小児心身症

ドクター印藤のここがツボ

第54回 小児心身症

人の体は、細胞染色体のDNAにある約30億の塩基配列によって遺伝情報を決定されています。

一方で、人は他の動物には見られない大規模な共同体を形成し、言語を使って複雑なコミュニケーションを行い、文字の発明によって情報の記録を可能としました。この「二次的遺伝情報」とも言える、情報の保存と伝達はインターネットなど通信手段の発達に伴って、ますます人類全体にとって必要不可欠な身体の一部として機能しているように見えます。

しかしその神経機能は、約30万年前のまま進化していません。それだけの余剰能力を人類は持っていたとも考えることはでき、それが今日の発展をもたらしていると言えるのでしょう。

近年、思春期までの子どもたちの間で、繰り返し発生する喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎などの身体症状を伴った、ストレス性と推断されるものを「小児心身症」と呼ぶようになっています。大人の心身症と似た所もありますが、原因は更に広範なものとされます。

身体機能は本来、動物本能に基づいて形成され、能動的活動を行えるように発達します。これは進化の歴史上定まったことなので、必ずしも合理的であるとは言えません。それに対し文明は、個人と社会の幸福を追求する合理性に基づいています。社会の情報化が高度になり、感覚より合理性に重きを置くことで、有利な教育や地位を得るのは大多数の大人にとって普通です。

しかし知性偏重社会は、心身共に発達途上の子どもたちにとって、本来大変適応しにくいものなのです。症状として左記の他、過敏性腸症候群、過換気症候群、慢性頭痛、消化性潰瘍、嘔吐などを繰り返す摂食障害など、自分の感情をうまく表現できないために身体の異常によってしかストレス障害を表せないという悪循環に陥りやすいとされています。

対処法は簡単ではありませんが、子どもとの対話を重ね理解を深めることで、解決の糸口をつかめることも多い症候です。古来「人」という文字に表されるように、人間は寄り添いあって生きてきました。他を慈しむ心の回復によって、その人もまた癒され救われるのです。

百会:頭頂部、左右耳介の先端を結ぶ線と正中線の交点から少し後方の陥凹部。
顖会(しんえ):前頭部正中、前髪際の後方約2横指の陥凹部。
膏肓:肩甲骨内側、骨際の中央付近。
肝兪:正座または伏臥し、肩甲骨の下端より約4横指下方。背骨中央より約2横指外方。
脾兪:肝兪穴の約3横指下方。
巨闕:胸骨下端の下2横指。
尺沢:肘関節前面、肘の横紋上を強圧すると痛む所。
三陰交:内踝の上際から3横指上方。脛骨の後際。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所及び間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.com<またはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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