日本語の教科書を使う前に

Heritage Language  継承日本語教育を考える

日本語の教科書を使う前に

子どもたちが継承語として日本語を学習する時、日本にいながら日本語を身に着けていく場合とは違ったメカニズムで習得していきます。聞いても分からない言葉が多いため、音と意味を同時に学習しなければなりません。そのため、国語の教科書を使って授業をする際、教師は子どもたちが授業が楽しいと感じられるようにさまざまな工夫をする必要があります。今月は、子どもたちが興味を持ち、深く理解できるような国語の教科書を使った授業の工夫をレポートしていきます。

教科書をそのまま使うことには実は抵抗があります。なぜなら、文化の背景が違う、普段使わない言葉が出てくる、そして当たり前のことなのですが、すべて日本語で書いてあるなどの理由からです。しかし、使い方によっては教科書もとても興味深いものになります。

例えば、“どうぶつ園のじゅうい”という単元では、子どもたちがとらえやすい動物から始めました。宿題で、好きな動物を選んでその動物の特徴と絵を描いてきてもらいました。グーグルで調べても、図鑑で調べても、両親に聞いても手段は何でもOK。その結果、全員がすばらしい作品を持って来てくれました。これを基に相手に質問をし、情報集めをするペア・ワークを行いました。その後、皆の前でお友達の動物の発表をしてもらいました。こうすることで、話す(質問と答え)、聞く、書く、読む(発表)の4技能を使った活動ができます。

そして今度は確認です。きちんと友だちの発表を聞いていたかクラスで話し合い、分からなかったことの質問を行いました。次に、実際の動物を連れてきて皆で観察し、質問、発表といった段階を踏んで、前回学んだことを再確認。

そしていよいよ教科書に入ります。1回目の読み聞かせをし、分からない言葉、漢字を確認します。そして、2回目の読み聞かせでは穴埋め問題を出します。きちんと理解しているかの確認になります。ここでも、聞く、書く、読む、話すの4技能を使っています。

そして総まとめとして、教科書の文章の感想へと進みます。口頭で理解しているか確認した後、グループに分かれてディスカッション。好きな所や、感じたことなどを話し合いました。最後に2回目の宿題として話し合ったことをまとめた感想文を書いてもらいました。このころになると、教科書に書かれている内容を全員がしっかり理解しているので、ほとんど問題なく作業が進められます。

時間はかかりますが、導入、実技、確認をきっちり行うことにより、子どもたちの興味も引けますし、集中力も保て、何よりも子どもたちが楽しく授業を受けることができます。

子どもたちは、本来は休みである土曜日に学校に来て、普段使っている言葉ではない日本語で3時間授業を受ける、そんな大変なことを頑張っているのです。そんな子どもたちをこれからもずっとサポートしていきたいと思っています。


JCS日本語学校ノーザンビーチ校
大元志保

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