子どもたちの学習意欲を上げるために

Heritage Language  継承日本語教育を考える

子どもたちの学習意欲を上げるために

私のクラスは、男女計10人で、毎週土曜日の午前中3時間、元気いっぱい、日本語学習に励んでいます。現在、基本的には1年の「こくご」の教科書に沿って授業を進めていますが、もちろん教科書のほかにも、季節ごとの日本の行事にちなんだ学習も取り入れ、みんなで歌を歌ったり、クラフト製作などを通じて、楽しく日本の文化に触れてもらっています。

昨今、子どもたちが成長するにあたって、五官(目、耳、鼻、舌、皮膚)の機能をフルに発揮できる環境作りが、とても大事だと言われています。五官を使って五感(見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れるなど5つの感覚)を養うことは、ここオーストラリアでグローバルに生きる子どもたちが、他人を気遣い、自らを大切にしつつ、生き生きと、これからの社会に大きく羽ばたいて行くために、とても大事な要素だと確信しています。

そういったことから、わずか週1回の貴重な日本語学校で、私はできるだけ子どもたちが興味を持って、「見て、聴いて、触れられる」授業を提供したいと思っています。

普段は、だいたい1〜2時間目に教科書の内容把握や、漢字の読み半角・書き、文の仕組みなどを中心とした学習をし、3時間目に、読み聞かせ、手遊び歌、ゲームなどをしています。私は、いつも電子ピアノを授業に持って行きますが、これも私にとって欠かせない道具の1つです。読み聞かせの時の効果音や、手遊び歌の伴奏に使うのはもとより、時々即興で歌を作って、みんなで一緒に歌っています。

例えば「ついたち」から「とおか」までの日付けの読み方を覚えるのも、オリジナル・ソングにして、歌と踊りで覚えたり、子どもたちにお馴染みの『蝶々』や、『あんぱんまんマーチ』などの曲を、長調と短調で弾き分け、長調の時は楽しい様子を、短調の時は悲しい様子を身体中で表現してもらったりして、「音(曲調)を聴き分ける」学習をしています。そのほか、クラシックから童謡までバラエティーに富んだ曲当てクイズも、子どもたちには好評です。

また、先日は、母の日に変わり絵カードを作りました。紙の後ろの部分を引っ張ると、瞬時に最初の絵1から4の絵が出てくるというものです。みんな嬉々として取り組み、お母さんへの素敵なカードを作ってくれました。単純な仕組みなのですが、用意をするには、少々時間がかかりました。でも、子どもたちの喜ぶ顔を見たくて、いつも、ついつい張り切り過ぎてしまい、徹夜の日々が続くこともあります。

もちろん日本語学校ですので、日本語の語彙を増やすこと、ひらがな、カタカナ、漢字の定着などは大事ですが、私は、人種、言語を超えたところにある、人間の深い感受性を探り出し、琴線に触れる授業をすることをモットーに取り組んでいます。 

ぜひご家庭でもさまざまな機会に五官を使って五感を養う活動に努め、子どもたちの感性を磨いていただければと思います。


文=宮本恭子

日本の中学校・高等学校で、国語・書道を、また医療福祉専門学校で芸術療法を教え、養護学校にも勤務。7年前に来豪。3歳から絵画と書道を習い始め、日本では、各地で書展、ワークショップを開催。現在JCSダンダス校で継承日本語指導にあたる。

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