歯の痛み、歯槽膿漏

 

第24回 歯の痛み、歯槽膿漏

最近、歯の痛みを訴えて治療に来る人が多くなっています。なぜ歯医者でなく、東洋医学を…?ということになります。その理由は、検査をしても病変らしきものが見当たらず、また治療をしても痛みは解消されないからなのです。

歯は哺乳類と爬虫類だけでなくほかの脊椎動物、魚類や鳥類にもあり、その構造は、種に関わらずかなり良く似ています。これは歯というものが、食べ物を咀嚼して消化しやすいようにする、という役割を進化の歴史を通じて常に持っていた、ということなのです。

また解剖学的には、胎児での第一鰓弓、つまり魚では鰓になる部分の外側に発生します。そしてこの歯の元を成長させるため、血管系と神経系が発達する必要があります。歯と歯茎周辺の痛覚を主るのは、三叉神経です。この神経は、顔面のほぼ全体を覆っており、直接大脳と連絡しています。そのために、この領域で異常が起きれば、歯痛の発生する可能性もあります。また通常は、脊髄を介して間接的に伝達される痛み情報が、直接大脳と連絡しているため強く脳へ響いてしまいます。そのため、たとえ三叉神経の障害部位は小さくても、非常に強い痛みとして感受されてしまうことが多い訳です。

東洋医学的には、歯は腎臓機能と深い関係にあります。年齢とともに腎の働きが衰え、歯も抜けてしまうことからの連想によるのでしょう。また痛みは、基本的に冷え(寒)によって引き起こされます。気と血液の廻りの不調和により、痛みが引き起こされると考えます。現代医療でも、末梢循環の不全状態がさまざまな不定愁訴の原因になることは理解されていますから、相通じるように思います。

上歯の痛みに、下関、顴髎(かんりょう)、風池、足の三里をとり、下歯の痛みに聴会(ちょうえ)、肩井、合谷、手の三里をとります。歯痛は肩こりも起こしますので、肩こりの項も参考にして下さい。痛みの強い場合は、強めに押圧すると効果的です。粗塩で歯茎マッサージをすることで、血流改善を促し予防と治療を兼ねますので、毎日行うことをお勧めします。

下関:頬骨弓の下縁の中央。関節突起と筋突起の間の凹み。
顴髎:頬骨突起の下縁を指で押すと、凹み部分の痛む所。
風池:後頚部、後頭骨の乳様突起下方髪際部下際の凹み。
足の三里:膝を立て、脛骨の前面外側を指で押し上げていき止まる所。強圧すれば響く。
聴会:耳珠の前下方、口を開けると凹む所。
肩井:鎖骨中央部の凹み(欠盆)から直上し、肩上部を押して固く響く所。
合谷:親指と人差し指を開き、骨の接合部前面。押すと良く響く凹み部。
手の三里:肘を曲げ、肘窩横紋の外端(曲池)から下方3横指。

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

 

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