【特集】オーストラリアで妊娠・出産 ③ママたちの体験談

オーストラリアで妊娠・出産 ©Ruji Studio
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ママたちに聞いた!
私のオーストラリア妊娠・出産体験記

これからオーストラリアで妊娠・出産を控えている人たちにとって、海外での妊娠・出産というのは心配事や気になることの連続だろう。今回は、オーストラリアで妊娠・出産を経験した3人のママにそれぞれの体験談を語ってもらった。「リアルな体験」をしてきたママたちからの言葉やアドバイスは、参考になるものが多いはずだ。

Y・Kさん

Y・Kさん

  • ● 長女(3歳8カ月)と次女(7カ月)
  • ● ビジネス・ビザで第1子を出産。第2子出産時には永住権を取得済み。
  • 第1子:GPシェアード・ケアで、パブリック・ホスピタル(以下、公立病院)のデリバリー・スイート(医療行為ができる分娩室)で出産。第2子:ミッドワイフ・グループ・プラクティスで、公立病院のバース・センター(医療介入ができない分娩室)で出産。

A・Hさん

A・Hさん

  • ● 長男・次男(双子=10カ月)
  • ● 出産時、永住権を取得済み。
  • ● 公立病院で、帝王切開で出産。

R・Tさん

R・Tさん

  • ● 長女(2カ月)
  • ● 出産時、ビジネス・ビザを所持。
  • ● プライベート・ホスピタル(以下、私立病院)で、自然出産を希望していたが、急きゅうきょ遽無痛分娩(ハッピー・ガス=笑気ガスを使用)に切り替えて出産。

妊娠から出産まで

出産までのおおよそのスケジュールを教えてください。

Y・Kさん:妊娠5週ごろにGPで尿検査と血液検査をしました。エコー検査は8週ごろ、12週ごろ、19週ごろの3回行いました。
 長女の時は26~28週に一度だけ妊娠高血圧症をチェックする血液テストをしました。その検査が、次女の時にはアジア人などのハイ・リスクの人だけ12週ごろと26週ごろの2回実施されました。
 それ以外は何もなければ30週までは月に1回の健診で、血圧やお腹の大きさを測るだけでした。30週以降は2週間ごと、臨月になると毎週と健診の頻度が高くなりました(長女が逆子で、妊娠後期は体重が思うほど増えず、しっかりと成長しているか確認するためエコー検査を2回ほど余分にしました)。

A・Hさん:早い時期に検査薬で陽性を確認した約2~3週間後(妊娠7週ごろ)に、初めてのエコー検査を行いました。
 私立病院で出産予定し、妊娠9週ごろに医師に会ったのですが、あまりピンと来なかったので、妊娠11週ごろ公立病院にも話を聞きに行きました。そこでの内容や対応がとても良く、特に双子だったこともあり、私立病院との差があまり感じられなかったので、公立病院に決めました。
 12週ごろ、2回目のエコー検査で先天性異常の有無や確率を確認。19週ごろ、赤ちゃんの詳細を見るエコー検査がありました。双子だったので、15週ごろからは2週間に一度は病院に通い、簡単なエコー検査や診察をしてもらいました。

R・Tさん:妊娠が分かってから、まず私立病院の産科医をインターネットで探し問い合わせ、GPで紹介状を書いてもらいました。
 健診は、最初のころは5週間ごと、最後は2週間ごと、1週間ごとと間隔が短くなりました。エコー検査や血液検査は、公立病院とほぼ変わりません。
 必要な週数に産科医の先生に紹介状を書いてもらい、専用施設で検査を受けました。日頃の健診でもエコー検査で赤ちゃんの様子を見ることができ、公立病院よりエコー検査の回数が多かったです。

病院

出産する病院をどのように選びましたか?

