皮膚のかゆみ(アトピー性皮膚炎)

ドクター印藤の「ここがツボ」

第40回 皮膚のかゆみ(アトピー性皮膚炎)

皮膚は外界からのさまざまな侵害刺激(細菌ウイルス・紫外線など)を遮断し、生命活動を安定させる役目があります。その表面積は成人で約1.5~1.8平方メートルといわれ、人体中では最大の臓器の1つです。皮膚の構造は大きく3層に分かれており、最外層はバリアーの役目をする表皮。その下に、コラーゲンやヒアルロン酸など繊維性結合組織からなり表皮をのり付けする真皮層。その更に下に、毛細血管や皮下脂肪に富み、体内部への物理的な衝撃を和らげ、更に新陳代謝の促進と体温調節をも担う皮下組織があります。

人体の進化の歴史から見ても皮膚の役割は非常に重要で、外敵からの攻撃を防御したり、体表に付着する微小生物を排除するのになくてはならない存在です。かゆみもかつては生存上重要な生理反応でした。皮膚内の神経終末(神経繊維の末端)は、普通痛覚しか感じないはずなのですが、ダニなどの寄生虫が皮膚に付着すると、その刺激がかゆさとなって中枢で認識されます。そして、それを排除しようとする神経反射(免疫反応)が起き、皮膚をかくことによって生理活性物質のヒスタミンが分泌されるのです。これはカエルなどでも観察できる反応で、古くからあるものだと考えられます。

しかし文明の発展により生活環境が清浄化され、寄生生物による脅威もなくなった現在でもこの神経反射は残っています。実際には外敵からの侵入はないにも関わらず、化粧品や抗生物質のような化学物質に対して、あたかも自分の体を攻撃されたかのように過剰反応を起こしてしまう人が急速に増えているようです。

東洋医学において、このような症状を肺-肝-胃(脾)の問題として捉えます。内外のかくらん要因(風)によって、自律神経(胃)と皮膚機能(肺)のバランスに恒常的な失調状態が起こり、それが免疫機能(肝)の異常となって発症。この場合、邪気が皮膚の隙間に入り、留まることによってかゆくなると考えるため、皮膚に気の流れが巡るよう持続的に刺激を与えることで対処します。皮膚の乾燥には保湿剤の使用も有効ですが、長期にわたって連用するとかゆみの原因となるので注意してください。

天柱:後頭部の筋肉(僧帽筋)と骨の接合部外側、押して痛む所。
風池:後頚部、後頭骨の乳様突起下方、下際の凹み部。
肩井:鎖骨中央部の凹みから直上し、肩上部を押して固く響く所。
肩髃:腕を水平に上げ、肩関節に2つできる凹みの前方に取る。
曲池:ひじを曲げ肘窩横紋の外端を探ると上腕骨の外側上顆、押すと響く所。
中脘:へそと胸骨下端との中間。へその直上約4横指。
風市:大腿外側、直立して手を垂らし中指端の当たる所。膝上7横指。
足三里:ひざを立て、脛骨の前面外側を指で押し上げると指の止まる所。
曲泉:ひざ関節内側、ひざを屈してできる横紋の頭に取る。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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