自立した学習者を育てる

Heritage Language  継承日本語教育を考える

自立した学習者を育てる

子どもたちに日本語を教えながら常に心に留めていること、それは子どもたちの何を伸ばしてあげればいいのか、ということです。

日系2世や3世の子どもたちが親や祖父母から引き継ぐ継承語としての日本語は、子どもたちの日常生活の一部ではありますが、全面的に必要な言語ではありません。この国で生きていくためには英語が主言語であり日本語は付加言語であることは否めません。そしてオーストラリアの教育を受けているのですから学齢が上がるにつれて当然、英語による思考が深まり、オーストラリア文化の中でのものの見方や考え方、それに伴う感情が身に着いていきます。

親子の間での理解を深め、日本の家族ともしっかりと理解し合うためには、子どもたちが日本の文化を肯定的に理解する必要があります。それは親子の日常会話からだけで身に着けられるものではなく、また単に文字が読め漢字が書けるというだけで身に着くものでもありません。日本の文化に触れ日本に対する親しみと愛着を育て、自らもっと知りたい、もっと調べてみたいと思うことが大切です。子どもたちが楽しんで日本語に触れ、自立した学習者になることができるように導くことが、教師の役目であると考えています。

今年の私が担当するクラスは5・6歳児が中心のクラスです。第2次言語習得期であること、英語でも日本語でも、文字への関心が芽生え知識が広がり認識力・思考力が発達する時期です。6歳になるころには大人の脳に対して90%までが発達すると言われているため、この時期に日本語は楽しいという意識につながる脳への刺激が必要です。言葉遊びを十分に楽しみ、ゆったりと心豊かにするための言語活動ができるようにと考えています。

1学期の初めから、毎週違う童謡を親子で楽しむことを続けてきました。お母さんと一緒に歌うことで子どもたちに安心感を与え右脳の発達を促します。最近は歌をYouTubeの映像でとらえ、言葉の意味を確かめながら楽しんでいます。教科書の中から「あかいとり ことり」を取り上げた時に、実を緑に塗った子がいたことから活動が大いに発展しました。

また、ひらがなの定着を目指し、さまざまなカードを使って文字や言葉遊びを楽しんできました。今は言葉から文へと子どもたちの声で活動が発展しています。やらされる活動ではなく、自分から進んで取り組む活動の中で、それぞれが磨き合えることを実感しています。

来年はJCS校にハイスクール生のためのコースができる予定ですが、どの子も日本語を十分に楽しみ、日本語でもHigher Order Thinking Skillsが身に着けられるように学習を重ねて行ってほしいと願っています。


継承日本語教育を考えよう

JCS教育支援委員会

シドニー日本クラブ(JCS)会長、担当理事、日本語学校代表者により構成され、JCS日本語学校3校の運営支援、継承日本語教育の研究・普及に努めている。日本語スピーチ・コンテストや「継承日本語」に関するワークショップを開催
 

シーハン宏子(しーはんひろこ)

プロフィル◎文部省(現・文部科学省)の派遣でシドニー日本人学校教師を3年間経験。その後、地元の小学校、ハイスクールで日本語指導。現在、JCS日本語学校NB校で継承語としての日本語を指導。ICET教育コンサルタント

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