股関節の痛み

ドクター印藤のここがツボ

第53回 股関節の痛み

人類が直立歩行を試みてから、およそ300万年が経ちました。類人猿のように腕を地面に着ける不完全直立歩行から二足歩行をするようになって、以前と大きな違いを持つようになったのは骨格と筋肉です。

重い頭を吊り下げる必要がなくなり、脊椎骨は長い歩行に向くように軽量化してきました。そして骨盤は、上半身の重みと歩行の衝撃に耐えられるように、左右に張り出した形に進化しました。筋肉群もそれにつれて下半身の臀部から下腿にかけて発達してきたのです。そのような形態になり、より多く移動するようになって地球上のあらゆる所に移住し、繁栄を築くことになったのです。

近年、人の長寿命化により、骨格筋肉の老化からさまざまな問題を抱えるようになってきています。ふつう股関節は、上半身の重みと歩行運動によるストレスを強く受けるために、非常に丈夫な構造になっています。しかし通常歩行でも自重の約3~4.5倍の重量を受けなければならず、階段では約6~9倍のストレスになります。

健康な軟骨は、その重みを吸収して滑らかな動きを助けます。しかし特に女性は40~50歳代にかなりの割合で、この部分に何らかの問題を生じている可能性があります。

最もよく見られるのは変形性股関節症であり、これは生まれつき股関節のはまっている寛骨臼(かんこつきゅう)という部分における未発達な形成(臼蓋形成不全など)から生じる病です。

症状は最初、重い張り感や歩行後の疲労感を関節に覚え、次第にスポーツや動作の度に痛みを感じるようになります。症状の進行と共に、股関節の動きは悪くなり爪切りや靴下の脱ぎ履きに困難になり足を引きずる歩行になります。

このような症状を感じるようになったら、その進行をできるだけ遅らせ手術までに至らないようセルフケアをしなければなりません。ストレッチと筋力トレーニングは、腹筋や背筋、腸腰筋(ちょうようきん)や中殿筋そして大腿四頭筋などを特に重点的に行う必要があります。

この場合セルフケア指圧は、痛みを軽減し関節可動域を拡げる効果があります。症状によってはかなりの効果を期待できるので、継続的に行ってください。

環跳:股関節外側、大転子上部、太腿を屈してできる横紋の頭に取る。
風市:大腿外側、直立して手を垂らし中指端の当たる所。膝上7横指。
陽陵泉:下腿の外側、腓骨頭の前外側。
衝門:恥骨結合部より外側4横指。動脈拍動部。
髀関(ひかん):大腿部前面、腸骨稜の前方に突き出る上前腸骨棘の下際。
足三里:膝を立て脛骨の前面外側を指で押し上げてゆき止まる所。圧すれば響く。
承扶:大腿後部の上端、殿溝の中央。坐骨結節の下際。
委中:膝関節、膝窩中央部の動脈拍動部。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所及び間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.com<またはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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