口内炎・唇の荒れ

ドクター印藤の「ここがツボ」

第41回 口内炎・唇の荒れ

この地球上には、大きく植物と動物が存在します。そして、これらの生命は約38億年前の原始的な単細胞生物から進化してきました。歴史的な存在である人間でも、進化の過程を見ていくと一見複雑に思えるような病でも解明できてしまうことが多いのです。植物に顔はありませんが、顔のない動物というのは存在しません。つまり、顔に動物機能が集約されていると言って良いでしょう。顔には目、耳、鼻など感覚器官があり、口腔という咀嚼(そしゃく)器官もあります。このことは、いろいろな動物が感覚器を頼りに餌となるものを効率良く探し出し、素早く食べて生存競争を勝ち抜いてきたということを示唆しています。中でも口は、動物にとって生命維持のために本質的な機能です。脊椎動物の祖先に近いとされるミミズやゴカイでは、原始的な目と口先しか無いことからも、動物としての進化前の姿が分かります。

口腔は、自分にとってまだ異物である動植物を消化して、営養(同化)とする第一歩のところにあります。そのため外部からの病原生物の侵入を防ぐために、口と喉周辺には多数のリンパ節が存在します。また、唾液にも殺菌作用がありが通常は免疫的な作用が強く働いています。

そのバランスが何らかの要因で崩れた時に起きる粘膜炎症を口内炎と呼びます。最も多いとされるアフタ性(潰瘍性)口内炎は、身心のストレスや栄養欠如、口腔粘膜の損傷によって免疫力の低下状態が生じ、円形か楕円形の白っぽい潰瘍を繰り返し発生するものです。

一般的なセルフ・ケアとして、まず口腔内を常に清潔にして雑菌が繁殖しないよう、毎食後歯磨きとうがいをします。また粘膜を乾燥させないよう水分補給をこまめにし、口を開けて睡眠をとらないよう気をつけます。

東洋医学的には口内炎を頭頚部(上焦)の熱としてとらえるため、その熱をとるべくやや強めの押圧を心掛けると効果的です。「病は口より入り、災いは口より出ず」と言いますが、口元のゆがみや半開きの状態、唇の荒れなどは、その人の内面状態を反映します。口腔内の環境を整えることで、精神的安定を図ることもできるのです。

合谷:親指と人差し指を開き、骨の接合部前面を押すと良く響く所。
曲池:肘を深く曲げ、肘窩横紋の外端を探ると上腕骨の外側上顆を触れ、押すと響く所。
労宮:手掌中央よりの横紋上で、示指と中指を屈してその触れた所に取る。
風池:後頚部、後頭部の筋肉(僧帽筋)の外方1横指の陥凹部。
翳風:耳垂と頭骨乳様突起との間。口を開けると陥凹し押すと耳中に響く所。
天容:側頸部、下顎骨の角よりすぐ後方。胸鎖乳突筋の前縁。
扶突:側頸部、喉頭隆起(喉仏)の外側へ3横指。押して痛みを感じる所。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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