A・Hさん:私が出産した病院は、新生児集中治療室(NICU)や子ども病院が併設されていたので、安心感がありました。全体的にとても満足していますが、人気の病院だったことから、常に忙しそうで入院中(特に夜間)はナースの人員不足を感じました。ナース・コールを押しても、すぐに来てもらえないことが多々ありました。 費用は12週と19週のエコー検査(赤ちゃんの詳細を見る)以外は全て無料で、メディケアで補償されました(詳細を見るエコー検査も同じ病院であれば無料だったようですが、私は外部で検査したため100~200ドルほど掛かりました)。

R・Tさん:私が出産した「Northern Beaches Hospital」は2018年10月にできたばかりで、設備も全て新しく、とても快適でした。
 費用は民間保険で補償される前の金額ですが、産科医への支払いだけで7,000ドル以上、更に病院への支払いは1泊1,000ドルほどだったと思います。

Y・Kさん:長女の時は「GPシェアード・ケア(GP Shared Care)」というプログラムで出産しました。健診は、GPとランドウィックの公立病院「Royal Hospital for Women(RHW)」の医師とで行われ、出産はデリバリー・スイートと呼ばれる分娩室でした。デリバリー・スイートは硬膜外麻酔(エピデュラル)を使った無痛分娩などの医療行為が可能で、部屋には医療器具があり、ベッドも医療用の物でした。また、健診時の医師や出産時の助産師もシフト制なので、どんな人が来るのか毎回分かりませんでした。
 次女は、バース・センターで「Midwifery Group Practice」というプログラムで、助産師がチームを組み、1人の妊婦を担当してくれました。そのため、健診はいつも同じ人で、急に何か異変や心配事があり来院しても、自分のことを知ってくれているチームの担当者が受け持ってくれ、安心しました。バース・センターは麻酔などの医療的な処置はできませんが、ママが自然に分娩できるようにリラックスできる空間を作ろうと考えられています。水中出産のための浴槽などがあり、部屋も病院を感じさせない雰囲気でした。 料金はメディケアがあれば、公立病院であれば無料だと思います。

出産のスタイルはどのように決めていきましたか?

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R・Tさん:私は元々、無痛分娩の予定ではなく、自然分娩を希望していました。しかし、最後の最後でどうしても赤ちゃんの頭が出てこれずに吸引することになり、急遽ハッピー・ガス(笑気ガス)を吸うことになりました。

Y・Kさん:病院での分娩予約は病院によって異なるのかもしれませんが、長女を出産したRHWのデリバリー・スイートは、一番早くて12週ごろでした。
 次女はRHWのバース・センターで、正式な分娩予約を兼ねた健診は16週目ごろでしたが、なるべく早く予約登録しないと埋まってしまいます。そのため5週目ごろにRHWのウェブサイトから予約しましたが、ギリギリで確保できたくらいです。

A・Hさん:双子のうち、お腹の下の方にいる子が逆子でなければ自然分娩の予定でしたが、逆子だったため、選択の余地がなく帝王切開となりました。ただ、多くのママが安全に帝王切開で出産しているので、あまり抵抗はありませんでした。実際、出産自体はとてもスムーズで何の問題もなかったです。

メディケア/センターリンク

メディケアやセンターリンクなど利用されましたか?

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R・Tさん:私はビジネス・ビザで滞在しているため、メディケアの資格がなく、プライベートの保険を利用しました。

Y・Kさん:次女の出産ではメディケアを利用し、ほぼ全て無料でした。

A・Hさん:出産前にパート・タイムで仕事をしていたため、センターリンクで「Parental Leave Pay」を申請し出産後、約4カ月補助金がもらえました(この補助金は出産前に仕事をしていれば、仕事を辞める・辞めないにかかわらず受け取れます)。

入院から退院まで

入院中はどのようなことをして過ごしましたか?

