎性の頭痛になる、またはその逆のパターンもあります。フィジオセラピーで効果的に治療が可能なのは頚椎性の頭痛です。最近の研究によると、混在型の頭痛であっても1つのタイプの頭痛を薬を使わずに治療し改善できれば、ほかのタイプの頭痛が出にくくなると解明されています。

フィジオセラピーでは、頭痛の場合は頚椎2番、吐き気もある場合は頚椎3番でモビライゼーションを行い関節機能を改善します。それにより、頭痛や吐き気が改善され、その上で正しい姿勢を維持するために必要な肩甲骨周辺の筋肉や、首回りの安定性を保つインナー・マッスルをトレーニングで鍛えていきます。

根本的改善を目指すのであれば、フィジオセラピストが処方する運動療法を積極的に行うことが大切です。運動療法に自主的に取り組むことで治療費も安くすみ、最短の時間で効果的に症状が改善されるでしょう。


 

奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
www.metrophysiotherapy.com.au

 

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