耳鳴り・難聴

ドクター印藤の「ここがツボ」

第35回 耳鳴り・難聴

生命体は、他とコミュニケーションをすることで、生存を確実化する存在です。動物だけでなく、植物も花の香りや鮮やかな果実で昆虫や鳥を引き付け、受粉や種まきを手伝ってもらいます。人間も言葉によるコミュニケーションを複雑高度化することで、文明を作り上げてきました。

耳は、外部からの音波を集める耳介などの外耳、集音された音を振動に変える厚さ約0.1ミリの鼓膜と米粒ほどの耳小骨(ツチ、キヌタ、アブミ)で形成される中耳、そしてその振動を電気信号に変換して聴覚中枢に送るカタツムリのような蝸牛と聴神経の内耳に分けられます。

人では、約20〜20,000ヘルツまで聞き分けることが可能となっていますが、それはこの3つある耳小骨と内耳の複雑な構造に関係が深いと言われています。例えば、音階の聞き分けも、低い方はツチ骨、高い方はアブミ骨の振動が大きくなることによってなされています。また聴覚中枢は、延髄から大脳皮質にまで複雑に連絡し合っています。このことは、聴覚が魚類などの原初期には皮膚の振動としてとらえられ、その後音階や音色の違いを弁別するために複雑化した進化の歴史と関係しています。

しかし、このように複雑な構造を持ってしまうことで、精密機械などにもありがちな故障を抱えやすくなってきたといえます。検査では感知できない微細な体調不良、メンタル・ストレスなどが原因となって耳鳴りや難聴を引き起こしてるケースは年々増加する傾向にあり、いわゆる心身症として認識されるものもあります。

東洋医学では、耳は腎の働きの表れと考えます。腎とは腎臓だけでなく,先天の気という、生まれ持っている不可視の生命エネルギーの象徴でもあります。身心の消耗によって気の不足が全身の循環不全を引き起こすので、体が夏でも冷え、耳鳴りや難聴を引き起こします。腎気を回復させるには、体を内部から温めることです。努めて温かい食物をとり、冷飲料や生野菜、果物を控えることで回復が可能になります。常に身心への気付きをなすことで、得られるものはとても大きいのです。

客主人:側頭部、頬骨弓の中央上際。側頭筋の前際で押すと痛む所。
耳門:耳珠の前、口を開けると少し凹み拍動の触れる所。
聴会:耳珠の前下方、下顎骨の後際。口を開けると大きく凹む所。
翳風:耳垂と頭骨乳様突起との間、口を開けると凹み押すと痛む所。
完骨:耳介の後方、頭骨乳様突起の下端より約1横指後方の凹み。
外関:腕関節背面の中央から上方3横指。
腕骨:第5中手骨と腕関節の骨(三角骨)間の陥凹。
腎兪:伏臥位で肋骨下端線と腰椎(第2〜3)の交点より外方2横指。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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