Y・Kさん:長女の時は、黄疸の数値が少し高く、また週末に重なることもあり、約5日入院しました。次女の時は、何の問題もなく翌日には退院できそうでしたが、体力などを考慮し約2日入院しました。
 入院中は授乳の合間に寝たり、病棟で開催される授乳指導や沐浴のクラスに参加しました。
 ご飯はとにかくおいしくなかったので、夫に頼んで差し入れしてもらいました。

A・Hさん:帝王切開の予定であらかじめ出産日が決まっていましたが、出産当日の朝に入院し、4泊5日入院しました。3泊4日の予定でしたが、術後、想像以上に痛くてつらかったため、気持ちの整理が付かず、1日延長しました。
 入院中は、とにかく痛みと疲れで全く余裕がなかったため、私がしたのは授乳(2~3時間おき)だけでした。立つのも歩くのも痛くて、自分がトイレに行くのがやっとでした。子どものオムツ替えや着替えなどは入院中、全くできませんでした。夜以外は夫が付き添ってくれ、ナースも全面的に手伝ってくれました。また病院内で、産後の骨盤エクササイズや母乳、沐浴などのクラスがあり、一部参加しました。

R・Tさん:病院には4泊しました。自分の体が回復していないこともありましたが、授乳が心配だったので、退院後、子どもの世話ができる自信が付くまで滞在しました。
 1日に何度も助産師や医師が来て血圧を測ったり、子どもの様子を確認し、授乳についても相談に乗ってくれました。
 1日3食の食事付きで、部屋のテレビ画面からメニューを選べました。また、給湯室にはサンドイッチやジュースがあり、いつでも自由に食べることができました。病院内にはカフェもありました。部屋にはソファ・ベッドがあり、パートナーと一緒に泊まることができました。

退院後はいかがですか?

A・Hさん:退院翌日に助産師が自宅に来てくれました。子どもの健康チェックや母乳相談、子どもの寝室環境なども見てくれ、ありとあらゆる相談に乗ってくれました。
 その2週間後にもう一度ナースが来てくれ、同様に子どもの健康チェックや経過を確認してくれました。来てくれたのはこの2回でした(依頼すれば更に来てくれたと思いますが、私は個人的に日本人のラクテーション・コンサルタントにいろいろと相談に乗ってもらっていたので、2回で済みました)。

R・Tさん:退院1週間後にアーリー・チャイルドフッド・センターから助産師が、自宅を訪問してくれました。その助産師は、自宅近くの母乳相談センターに勤務されているので、その後、不安がある時はそこに通っています。

Y・Kさん:退院後、長女の時は長く入院したためか、訪門サービスはありませんでしたが、次女の時は2回ほど担当の助産師(健診・出産を担当してくれた人)が自宅を訪問してくれました。子どもの体重測定や、私の産後の精神的・身体的な体調をチェックしてくれ、また授乳がうまくいっていなかったので、授乳指導を重点的に指導してくれました。

パートナーとの関係

妊娠・出産を通して、パートナーとの関係で留意したことなどありましたら、教えてください。

Y・Kさん:とにかく話をして巻き込むことです。男性は女性より妊娠や出産の実感が得られにくいので、男性も「出産」というプロジェクトに参加するチームメートだと自覚してもらい、いろいろなことに巻き込み、頼りにすると良いと思います。
 妻の話よりも周りの話に耳を傾けることもあり、専門家や理解のある旦那様がいる家庭に遊びに行き、話をしてもらうのも手です。
 夫は出産について全く知識がなかったですが、カームバース出産教育プログラムなどでサポート方法をかなり予習してくれたことで、出産時とても助けてくれました。その自負もあり、その時の話をすると、非常にうれしそうに自分も参加したことを話します。そのためか育児にも積極的です!

A・Hさん:妊娠期間中は見た目では分からない体調不良などもあるので、常にパートナーの気遣いが大切だと思います。
 また、出産するのは女性ですが、「頑張って」でなく「2人で頑張る」というスタンスでいてくれると女性側も安心な気がします。

R・Tさん:自分の思っていることや不安に感じていることをたくさん話して、いつも同じ気持ちでいることや、お互いを理解することが大事だと思います。そして、家族が増える喜びを一緒に分かち合ってください。

お役立ちグッズ

育児中に役立つグッズなどをご紹介ください。

Y・Kさん:抱っこひもはとにかく使いました。ベッドでなかなか寝てくれないので、抱っこひもがなかったら、つらかったと思います。
 また、新生児期のロンパース(オーストラリアではonesies/ワンジー)は、スナップ・ボタンではなく、チャックの物が楽です。特に「Bonds」や「Cotton On」の物は、足元からもチャックで開けることができるため、オムツ替えが早くできます。

A・Hさん:双子だったので、首が座る前は2人同時に抱っこしてあげられないことがあり、バウンサー(ロッキング・チェア)は本当に役立ちました。小さいうちの抱っこ代わり、ちょっとした昼寝、少し動かないで欲しい時、ミルクなどを飲ませる時、いろいろ購入した中で一番使用頻度の高い育児グッズだったと思います。10カ月の今も、ほぼ毎日使っています!

