シルク・ドゥ・ソレイユ公演オーストラリア上陸

シルク・ドゥ・ソレイユの『オヴォ(OVO)』がオーストラリア上陸!

日本人出演者、谷口博教(ひろのり)さんインタビュー

PROFILE 谷口博教(ひろのり)広島市出身、26歳。日本体育大学卒業。2008年9月よりシルク・ドゥ・ソレイユの新しいショー制作のためのアーティストとして参加。半年間の創作活動を行い、2009年から「オヴォ(OVO)」で北米各地を巡る。座右の銘は「やりゃできる!」。

世界中で大人気のエンターテイメント集団、シルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)のショー『オヴォ(OVO)』の、オーストラリア・プレミアとなるブリスベン公演が7月14日に開演する。カラフルな虫の世界をクリエーティブに表現するショーには、なんと日本からも谷口博教(ひろのり)さんが参加している。アーティストとして出演するまでの道のり、ショーの魅力などをたっぷりと語ってもらった。

そもそも同公演の『オヴォ』とはポルトガル語で卵という意味がある。カラフルな虫たちが物語の主人公となり、這いずり回ったり羽ばたいたりしながら、仕事や遊び、食事をし、戦い、愛を求める様子などを芸術的かつエネルギーあふれる超人的な演技で見せてくれる。

シルク・ドゥ・ソレイユは、もともと1984年にカナダのケベックで、クオリティーや芸術性の高いエンターテイメントを目指して、創設者のギー・ラリベルテと20人のストリート・パフォーマーたちによって始まったカンパニー。現在ではモントリオールに国際公演本部が置かれ、従業員は5,000人。そのうち1,300人は50カ国以上から集まったアーティストたちという世界屈指のエンターテイメント・カンパニーとして人気を博している。米国ラスベガスなどの常設ショーのほか、世界中で数々のツアー公演が行われているが、これまでの各公演すべてを合わせると、現在までに300都市、合計で1億人もの観客を魅了してきたというからすごい。各ショーに出演するアーティストには、元オリンピック選手や世界一流のアスリートたちも多く、出演者たちの技術レベルの高さと、音楽や衣装、舞台装置などの芸術的クオリティーの高さの両方で、観客を魅了する。

日本人アーティスト、谷口さんの道のり

その『オヴォ』には、実は日本からもアーティストが参加している。広島市出身で26歳の谷口博教さんは、中学生のころから体操部に所属していた。「中学に体操部がたまたまあったのですが、部活の体験入部で、初めてトランポリンに興味を持ちました。高校や大学もスポーツ推薦で入ることができ、日本体育大学では体操競技をやっていたのですが、その練習の一環でトランポリンをやっていました」

そんな谷口さんが今から5年前の大学3年生の時、日本でシルク・ドゥ・ソレイユのオーディションが開かれ、受けてみたところ、見事合格した。「同じ大学の先輩に『コルテオ』というショーに出演している奥澤秀人さんという方がいて、自分もやってみたいなと思ったんです」 その時、約30人がオーディションを受けたが、合格したのは5人ほどだった。そして、そこで合格しても、すぐに出演が決定するわけではない。ショーによって出演するアーティストの種類はさまざまだが、その時のショーに必要とされている技術を持っているという幸運なめぐり合わせがなければ、出演までの道のりは遠い。その時のオーディション合格者の中では、ただ1人、谷口さんだけが運良く『オヴォ』のアーティストへの切符を手に入れた。半年後には新しいショーの出演者として参加することになり、全くゼロの状態からショーを作り上げていくメンバーとしての毎日が始まった。

谷口さんの演じるクリケットたちは、トランポリンを使って跳び回る

「実は、ほかの就職が決まる寸前だったんです。契約書に署名する3日前だったんですが、ちょうどそのタイミングでシルク・ドゥ・ソレイユから電話がかかってきました」

大学を途中でやめることにもならず、ちょうど卒業、そして就職というタイミングでシルク・ドゥ・ソレイユへ参加することになったという。「今思うと、『オヴォ』への出演は、何か運命的なものを感じますね」

それでも、これまでの日々は、やはり楽しいことばかりではなかった。ショーが都市から都市へ移動する時などに1〜2週間ほど休みがあり、1年に2度くらいは日本へ帰る機会があるが、やはり日本が恋しくなることもあったという。特にシルク・ドゥ・ソレイユに参加してすぐのころは、自分の居場所がつかめなかったり、また英語も全くしゃべれず、つらいことも多かったという。1人で孤立していると感じることも多かった。

「言葉が分からない時は、もう聞いて、聞いて、聞いて…という感じでなんとか乗り切ってきました」

今ではもう、出演者ともすっかり打ち解け、言葉の問題はほとんどなくなった。「わりと前向きな性格なのかもしれません。落ち込んだ時には、クリケット(コオロギ)役の仲間たちなど、ほかのアーティストたちと遊ぶのが、一番のストレス発散になっています。僕はお酒を飲まないので、皆でゴルフやテニスをしたり、よくご飯を食べに行ったりします。特にクリケットは皆明るくていい人ばかりなんですよ」

そして昨年8月には、友人の出演者が紹介してくれた縁で、日本人女性と結婚した。「トロント公演の時に、ロシア人出演者の友人が『日本人の留学生の女性を見つけたよ』と紹介してくれたのがきっかけで知り合ったんです」

