排尿障害・尿失禁の改善

ドクター印藤の「ここがツボ」

第31回 排尿障害・尿失禁の改善

最近の研究によると、人間の体は約37兆個の細胞でできているといわれています。地球上には、バクテリアのような単細胞生物から高等哺乳類までさまざまな生命体が存在します。非常に多様な形態の生物が存在しますが、細胞の形や基本的機能はあまり変わりがないことも事実です。ではなぜ単細胞から多細胞生物に進化したのでしょう。それは、機能を分担させて代謝や排せつの効率を良くし、環境の変化や外敵に対応できる方が生存に有利となるから、と考えられています。

人の体も、長い進化の中で四足歩行から直立歩行へ変化し、これが中枢神経系の発達を促して成熟期間を延ばすことになりました。それによって寿命がほかの生物に比べ劇的に長くなり、経験の蓄積とともに文明の誕生にも大きく寄与することになりました。

ただ長命化とともに、自律神経や筋肉系の機能低下、そして老化によるトラブルは増加する運命にあったといえます。泌尿器疾患は、年々増える傾向にあり、高齢者ばかりでなく、比較的若年の層にも広がりつつあります。その原因には、妊娠出産などによる骨盤内臓筋の緩みや精神的ストレス、抵抗力の低下による尿路感染症、腰椎の変形による神経障害などが挙げられています。

主な症状は、尿が近く回数も多い頻尿、尿が出にくい排尿困難、お腹に力を入れた時尿が漏れる腹圧性失禁、急な尿意が我慢できない切迫性失禁、尿が少しずつ漏れる溢流性失禁などです。

東洋医学的には、泌尿器は腎と膀胱の経脈および任脈と関係が深いとされます。また一般に女性は7年、男性は8年ごとに腎臓の気血の状態が変わり、それによって生理状態も変化します。腎の気は、先天の気とも呼ばれ、親からもらったものですから、基本的に後から足すことはできません。腎気が損なわれると下半身の力は弱くなり、尿の漏れや足腰の痺れ・痛みが起きると考えます。損なわれた腎気を補うためには、以下のツボを使って気血の調整を行います。通常では感知できない気の変動も、ツボ調整をすることで気付きを増すことができるのです。

陰谷:膝を半ば屈し膝関節の後内側にある腱の合わせ目
委中:膝関節、膝窩の中央部
委陽:膝窩の外側を探ると大腿二頭筋腱を触れる。その腱の内側
腎兪:肋骨下端の線と腰椎(第2、3)の交点より約2横指外方
膀胱兪:伏臥して仙骨部の中央部から外側約2横指。仙骨外縁のよく痛む所
曲骨:下腹部正中、恥骨結合の上際

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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