ドライ・ニードリング療法

フィジオ セラピスト に聞こう

体の痛み改善法


第38回:ドライ・ニードリング療法


▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう !

 

「ドライ・ニードリング」とは、生理食塩水やステロイドなど、何らかの薬物注入を伴う「ウエット・ニードリング」とは異なり、鍼の物理的な刺激によって身体の痛みを緩和させる療法です。鍼灸との最大の違いはその根幹をなす思想にあります。東洋医学に基づき経絡(Meridian)への刺激を目的とした鍼灸と異なり、ドライ・ニードリングは西洋医学を基に発展してきました。ドライ・ニードリングではトリガー・ポイントと呼ばれる緊張が高い筋肉箇所(ツボ)や、痛みの原因箇所周辺に鍼を打ち痛みの緩和を目指します。急性の筋肉の痙攣や慢性痛の両方に効果があり、痛みの緩和状態が長く持続するのが特徴です。

オーストラリアでは、ドライ・ニードリングを治療の一環に取り入れているフィジオセラピー・クリニックが多数あり、通常の治療に付け加えることによって相乗効果が生じ、早期改善が望めます。ドライ・ニードリングには筋緊張を解除する「トリガー・ポイント・ドライ・ニードリング」や、筋膜を含め筋肉よりも浅部の皮下組織に打つ「ドライ・ニードリング・プラス」などがあります。

 

頭痛・肩こりのケース

首の付け根がこり、さらにひどくなると頭痛が出て来院される方が多くいます。この際、以前にご紹介した肩甲挙筋(けんこうきょきん)という筋肉が極度に緊張している場合が多々見受けられます。普段はこの筋肉のツボをご自身で押し、なんとかやり過ごしている人も多いのではないでしょうか。

まずはツボを選定し、その局部に鍼を打つと、筋肉が一度ビクッと反応し、その後リラックスします。いくつも緊張箇所がある場合は何度か場所を変えて同じように鍼を打ちます。ビクッという反応があった場合は5秒から10秒ほどで鍼を抜き、さらに強い反応を期待する時は数分静置します。

鍼を抜いた後はマッサージを施し、鍼からの違和感を緩和させます。その後、症状に応じたストレッチや筋トレを処方し、筋肉がまた固くならないうちに実践していただくことで根本的な改善を目指します。


 

奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
www.metrophysiotherapy.com.au

 

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