「The Wiggles」マネージング・ディレクター ポール・フィールド氏インタビュー

「The Wiggles」マネージング・ディレクター ポール・フィールド氏インタビュー

歌・ダンス・グループ「The Wiggles」(ザ・ウィグルス=以下、ウィグルス)は子どもたちに圧倒的な人気を誇るオーストラリアを代表するグループの1つだ。そのマネージング・ディレクターを務めるポール・フィールド氏は自身もミュージシャンだが、ニュー・サウス・ウェールズ州警察に勤めたり、高校で歴史の教師として教鞭を取るなど、多才な経歴を持つ。また2017年には自身2冊目となる著作『Gimme Shelter』も発表。在豪日本人の子どもたちの間でも人気の同グループ・マネージャーのポール氏に同著への思いや、長年携わってきたウィグルスの歴史などについて話を伺った。(聞き手=高坂信也)

生き残った、ということを考える

今回、ポール氏が書き上げた『Gimme Shelter』の表紙
今回、ポール氏が書き上げた『Gimme Shelter』の表紙

――2017年に執筆された『Gimme Shelter』にはどのような内容が描かれているのですか?

戦争で亡くなった軍人の方々やジャーナリストら16人の遺族たちにインタビューを行い、まとめたドキュメンタリーです。大切な人を失ってしまった人たち、特に戦没者に関係があった人びとに尋ねてみたいと思い、インタビューを敢行しました。「生き残る」ということについて深く考えさせられる体験でした。

――インタビューは苦しかったのではないですか?

はい、とても。インタビュー中、彼ら(遺族)の胸中にはいろいろな思いが溢れ返ります。そうした場合には、私は話すことをやめるようにしました。彼らにとって話すことが難しすぎるであろうことも理解していましたし、私が話したことが、彼らに影響を与えすぎてしまう可能性もあり、それをしてはいけないなと細心の注意を払いました。

――この本がポール氏の処女作となるのですか?

実は『Gimme Shelter』は2冊目で、1冊目はニュー・サウス・ウェールズ州警察で働いていた時のことを書いた『Confessions of a Crooked Cop』になります。書いたり読んだりすることを昔から好きで、また歴史が好きなこともあり、ドキュメンタリーを書くことが好きなのです。

世代はループする

――ポール氏が「ウィグルス」のマネージング・ディレクターを始めたきっかけを教えてください。

オーストラリアのTV番組「Today Extra」での1枚。笑顔を見せるポール氏(右から2番目)と、アンソニー氏(左から2番目、写真提供=ポール・フィールド)
オーストラリアのTV番組「Today Extra」での1枚。笑顔を見せるポール氏(右から2番目)と、アンソニー氏(左から2番目、写真提供=ポール・フィールド)

私は元々、兄弟らと共に「The Cockroaches(ザ・コックローチズ)」というロック・バンド名で活動し大きな成功を手にしました。そんな中、1988年、私の娘が幼くして「乳幼児突然死症候群」(Sudden Infant Death Syndrome/SIDS)という病気に掛かり亡くなってしまいました。その後、弟であるアンソニー・フィールド(現ウィグルス・メンバー)が、大学で幼児教育を専攻し勉強を始めました。そうした背景から、91年、アンソニーを筆頭に「子どもたちのためのグループを作ろう!」と考え、「ウィグルス」として活動を開始しました。

それまでは、最高裁判所やニュー・サウス・ウェールズ州の警察署内、あるいは高等学校で歴史の教師をしたり、ロック・ミュージシャンとして活動していたので、子ども向けグループのディレクターという全く異なる分野での仕事にワクワクしました。

――ウィグルスは絶大な人気を誇っていましたが、2012年に大きなメンバー・チェンジがありましたよね。

そうです。オリジナル・メンバーのうち、20年以上パフォーマンスを続けてきた3人が脱退しなければなりませんでした。ジェフ(・ファット)は、心臓にペースメーカーを付けなければならない状況で、他の2人は子どもたちが大きくなったことを機にリタイアしたいということでした。

デビューから20年間、ウィグルスは人気グループとして活動してきましたが、皆で築き上げてきたこともあり、彼らの脱退はとても悲しかったですね。ただ、メンバー4人のうち3人が脱退しても、活動を休止しようとは思っていませんでした。なぜなら長年、活動を続けてきたことで、当時観客だったりテレビで観ていた世代のファンが成長し親になり、その子どもたちが新たに観客となる形でループしていたからです。

――新メンバーはどのように決められたのですか?

新メンバーに誰を選ぶのかということは、とても重要なことでした。ウィグルスのメンバーとしての仕事は一時的なものではありません。毎日、異なった環境下でさまざまな人たちと一緒に仕事するにはタフでなければなりませんし、一度メンバーに加わるからには長くとどまって欲しいのです。私たちの仕事は怠惰なものではないので(笑)。

それもあり、以前にサポート・メンバーとしてウィグルスと一緒に働いたことがある中から3人を決めました。

――ウィグルスは、ステージ・セットやパフォーマンスなどの演出も自ら手掛けていると伺いました。子どもたちが楽しめるような演出はどのようにして思い付いているのですか?

パフォーマンスなどの演出は、クリエイティブ・ディレクターも務めるアンソニーが担当しています。音楽についても同様ですね。ウィグルスの観客には赤ちゃんから、プレスクールに通う子どもたち、それより上の子たちなど、「子ども」とひと口に言ってもさまざまな年代の子がいます。そのため、いろいろな年代に合ったストーリーの曲を常に考えていかなければいけません。メロディーはもちろん、歌詞もアクションもそうです。

だからこそ、アンソニーが学んだ幼児教育についての知識・スキルが私たちを成功に導いているのだと思っています。ザ・コックローチズでの音楽の成功への過程と、幼児教育への深い造詣が良いコンビネーションを生み出しているのだと思います。

――ウィグルスの今後の展望をお聞かせください。

次なる挑戦は、日本を含む190カ国以上を網羅しているNetflix(ネットフリックス)で、英語を学ぶためのツールとして「ウィグルス」を起用してもらえるようにすることですね。そのためにもっともっとたくさんのコンテンツを提供していきたいと思います。またオーストラリアはもちろん、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、イギリスなどの英語圏ではツアーを精力的に展開しており、マーケットを拡大中です。

実は、以前に日本のディズニーランドでショーをしたことがあるんです。いずれまた日本にもツアーも兼ねて行きたいですね。

ポール・フィールド(Paul Field)
1961年生まれ。子ども向けグループ「The Wiggles」のマネージング・ディレクター業の傍ら、本の執筆なども行い、その活動は多岐にわたる。娘の死をきっかけにチャリティー「Red Nose」の活動を積極的に行っている。弟の1人に、現ウィグルス・メンバーでブルーを担当するアンソニー・フィールドがいる

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