顔面の痛み(三叉神経痛)の改善

ドクター印藤の「ここがツボ」

第38回 顔面の痛み(三叉(さんさ神経痛)の改善

古来「明眸皓歯(めいぼうこうし)」といわれるように、顔色が明るくしっかりとした印象は、身心ともに健康な証であるとされてきました。また人類が文化的に複雑なコミュニケーションを行うようになったのは、約300から500万年前とされています。その頃の言語は未発達だったため、身ぶり手ぶり、そして顔の表情で意思を伝達をする非言語的コミュニケーションで意思疎通をしていたと考えられています。私たちが犬や猫を観察して、怒りや恐怖、喜びや悲しみの表情を読み取れるように、感情の表出は既に哺乳類時代からの遺伝で決まっていることが分かります。その上に人類は、複雑な抽象思考を表現できるような表情を、歴史的に作りあげてきたと考えられます。

実際に人間の表情を作る筋肉群は多く、30種類以上もあります。これらの多様な表情筋と目の動きなどにより私たちは、言葉の通じない者同士であってもかなりな程度の意思疎通を可能にしています。これら顔面に分布する筋肉と皮膚の知覚や運動をコントロールする三叉神経や顔面神経は、脊髄からではなく脳から直接神経の枝を出しています。そのため、脳の働きを直接伝達できる特性を持ちますが反面、痛みなどの不快な末梢感覚は減衰されずに伝わってしまうことになります。顔のちょっとした痒みや歯痛に悩まされるのも、このためなのです。

通常三叉神経痛は、顔面の片側だけに起きる発作的な痛みです。一瞬に走る痛みが数秒から数十秒程度で終わり、数分以上長くじわじわと痛むことはほとんどありません。いろいろな動作で誘発されることが多く、洗顔、ひげ剃り、咀嚼動作などで起き、ひどくなると歯磨きができなくなったり、冷風に当たっても痛みがあったりします。
 原因はさまざまあり、細菌やウイルスによる感染症、また体の慢性疲労から来るものも最近は増えており、慢性化しやすい傾向があります。

人は、痛みをともすれば避け嫌うことが多いです。しかし末梢感覚の約80パーセントは痛覚であり、それを無くすことはできません。また客観化することも困難な感覚です。大事なのは、それを自らの人生の問題として捉え、どのように対処するかを考えていくことなのだと思います。

天柱:後頭部の筋(僧帽筋)と後頭骨の接合部外側、押して痛む所。
肩井:鎖骨中央部の凹み(缺盆)より直上し、肩上部を押して固く響く所。
翳風:耳垂と後頭骨乳様突起との間、口を開けると大きく凹み押すと響く所。
陽白:眉毛上方1横指。瞳孔の直上。
太陽:眉の外端と目尻の中間から、約1横指後方の窪み。
聴宮:耳前部、耳珠の中央の前、口を開くと凹む所。
大迎:下顎骨の角より約2横指前方の窪み。動脈拍動部。
曲池:肘を深く曲げ、できた皺の外端を探ると骨頭に触れ、押して響く所。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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