シルク・ドゥ・ソレイユでの日々

今回谷口さんが演じているのは、虫のクリケット役。「いろいろな場面で、めまぐるしく、飛んだり跳ねたりしています」

トランポリンの演技を中心に、トランポリンを利用して壁に飛びつくウォールという演技や、細長いトランポリンのようなパワー・トラックと呼ばれる演技が見ものだ。「このショーは、シルク・ドゥ・ソレイユのショーの中でも、ストーリーがはっきりしていて、分かりやすい物語になっているので、子どもからお年寄りまで楽しめると思います」 これまでの3年間で、カナダや米国の約20都市を巡ってきたという谷口さん。3年間も同じショーに毎日携わっていて、飽きてしまうことなどはないのだろうか。「ストーリーは毎日同じですが、演技が毎日同じなわけではありません。楽しんでショーに出ることをモットーに、毎日自由に楽しく演技しています。自分たちが楽しんでいると、やはりそれがお客様にも伝わると思うんです」

シルク・ドゥ・ソレイユのショーといえば、華やかで芸術的な衣装とメイクアップも、見どころの1つ。「クリケットの化粧は、シルク・ドゥ・ソレイユのショーの中では簡単な方です。15分ほどででき上がります」 それでも、最初は30〜40分ほどかかっていたとか。また、衣装はそれぞれの出演者の体にぴったりと合わせて作られている。谷口さんだけでも4種類の衣装があり、今回のショー全体では200着もの衣装が使用されている。「どうしてもショーの途中で汗をかくので、衣装が重くなってきてしまうんです。そうすると演技に影響するので、やはり着替えなくてはなりません」

54人の出演者全員にそれぞれ何種類もある衣装は、すべてまとめて管理されており、次のステージ前には毎回きれいに洗濯されたものが用意されるという。 また、今回の『オヴォ』では、セットやテントなど、すべて合わせて約1, 200トンもの装備が2カ月以上かけて輸送された。16カ国から集まる54人の出演者やクルーのために用意される自転車だけで60台、スーツケースは410個にも及ぶという。

谷口さんは、最近クリケット役のほかにも、ショー全体を進行していくメイン・キャラクターのピエロの代役も務めている。「実は、明日もピエロで出演するんです」 監督に「やってみないか」と誘われて、約2年間もの準備期間を経てようやく代役で出演することができた。「ピエロは、体操競技とは全く関係ない演技だけの役ですが、やりがいがあります」

ただ、「体が資本のアクロバットのアーティストなので、やはりいずれはショーを離れる時が来ると思う」と谷口さんは言う。「いつかシルク・ドゥ・ソレイユを離れる時が来たら、その時は日本に帰ってクリエーティブなショーの仕事に関わっていけたらと思っています」

今回、オーストラリアに来るのは初めての谷口さん。「オーストラリアでは、まずビーチに行ってみたいです。気温も暖かいと聞いていますし、海で遊ぶのを楽しみにしています」

最後に、本紙読者へのメッセージを聞いた。「『オヴォ』は年配の方からお子さんまで楽しめるショーなので、ぜひご家族で一緒にいらしてください」 ブリスベン公演の後は、9月からシドニー、12月にはアデレード、そして来年1月からはメルボルン、さらに4月にはパースと続く。1年以上もオーストラリアに滞在することになる谷口さん。その活躍を楽しみに、日本やヨーロッパでもまだ見ることができないこのショーの会場にぜひ足を運んで、『オヴォ』の世界を体験してみたい。

 

シルク・ドゥ・ソレイユ

『オヴォ』2012−2013

オーストラリア・ツアー

たくさんのムシが力強く活動する昆虫世界に侵入

<あらすじ>

舞台の中央にミステリアスな卵が出現。謎と生命のサイクルを象徴する物体に興味津々の昆虫たちは、その卵に畏敬の念を抱く。そんな中、とある不恰好でよじれた姿の昆虫がこのコミュニティーにたどり着き、テントウムシにひと目ぼれをするのだが…。

『オヴォ』は、さながらカラフルな生態系の饗宴のようだ。そこには生命が満ちあふれ、昆虫たちは激しいエネルギーを放ちながらノン・ストップで動き回る。働き、食べ、這いずり回り、ひらひら飛び、遊び、戦い、愛を求める。生物の多様性と美の世界にあふれた昆虫の巣は、騒がしさと穏やかな感情に満ちている。『オヴォ』にはたくさんの対比が出現する。我々の足元に隠された昆虫の世界は、穏やかで強烈、騒がしくて静か、平和で混沌とした世界として表現されている。

■シルク・ドゥ・ソレイユ 『オヴォ』2012−2013オーストラリア・ツアー
会場:ノースショア、ハミルトン( 2 5 7Macarthur Ave., Eagle Farm QLD)ほか、国内主要都市で公演予定
日程:7月14日(土)〜8月19日(日)(シルク•クラブ・メンバー限定公演8月21日〜9月2日)
料金:大人$74〜275、コンセッション・学生$64〜165、子ども$54〜255
Web: www.cirquedusoleil.com/en/shows/ovo/(英語)、www.cirquedusoleil.com/ja/home.aspx#/ja/home/shows/details/ovo.aspx(日本語)
※12人以上の予約で最大10%ディスカウント。団体予約の問い合わせ、予約はTel: 0011-800-15-48-0000(豪州からの通話料無料)、またはgroupsales@cirquedusoleil.comへ。

 

<プレゼント>

本紙読者2組4人にシルク・ドゥ・ソレイユのチケット(7月19日(木)8PM〜)をプレゼント !

■応募方法以下のアドレス宛に① 住所、②氏名、③電話番号、④日豪プレスへの感想を記載し、7月4日(水)までに下記アドレスまでメールでご応募ください。当選者には締切後、メールで当選のお知らせをし、後日チケットを郵送いたします。Email: gceditor@nichigo.com.au

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る