豪州ツアー敢行記念「CIBO MATTO」インタビュー

オーストラリア初のワールド・ツアーを敢行!

人気デュオCIBO MATTOのMIHOさんにインタビュー

 ニューヨークを拠点に音楽活動を続け、斬新なコンセプトとほかに類を見ない個性的なサウンドで世界中の音楽ファンから注目を集める人気デュオ、CIBOMATTO。その2人が10月、オーストラリアでは初となるライブ公演をシドニー、ブリスベン、メルボルンの3都市で行う。既に何度か凱旋公演をしている東京では、ブルー・ノートやリキッドルームといった時代の最先端を行くエッジーな会場を舞台にコアな音楽ファンをも魅了してきた彼女たちだけに、このオーストラリア公演ではいったいどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、思わず期待がふくらむ。今回編集部は、メンバーのMIHOさん(写真右)に直接話を聞く機会を得た。そのインタビューの模様をお届けする。文・構成:荒川佳子

©Sean Lennon

——CIBO MATTOのもう1人のメンバーであるゆかさんとの最初の出会いは、ニューヨークで行われた日本祭りだと伺いました。
 私がニューヨークに来たばかりのころの出来事ですね。もう20年以上も前のことで、はっきり言ってこの時のゆかとの最初の出会いについては、もうあまりよく覚えていないんですよ(笑)。ただはっきり覚えているのは、その頃なんだか日本食が恋しくなってしまって、美味しい日本食を求めてそのお祭りに遊びに行ったのだということ……。

 

——その後活動を休止されて10年ほどのブランクを経て、その後2011年に再開された時のきっかけは震災のチャリティだったそうですね。
 震災が起きたのはその年の3月でしたが、同年2月には「ホテル・バレンタイン」の製作を始めていたんです。そこで、震災が起きた時に、なにか私たちにもできないかと、オノ・ヨーコさんとサックス奏者のジョン・ゾーンさんが立ち上げられた2つのチャリティー・プロジェクトに参加することにしました。

 

——オノ・ヨーコさんとはともにニューヨークで活動される日本人クリエイターというところで共通点が見られますが、何か特別に共感されることなどはありますか。
 1枚目のアルバムでもオノ・ヨーコさんの曲のリミックスをさせていただいているんですが、ヨーコさんのクリエーションで尊敬するのは、音楽作品にしても芸術作品に関しても、何か一貫して筋の通った強烈なメッセージが込められているところ。彼女の著書を読んでいても、例えばフェミニズムに対する凛とした姿勢とメッセージ性にはたくさん考えさせられるところがあり、感銘を受けます。CIBO
 MATTOとしても、作品を通して、常に何かメッセージを込めるというコンセプチュアルな部分をとても大事にしてきているので、そこは共感する部分です。

 

——CIBO MATTOの活動を通して伝えたいこと、訴えたいもの、また、メインとなるコンセプトなどはあるのでしょうか。
 例えば1枚目のアルバム、「ヴィヴァ!ラ・ウーマン」のコンセプトは“フード&ラブ”だったんですが、そもそもユニット名であるCIBO MATTOも、イタリア語で「食べ物狂い」という意味なんですよ。この辺りには私たちの食に対する情熱がそのまま現れています。食べるのが好きなんです。一方、「ホテル・バレンタイン」のアルバムの方は、“ホテルの廊下を徘徊する幽霊と宿泊客のラブ・ストーリー”というのがコンセプトになっています。

 

——MIHOさんのこれまでの活動遍歴を見ると、ビースティー・ボーイズのアルバムに参加されていたり、はたまた別ユニットのSmokey & Mihoなどではジャジーでボサノバな世界観を展開されていたりと、そのジャンルは多岐にわたりますが、根底を支えるバック・グラウンドや嗜好などはあるのですか。
 特に無くて、逆にジャンルに囚われない、縛られない、ということを核にしています。これは音楽をプロとして始める前からずっと変わらないのですが、私は永遠のリスナーでありたいし、ある、と決めていて。その際には、ジャンルやミュージシャンで選りすぐることはせずに、なんでも楽しむようにしています。だからこそ、CIBO MATTOなどでは、みんなの聴いたことのないような新しい音を生み出したりもできるんだと思います。

 

——そもそも日本から渡米された当初の目的は、プロのミュージシャンになることだったのでしょうか。
 当初、というかそのもっと前からずっと音楽が好きでしたけど、まだそのころは音楽活動を始める前でした。最初は語学を勉強することを目的に来ました。

 

——ニューヨークは、MIHOさんから見てどんな街ですか。
 とてもチャレンジングなところではありますが、いろんなアングルから刺激を受ける機会に恵まれ、楽しさにあふれていると思います。先ほど、私たちは今もこれからもずっと、永遠のリスナーであると言いましたが、ここで暮らしていると音楽1つとっても、ブラジリアンや、ジャズ、南米、インド、中東、アフリカ、クラシックとすごく多国籍なルーツのものから、ラップ、ノイズ、ダンス・ミュージック、ロックなどの進化系の現代音楽まで幅広く聴くことができる。そんなところはすごく良いなと思います。でも、情報量の多さなどでは、逆に日本にはかなわないと思うことも多々あって、逆輸入して仕入れることも……。特に日本の雑誌の情報の充実ぶりには圧倒されます。よくニューヨーク特集が組まれていたりしますよね。それなんかを見ていると、ローカルに住んでいる私たちでもカバーできていないことがたくさん書かれていたりして、改めて新発見があることも多々あるんです。

 

——今回のワールド・ツアーの見どころを教えてください。
 私たち自身、日本人ではありますが、ニューヨークに長年暮らしたその環境を通して、読者のみなさんと同じように、“海外に住んでいるからこそ培った何か”があるのではないかと思っています。私たちの音楽にはそんな独特の視点やコンセプトがよく現れていると思うので、ぜひそこを楽しんで欲しいですね。ご飯でいえば、タイ・スタイルのおかずがあって、でもお刺身もご飯もあって、さらになんか変わったサラダもあるというような、そんなざっくばらんなミックス・スタイルを満喫していただきたいです。

■ CIBO MATTOワールド・ツアー

ブリスベン公演
日程:2014年10月29日(水)
会場:The Zoo (711 Ann Street, Fortitude Valley QLD)
Web: www.thezoo.com.au

シドニー公演
日程:2014年10月30日(木)
会場:Oxford Art Factory (38-46 Oxford St, Darlinghurst NSW)
Web: www.oxfordartfactory.com

メルボルン公演
日程:2014年10月31日(金)
会場:Oxford Art Factory, Darlinghurst (180 St Kilda Road, Southbank VIC)
Web: www.ngv.vic.gov.au

プロフィル
チボ・マット 1996年に音楽プロデューサーのミッチェル・フルームとチャド・ブレイクとともに製作したアルバム『ヴィヴァ!ラ・ウーマン』でメジャー・デビュー。同アルバムは食べ物をテーマにしたユニークな歌詞とサウンドで注目を集めるとともに、収録曲の「Sugar Water」「Know Your Chicken」のプロモーション・ビデオがミシェル・ゴンドリー、エヴァン・ベルナルドといった人気ディレクターに手掛けられたことでMTVなどを通じてファン層を幅広く獲得していく。2014年2月14日のヴァレンタイン・デーに、15年振りとなるオリジナルアルバム『ホテル・ヴァレンタイン』をChimera Musicよりリリース。

「HOTEL VALENTINE」
(CHIMERA MUSIC)

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