下部脊柱痛の改善

ドクター印藤の「ここがツボ」

第39回 下部脊柱痛の改善

人類は種として、脊椎動物門という分類に属しています。これには犬、猫、猿などの哺乳類や蛇などの爬虫類、カエルなどの両生類、そして魚類も含まれる大きなカテゴリーです。

この動物群に見られる特徴は、胴体に脊柱という骨を持ち、それが体の支えになっている点です。これまでの研究では、脊椎動物の出現は比較的新しいと言われていたのですが、最近ではゴカイやミミズなどの環形動物から脊索(椎)動物への進化、という説が有力で、その起源は約5~6億年前にさかのぼると推定されます。

ミミズを観察すると、筋肉が体節構造を動かし、うねるような前進後退を繰り返しています。人の脊椎もこの運動機能をいくらか残しており、脊柱を支える筋肉群は、骨の周囲を丸く取り巻いて、前後左右回転などの運動を可能にしています。しかし内臓を保護するために動きを制限されていて、その筋肉群は主に頚椎と腰椎のみにあります。よく動く部分には負担が掛かりやすく、慢性痛の原因となるのです。

慢性疼痛は、関節変形や炎症による侵害受容性、治療の失敗などによって痛みが長期記憶され、末梢や中枢神経の機能に異常をもたらす神経障害性、また心的ストレスが原因による心因性、と大きく3つに分けられます。しかし実際には、これらのうちの2つ、もしくは全てが介在するとされています。従って、慢性の腰痛や脊柱管狭窄症の手術をして組織の変形を除去しても、痛みが無くなることが少ないのです。

このように複雑な原因を持つ慢性痛は、鎮痛剤の安易な長期服用によって容易に難治の状態となります。痛みのセルフ・ケアには、まず運動不足で筋力の低下が起きていないかを確かめ、次に睡眠時間と質に問題がないかをチェックします。十分な睡眠を確保するだけでも、組織修復や炎症鎮静化のホルモンが体内から分泌されるため、痛みが和らぐのです。

腰は「腎の府(集まるところ)」と言われ、腰椎の動きに支障があると元気も出ず、精密な思考も困難になります。組織細胞の1つひとつが生起する変化に意識を向け、心と体の内的関係を観察することが治癒への道を開きます。

胃兪:第1腰椎棘突起下の外方2横指。腎兪上方約4横指。
三焦愈:第2腰椎棘突起下の外方2横指。腎兪上方約2横指。
腎兪:伏臥位で第12肋骨下線と腰椎(第2-3)交点より外方2横指。
気海兪:第3腰椎棘突起下の外方2横指。腸骨陵線上。
大腸兪:第4腰椎棘突起下の外方2横指。
関元兪:第5腰椎棘突起下の外方2横指。仙骨の上際。
中膂兪:仙骨部の下外側、正中より外方2横指。よく響く所。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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