第12回 手指、腕の痺れ

 

第12回 手指、腕の痺れ

近年では、IT技術の進歩によって事務作業の専門職は減少し、コンピュータ・ソフトによる代行が急速に進みました。会社にとっては能率的ですが、事務職の職業病であった症状を、多くの人が訴えるようになってきました。

頸肩腕(けいけんわん)症候群や胸郭出口症候群と呼ばれるものの一連の原因は、長時間のディスプレイ作業やキーボード入力による頸椎や肩関節、また僧帽筋や斜角筋、小胸筋など首肩を支える筋肉群への慢性的な負担超過が有力な原因の1つとなります。また、運動不足による筋力の低下なども原因の1つです。

比較的軽い場合は、肩コリ程度ですが、次第に頭部や頸部、上腕、前腕および手指の痛み・痺れとなり、自律神経様症状が現れることもあります。手指の腱鞘炎や血行不良、関節の運動制限を伴うこともあり、症状は複雑化します。

東洋医学は、直接的な表現ではありませんが、体表にあらわれる病理的変化を類推して治療方針を定めていくため、同じような症状の記述から治療部位を決めることができます。

症状としては筋痺、肌痺など筋が引き攣れて関節痛を起こし、動かせない状態や、皮膚から皮下にかけて痛み・痺れる状態があります。この時代は、寒気や湿気によって症状が引き起こされると考えていました。また部位によるものは、頚項痛、頚腫項痛、肩脊痛、肩甲周痺、臂痛、肘臂痛など多くの記述があります。

これらの上肢全体にわたる痛み・痺れは、単に筋肉疲労というだけでなく精神的ストレスからも同時に来ると考えます。したがって心身両面での効果を考えたものになります。

まずストレス緩和のための大陵(だいりょう)、曲沢(きょくたく)を入念に押圧して緊張をほぐし、曲池(きょくち)、四瀆(しとく)で前腕の症状を、臂臑(ひじゅ)、肩髎(けんりょう)で上腕を、肩井(けんせい)、斜角(しゃかく)で頸部神経叢の押圧をします。最初は緊張を取るために弱くし、次第に強めにするといいでしょう。

上記症状は肩こり、五十肩の項とも関係が深いのでそちらも参考にしてください。

大陵: 腕関節横紋の中央
曲沢: 肘の内側、上腕・橈(とう)・尺骨接合部中央。筋溝を押圧して響く所
曲池: 肘を深く曲げ、肘窩(ちゅうか)横紋の外端を探ると上腕骨外側上顆を触れ、押圧して響く所
四瀆: 肘頭から約5横指手首方向で、橈骨尺骨間の筋間を押して響く所
臂臑: 曲池穴より肩関節に向け、上方に約7横指。三角筋停止部の前縁
肩髎: 肩峰の外端後角の下際。肘を前に出し上腕骨大結節のふくらみを押すと響く所
肩井: 鎖骨中央の窪み(欠盆)から直上して、肩上部を按じて固く響く所
斜角: 欠盆穴と肩井穴の中間にあり、頚根を強圧すると痛み響く所

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

 

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