身心のリラクゼーション

ドクター印藤の「ここがツボ」

第30回 身心のリラクゼーション

WHOによれば現在の世界人口は、72億人程度とされ21世紀末には、100億人になるとしています。また貧富の差も、年々拡大するばかりのように思われます。

世界がますます狭くなり、人間関係も厳しくなりつつあるというのが現代社会なのでしょう。近代の社会観は、完全自立した個人同士の自由競争によって、より高度な完成された社会へ移行していくというものでした。しかし分秒を争うような現代社会では、むしろ自由な競争こそが人々の関係を悪化させ身心の健康を蝕んでいるのでは?という疑問もあります。

実は近代以前、文明の中心はインド、中国などアジアにあり、ヨーロッパは辺境に過ぎませんでした。物質文明の発展は適度に抑制されており、それは物質というものは時間的流れの一側面に過ぎない、という認識があったからにほかなりません。

仏教や道教の世界観である空(くう)や無(む)の意味するところは、キリスト教の絶対神とは対照的に、すべての事物は相対的に刻々と変化していくと説いています。端的に言えば、東洋世界では心の世界が第一であり、物質世界はそれに追従するに過ぎません。心のさまざまな位相で起きる現象と身体の変化を観ることで、外界での現象も分析できるという考えです。

一見奇妙な考えですが、心が晴れやかになれば人は良く活動的になります。反対に落ち込んでしまうと動きたくなくなります。これは、心という存在がある種のエネルギーを持っているということなのです。心的エネルギーが身体を通じ、外界やほかの人に影響を与えるということを、基本として考えるのが東洋世界に生じた医療体系に共通する認識です。また、それらは一方通行ではなく相互に影響し合う関係を持っています。だからこそ、身体調整を通じて自ら心を整えバランスの取れた生活をしていくこともできる、というわけです。

身心をリラックスさせるには、強い刺激の必要はありません。点的に押圧するより面的に意識を持っていくようにすると効果が上がります。目を軽く閉じゆっくりとした深呼吸を行いながらするとより効果的です。

天柱:後頭部の筋肉(僧帽筋)と骨の接合部外側、押して痛む所
大杼:頭を左右に回旋すると動く骨が頸椎。その最下部と動かない第1胸椎の間が大椎穴。その下第1、2胸椎間の両傍2横指
膏肓:肩甲骨内側骨際の中央付近
腎兪:肋骨下端の線と腰椎の交点から外側2横指
関元兪:第5腰椎棘突起下の外側2横指。尾骨上際
膻中(だんちゅう):胸骨正中の凹み、左右両乳頭の間
水分:臍の直上1横指
石門:臍の直下2横指
足心:心足底部の中央

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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