最終回 日本人であることに自信と誇りを

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Let’s Learn Japanese
土曜校カリスマ先生の
日本語のツボ教えます

実際の教育現場から、日本語を学ぶコツを伝授


最終回 日本人であることに自信と誇りを
このシリーズもいよいよ最終回となりました。今回は保護者としての心得、一教員としての私から保護者の皆様へのお願いなどを綴り、終わりにしたいと思います。
日本や日本語をバックグラウンドとして生まれ育ったことに保護者自らが自信と誇りを示しましょう。その第一歩は第1回でも述べたように、子どもとの日本語でのコミュニケーションを大切にするということです。普段の会話や補習校、通信教育の教材の中で、子どもが分からない言葉を英語で説明する保護者の方がいますが、これはお薦めできません。これを積み重ねると、常に英語訳に頼る習慣を形成させる結果となり、日本語を外国語として身に着けさせてしまいます。
子どもの日本語学習に関心を持って
保護者面談で子どもの家庭学習の様子を聞くと「宿題は自分でやっているようです」という答えが大半を占めます。「宿題終わったの ? 」「うん、終わった」といった会話もよくあるパターン。しかし教師の立場からすると、これは少々残念と言わなければなりません。保護者の皆様には、子どもが課題をきちんとこなしているかどうかの確認までしていただきたいですね。ドリルなどの教材が宿題として出ていれば、宿題の範囲が終わっているかどうかを確認したり、作文の課題が出ていれば、ひと通り読んであげる、などです。1度こんな話を保護者にしたところ、「小学校2年生ぐらいまでは教えられたけれど、それ以降は難しくて教えられなくなった」という答えが返ってきました。教える必要はありません。子どもが分からなければ一緒に考え、答えを出す、そうした関心を示すことが大切なのです。子どものやる気、教師のやる気、保護者のやる気、この3つのベクトルの和で子どもの日本語学習が成り立ちます。
勉強したことはいつか必ず実を結ぶ
数年前のこと。10歳にして生まれて初めて日本に行ったという生徒がいました。日本へ行く前は漢字が大の苦手でしたが、こちらに戻ってきてからというもの、クラスの誰よりも意欲的に漢字学習に取り組むようになりました。保護者に事情を伺ったところ、日本で見かけた「非常口」「消化器」など、補習校で勉強した漢字が理解できた、それで漢字に興味が湧くようになったとのことです。学習したことが実体験と結びついた良い例ですね。
日本に行った時はすべてが生きた教材。看板の文字や道路標識を読ませたり、電車やバスの車内アナウンスを聞き取らせたりするのも生きた言語学習活動になります。かのヘレン・ケラーは、サリバン先生が片手で水を触らせ、もう一方の手に水という単語を綴ることで初めて水という物体と文字が一致したといいます。
今勉強していることが実生活とすぐに結び付くということはよくあることではありません。ましてや、日本から遠く離れて住んでいながら日本語の勉強をしている子どもたちにとってはなおさらのことでしょう。
思春期にさしかかり、「なんで日本語の勉強しなきゃならないの ? 」「日本語の勉強なんてもうイヤだ」と言い出す可能性もあります。しかし、「あの時勉強してたのはこれだったんだ ! 」「あの時日本語を勉強していて良かった」と思える日が必ず訪れます。その日を信じて、保護者の皆様には辛抱強く子どもの日本語学習にお付き合い願いたく、また私たち教員も精一杯後押ししてあげたいと思っています。


阿部圭志(あべ けいし)
プロフィル◎1997年よりシドニーで日本語教育に従事。カトリック系小学校、ニュー・サウス・ウェールズ大学、日本語たんけんセンター、インターナショナル・グラマー・スクールを経て、現在バンクスタウン・グラマー・スクール教職員。同年よりシドニー日本語土曜学校教職員を務める。

 

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