第10回 便秘症

 

第10回 便秘症

生活習慣上の変化もあり、便秘を訴える方が多くなっているように見受けられます。

通常、口から食べた物は、胃と小腸の働きによって消化吸収され、5〜6時間で大腸に達します。そして大腸の働きによって、便として体外に排出されるまでに24〜48時間かかります。

便秘症は臨床症状から、緊張度が高まりケイレンと腹痛の伴うケイレン性、大腸運動能力の低下によって知覚も低下し便意の起きなくなる弛緩性、直腸に何らかの障害が起きることによって便の排出されない直腸性便秘に分類されていました。しかし近年は、大腸の機能検査によって大腸の働きが弱くなるタイプと、直腸に溜まった便が上手く排出されず残便感のあるタイプに分けるようになっています。

常習便秘となる原因にはさまざまなものが考えられます。まず朝食抜きや食物繊維不足、水分摂取不足など食習慣の不適切、常に便意を我慢したり排便時に力み過ぎたり、慢性的運動不足などの生活習慣、精神的なストレス、常用薬剤によるものなど多彩です。

古くから東洋医学で便秘は、大便難、大便不利、大便閉塞などと呼ばれていました。また大便も小便も病的兆候に関しては、同じ用語が使用されています。これはもともと食物の滓(かす)を分離させて液体となるのが小便で、固体となるのが大便という考え方から来ています。便秘というのも本来【大便秘結】という言葉からの転用です。また、ケイレン性便秘にあたる熱泌、弛緩性便秘に相当する冷泌、虚泌という言葉も見られ、便通に関する関心の深さを伺わせます。

東洋医学的には大腸、胃、小腸、膀胱の陽経脈と脾の陰経脈の変調と考えるので、それらを中心に取穴します。まず大腸の合谷(ごうこく)、小腸の腕骨(わんこつ)を入念に押圧し大腸運動の賦活を促し、同様に脾の三陰交(さんいんこう)にて腹部の滞った気を廻らせるようにします。少し内部の動きが出てきたところで、天枢(てんすう)、腹結(ふくけつ)を深く押圧し、さらに大腸兪(だいちょうゆ)、小腸兪(しょうちょうゆ)で腹腔神経叢の刺激をします。

合谷:親指と人差し指を開き、骨の接合部前縁、押すとよく響く陥凹部
腕骨:第5中手骨の尺側、腕よりの押すと響く陥凹部
三陰交:内踝(うちくるぶし)の上際から3横指上方。脛骨の後際
天枢:臍(へそ)の左右3横指
腹結:臍の外方4横指(大横穴)より下方に約2横指
大腸兪:うつ伏せに寝て腸骨上端を定めその線と腰椎の交点より外方2横指
小腸兪:臀部を探り仙骨の隆起する所から外方2横指。仙腸関節部の陥凹

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

 

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