ドライアイ・VDT症候群の予防

ドクター印藤の「ここがツボ」

第33回 ドライアイ・VDT症候群の予防

私の学生時代、コンピューターはディスプレーのない巨大な機械で、記憶装置から打ち出されるテープを読み取っていました。臨床を始めた頃、パーソナル・コンピューターの普及が始まり、小さなテレビのようなディスプレーの付いた機器が40万円もしていたのを思い出します。

数年ほどして臨床において、以前はほとんど見かけなかった目の慢性的な乾きや痛み、疲労感、視力の減退、それと同時に肩こりや腕のだるさ、頚腕痛などの身体症状を訴える方が多く受診されるようになりました。当時は、VDT(Visual Display Terminal)という言葉も一般的でなく、画面を長時間見続けるために起きている症状という認識も社会にありませんでした。治療に対する情報もなく、当初は大変苦労したのを覚えています。文明は生活を安全・便利にしますが、反面病気も作り出すマイナス面もあるようです。

視覚能力の獲得が生存競争において非常に有利に働いたことは、現生動物のほとんどが目を有していることからも分かります。ミドリムシのような単細胞生物でも光に反応する蛋白質を持っています。人類を含めた脊椎動物の目は、中でも非常に精巧なレベルに進化したといえます。

眼の構造は大きく分けて、外界からの光情報を調節するレンズ系、その情報を神経に電気信号として伝達する2(または3)種類の視細胞を持つ網膜系、そしてその信号を脳に伝達する眼神経に分かれます。網膜の細胞は、光に対して非常に敏感で光子1つでも反応します。そのため無限といってもいいくらいの色の差異を見分けられるのです。

その反面、大脳への刺激がダイレクトに伝わる神経経路であるために、ストレス過剰状態になりやすいのです。VDT症候群は症状の進行とともに心身ストレスからうつ状態にも発展する可能性が指摘されています。症状悪化を防止するには、まず視覚からの刺激を極力減らしていくことであり、1時間に5~10分程度の休憩を入れ、また仕事以外での画面注視を極力減らすことが大切です。今回のツボは、休み時間また就寝時に行うと疲労回復や涙液増加に良い効果を期待できます。

【攅竹】眉毛内端の陥凹部。強く押すと痛む所
【増明】眼球と上眼窩下際の間を探り、骨際を按じて響く所
【太陽】眉の外端と目尻の中間から、約1横指後方の陥凹部
【承泣】眼窩下際の中央、瞳直下を案じて痛む所
【客主人】頬骨弓(ほおぼね)の中央上際。側頭筋の前際、按じて痛む所
【翳風】耳垂と頭骨乳様突起との間。口を開けると陥凹し、押すと耳中に響く所
【天柱】後頭部の筋肉(僧帽筋)と頭骨の接合部外側、按じて痛む所
【風池】後頚部、僧帽筋起始部〈天柱〉の外方1横指の陥凹部


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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