R・Tさん:ベスト・ナッピーズ(Web: www.bestnappies.com.au)のウェブサイトから日本のオムツが購入できます。オーストラリア国内から発送されるので、注文から2日ほどで届きます。

3 人のママからメッセージ

Y・Kさん

Y・Kさん

思い描くような出産に向き合うことができました。長女の時も次女の時もフリー・スタイル(?)で、とにかく自分が心地良いと思えるように自由に動いて良く、助産師もそれを尊重してくれました。

妊娠中は出産については詳しく調べましたが、出産後についてはあまり知りませんでした。また、夫以外の家族は近くにおらず、海外で出産・子育てをしている状況からか孤独感に陥りました。ただ私の場合、同時期に出産した日本人ママたちとのつながりがあったので、愚痴を聞いてもらったり、励まし合ったりして本当に助けられました。出産後は外出がままならないので、出産前にそうしたつながりを持っておくと良いと思います。現在は、シドニーで妊娠・出産に関するワークショップなどをされている松吉奈保美さんがプレ・ママ会を開催しており、そうした会で友達ができるかもしれません。

また、フェイスブック・グループの「シドニー日本人ママ会」で、先輩ママたちからいろいろとアドバイスや分からないことを聞けますよ。

海外での妊娠・出産は不安でいっぱいだと思います。どんな選択をして、どんな出産をしてもあなたがママであることは変わりません。子どもはあなたが大好きですから、自信を持って出産してください。安産になることをお祈りしています。

A・Hさん

A・Hさん

私は子どもが逆子で、結果的に選択の余地がなかったですが、オーストラリアは出産スタイルが自由で、「こうするべき」というものが全くないことが良いと思います。公立病院だと、出産に掛かる費用が完全無料というのも日本にはない利点です。

また、私は妊娠後期に胆汁うっ滞(Cholestasis)になりました。日本語で調べてもあまり出てこない事例ですが、服薬して子どもにも影響があるかもしれないとのことで、常に慎重なチェックと管理が必要でした。

これが分かったのは、お腹が異常にかゆかったからでした。妊娠中、お腹がかゆいのはよくあることで、あまり気にしていなかったのですが、医師に伝え、念のため血液検査をして発見されました。勝手によくあることだと判断せず、とにかく気付いたことを医師に伝えることがとても大事だと実感しました。

海外での妊娠・出産は、非常に不安なことだと思いますが、オーストラリアの医療は設備も含めとても安心できます。ただ、妊娠中、気になったことは小さなことでも躊躇せず医師に伝えて、貴重な妊娠期間をあまり不安がらずに、できるだけリラックスして楽しんで過ごしてください。

R・Tさん

R・Tさん

海外での出産は不安だらけでしたが、その分しっかりと情報を集め、事前に準備することができました。日本であれば、さほど準備することなく、病院で言われるがままだったと思います。出産だけでなく、これからの子育ても自分で調べ納得した上で判断することが大事なことなので、良い経験になりました。

また、産後に乳腺炎になり、ラクテーション・コンサルタントの澁井祥子さんに助けて頂きました。夜間でしたが、すぐに駆け付けてくれ、とても心強かったです。

オーストラリアは、とても子育てがしやすい国だと言われています。パパが積極的に子育てしている姿をよく見掛けます。職場の協力も得やすく、母乳・育児相談など、政府が運営する無料で受けられる制度もしっかりと整備されています。自分の体が持っている力を信じていれば、海外での出産も大丈夫だと思います。


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