最終回 子のありがたみ

働くママの妊娠・出産・育児奮闘記

Being A Mum

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初めて育児をオーストラリアでする!

最終回 子のありがたみ

  冬。風邪のウイルスが流行るこの季節は、幼 児のいる働く親にとっては鬼門の季節だ。なぜ なら、絵に描いたように見事な青っ洟をたらし た子があちこちに走り回る、“これで風邪がう つらないわけはない”という絶好(?)の環境 の託児所に、子どもを預けなければならないか らだ。

  約1カ月前、案の定、うちの娘もくしゃみと 咳をし始め、鼻水をたらすようになった。ぐず るので抱き上げると、私の顔に思いきりくしゃ みをし、咳を連発し、鼻水を飛ばす。これで私 に風邪がうつらないはずはない。子どもが風邪 をひくと、お約束のように私も夫も必ず風邪を ひく。

 辛いのは、自分も風邪で絶不調なのに、娘が 夜中に熱を出したり咳をしたりして休めないこ とだ。しかしこれも序の口で、2歳10カ月の娘 は、風邪だからといってベッドで素直に休むは ずもなく、機嫌を悪くしては薬もイヤ、オムツ 替えもイヤ、と拒否。着替えの際にはパジャマ を着るのも嫌がって裸で走り回り、いちいち狭 いアパートで追いかけっこをするはめになる。 これでは家族全員、治る風邪も治らない。

 世間ではよく「子どもを産むと親のありがた みが分かる」と言うが、私は出産前、「そん なものは子どもを産まずともだいたい分かって いる」と思っていた。しかし、今回ついに出産 後初めて自分の病気で欠勤して寝込んでみて、 以前の自分はタカをくくっていたことがよく分 かった。

 自分が子どもの時は、病気の時は親が食事を 作ってくれたし、ただ寝ていればよかった。 自立してからも、帰宅後すぐにベッドに直行で きたし、自分の面倒だけみていればよかった。 が、子どもができてみると(そして夫が仕事中 だと)、自分が倒れそうでも、食事の用意も洗 濯も娘の世話も自分でしなければならない。そ の合間にすかさず横になっても、中途半端に元 気な(託児所には行けないが寝込むほど具合が 悪いわけではない)娘がよじ登ってきたり、ミ ルクが欲しいと言ったり、オムツを替えないと いけなかったりと、5分もじっと休めない。世 の中のすべての親がこの苦難を乗り越えている のかと思うと、尊敬の念でいっぱいになる。

 さて、家族の長引いた風邪もやっと治ってき た。体育会系男子のようにもりもりとごはんを食べ、テレビを観ながらダンスをする娘の姿を 見ると、子どもは病気を1つするごとにパワー アップしていくのだな、と感心してしまう。一 方の親の方は、そのたびにまさに精気を吸い取 られていくような、そんな感じだ。「子育てが これほど大変だったとは…」と思う一方、託児 所で習ってきた英語の歌を(まだ音痴だけど) 楽しそうに歌っている娘を見ていると、「子育 てがこんなに楽しいとは思わなかったな」とも 思う。もちろん楽しいことばかりでは決してな いが、シドニーでの子育ては、これからもいろ んな発見に満ちていそうである。


はな プロフィル
◎シドニーの法律事務所勤務。初めての妊娠・出産・育児に挑戦することに。9月に無事、女児を出産

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