神経症・ノイローゼ

 

第19回 神経症・ノイローゼ

数百万年前から、霊長類は群れを作り肉食獣などの外敵や、気候変動などの環境変化に備えてきました。ヒトもその一員であり、社会という群れを形成してその中で生きています。ところが、社会の規模が拡大すれば、複雑化する人間関係に心を悩ませることも増えていきます。

社会活動をする人間を機能面からみれば、呼吸循環器・消化器・筋骨格系などの基礎生理機能、自律・中枢神経や免疫系などの身体ネットワーク機能、心・意識によるメンタル機能におおむね分けられます。これら3つの機能群は、それぞれがある程度の独立性を保ちながら相互に影響を与え合っています。

例えば、風邪にかかった後、長期に治らないと呼吸器だけの問題にはとどまらず、免疫機能の低下や自律神経失調症状の悪化、さらには精神不安にまで波及することになります。

神経症(神経症性障害)は、災害や親しい人の死去などの精神的ショックや生活の中で取り除くことのできないような慢性的ストレス、幼児期まで遡(さかのぼ)る環境の中で徐々に形成された性格の偏りなどによって起こるとされています。ある心の「囚われ」から発生したことが、次第に無力感、脱力感、動悸、めまい、痺れなど身体症状を起こすようになります。

東洋医学では、古代から内臓(五臓)には、生理機能の他に心理的機能(七情、喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)が宿るとされる一種の心身相関説をとります。不安感や無気力、悲哀、抑うつなどの精神症状が表れるのは、臓腑経絡の機能的バランスが乱れるからなのです。心の偏りを治していくのはそれなりに努力を要しますが、症状を過大に評価せず病気に執着するような態度を是正していくことでも、治癒への道が開かれます。

指圧方法としては、まず内関、足三里、照海(しょうかい)から強めに押圧し次に頭頚部、最後に中脘(ちゅうかん)と腎兪で調整します。第15〜17回の連載も参考にすると(4〜6月号)、より効果を高めることができます。

百会:頭頂部、左右の耳介の尖端を結ぶ線と正中線の交点から少し後方の陥凹。
太陽:眉の外端と目じりの中間から約1横指後方の陥凹部。
風池:後頚部、後頭骨にある乳様突起下方の髪際部、下際の陥凹。
中脘:臍と胸骨下端との中間。臍上4横指。
腎兪:肋骨下端の線と腰椎の交点から外側2横指。
内関:前腕部前面、腕関節横紋中央から3横指。
足の三里:膝を立てて、脛骨の前面外側を指で押し上げて指の止まる所。強圧すれば響く。
照海:内踝(うちくるぶし)の下端から0.5横指。

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

 

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