第4回 胃腸の不調

 

第4回 胃腸の不調

人間の身体は、さまざまな生体維持のシステムを進化の上で獲得していますが、自律神経もその1つです。自律神経系には交感神経と副交感神経の大きく2種の系があり、循環、呼吸、消化、代謝などを司ります。また、内分泌系(ホルモン)や免疫系と連携して身体の恒常性維持(ホメオスタシス)に大きな役割を果たしています。

環境の変化に対しても自律神経系は、体温産生や代謝状態の変化を通じて身体をうまく適応させようとします。このシステムの働きがなければ1分でも正常に活動することはできないほど重要な働きをしているのですが、「植物神経」と言われるほど、運動神経や痛みを感じる感覚神経に比べて、普段の存在感は希薄です。しかし、昨今の気候変動の大きな時代には、この絶妙とも言える働きも疲労を起こしやすくなっているのです。さらに夜間の仕事や遊び時間の増加は、日周期リズムも乱して慢性的な疲労状態を招いています。

睡眠の質の悪化(寝起き、また寝つき)や、胃腸の不調(不快感、痛みなど)もこの神経系の不調和によって起きている現象なので、このアンバランスを治していく必要があります。

東洋医学においても、気(働き)、血(形体)、臓腑(身心)のバランスを重要視してきました。経絡 ( けいらく) 内における気血不足あるいは過剰によって臓器の不調が起こり、それが引いては精神状態にまで影響を及ぼすという、身心調和的身体観です。そのため逆に身体の微少調整から、全体に波及させる方法をとっていくことができます。

まず、先天の気(胃と脾)と後天の気(腎)を整えることを目的に、中脘(ちゅうかん)、水分(すいぶん)、天枢(てんすう)、関元(かんげん)をゆっくりと入念に押圧します。腹部の動きが出てきた所で足三里(あしさんり)、三陰交(さんいんこう)、湧泉(ゆうせん)で足への気血誘導を行い、内関(ないかん)に手腕へ廻らせるようにします。最後に膻中(だんちゅう)を手のひらで緩く押さえることで上半身の調整にもなります。胃腸の調整として書きましたが、自律神経失調一般の症状にも有効ですので、お試しください。

中脘:臍と胸骨下端の中間、臍上4横指
水分:臍上1横指
天枢:臍の左右3横指
関元:臍の下4横指
足三里:膝を立て、脛骨の前面外側を指で押し上げると指が止まる所。強圧すれば響く
三陰交:内踝の上際から3横指
湧泉:足底部中央よりやや前方、足指を屈すると陥凹する所
内関:前腕部前面、腕関節横紋中央より3横指
膻中:仰臥して左右の乳頭の中間、胸骨部正中の陥凹

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

 

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