エアライン特集「変わる空の旅」

カンタス航空がいよいよ8月から羽田空港へ就航する。オーストラリアと羽田を結ぶ直行便はこれが初めて。カンタスに追随するように、ANAもシドニー〜羽田線の就航を7月に発表したばかり。在豪日本人にとって一時帰国に欠かせないフライト選びに今年は変化が起きそうだ。取材・文=小副川晴香

新路線就航ニュース

カンタス航空がついに羽田に就航

カンタスはシドニー〜羽田線でB747-400型機を投入
カンタスはシドニー〜羽田線でB747-400型機を投入

オーストラリアの航空大手カンタス航空(カンタス)は8月1日より、シドニー~羽田線とブリスベン~成田線の運航を開始する。これにより現行のシドニー~成田線は廃止され、同路線は日本航空(JAL)のみの運航となる。

シドニー~羽田線は、B747-400型機を投入し毎日運航。座席数はビジネス・クラス58席、プレミアム・エコノミー・クラス36席、エコノミー・クラス270席。一方、ブリスベン~成田線もA330-300型機で毎日運航する。座席数は、ビジネス・クラス28席、エコノミー・クラス269席。カンタスはオーストラリア~日本間で1日2便体制をとり、供給座席総数は9,000 席以上となった。

ANAがオーストラリア路線を復活

ANAは同路線でB787-9型機を投入
ANAは同路線でB787-9型機を投入

全日本空輸(ANA)は7月16日、16年ぶりにオーストラリア線を復活させ、シドニー~羽田線の運航を今年12月11日に開始すると発表した。カンタス同様、毎日運航で、機体はB787-9型機を投入。座席数はビジネス・クラス48席、エコノミー・クラス167席。ANAのオーストラリア路線は日本人観光客市場の縮小を背景に1999年に廃止されていた。共同運航便も2001年に提携先だったアンセット航空破たんに伴い停止し、オーストラリア路線から完全撤退していた。

ANAがオーストラリア路線を復活させたことで、今後、オーストラリア~日本間で直行便が運航するのは、カンタス、JAL、ANA、カンタス子会社で格安航空(LCC)ジェットスターの4社となる。

オーストラリア〜日本線拡大の背景

ここ数年、オーストラリアから日本を訪れる観光客数が増えている。日本政府観光局が発表した統計によると、14年に日本を訪れたオーストラリア人は前年比23.8パーセント増の30万2,656人。継続的な訪日旅行プロモーション「VisitJapan」の展開に加え、円安傾向にあること、そして昨年4月末に新規就航したジェットスターのメルボルン~成田線も訪日需要の底上げに貢献。こうした背景も、カンタスが新路線の就航に踏み切る後押し材料となったようだ。

ブリスベン~成田線は、ジェットスター・ジャパン国内線との乗継利便性を重視したという。カンタスのアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は、カンタス・グループが既にジェットスターのケアンズ・ゴールドコースト~日本路線を運航していることに触れ、「オーストラリア~日本路線がレジャーとビジネス双方の役割を担っている」と強調。新路線の就航により、オーストラリアを訪れる日本人が増え、クイーンズランド州の観光産業が活性化することへの期待感を示した。

また近年、日系企業によるオーストラリア進出が相次いでいる。今年1月には日豪経済連携協定(EPA)が発効し、両国の経済関係はより強固なものとなった。今後、シドニー~羽田線では、ビジネス需要のさらなる拡大が見込まれるという。

これらの状況を背景に、カンタスとANAは、東京都心に近い羽田空港から出張客に便利なダイヤで運航し、ビジネス需要に照準を合わせる狙いだ。新路線はシドニー、羽田ともに夜出発して翌朝に到着するため、出張や乗り継ぎの利便性が高いのが特徴。ANAは、新路線就航によって両国間の経済や文化的な交流拡大をはじめ、訪日需要の創出に貢献していくという。ますます加熱するオーストラリア~日本路線。今後は新規路線の拡大に伴い、各社が独自のサービスで集客を図っていくことが求められそうだ。

■︎ANA羽田〜シドニー路線のダイヤ(毎日運航)12月11日運航開始

便名 出発 到着
NH879 羽田 22:10 シドニー 9:35(翌日)
NH880 シドニー 21:30 羽田 5:05(翌日)

■QF羽田〜シドニー路線のダイヤ(毎日運航)8月1日運航開始

便名 出発 到着
QF26 羽田 22:00 シドニー 8:30(翌日)
QF25 シドニー 20:40 羽田 5:30(翌日)

■QF成田〜ブリスベン路線のダイヤ(毎日運航)8月1日運航開始

便名 出発 到着
QF62 成田 20:55 ブリスベン  7:00(翌日)
QF61 ブリスベン 11:00 成田 19:15

進化する機内サービス

どの航空会社を利用するか検討する際にチェックしたいのが機内サービスだ。航空各社は近年、座席(シート)開発には特に力を入れているという。

世界一の評価を受けたJALのエコノミー・クラス・シート

長時間狭いところに座る空の旅だからこそ、シートにはこだわりたい。航空各社では、出張需要が見込め大きな収益源となるビジネス・クラスのシートに特に力を入れている。近年では、シートを倒せば水平になる「フル・フラット・シート」を各社が導入し快適性を追求する中、JALではエコノミー・クラスのシートにも注力。プレミアム・エコノミー並みの快適さを楽しめるという。

シドニー〜成田線でも体験できるJALエコノミー・クラスの「スカイ・ワイダー」
シドニー〜成田線でも体験できるJALエコノミー・クラスの「スカイ・ワイダー」

JALは13年1月から、エコノミー・クラスの前後の座席間隔を約10cm拡大して足元の空間を拡大した「スカイ・ワイダー」を国際線のB777-300型機に「新・間隔エコノミー」として導入して以来、順次サービス路線を拡大中だ。

同シートは今年6月、航空会社や空港などの評価を手がける英スカイトラックス社の「2015年ワールド・エアライン・アワード」で「ベスト・エコノミー・クラス・エアライン・シート」賞を受賞。全世界の航空会社で最も優れていると評価された。この「スカイ・ワイダ-」を導入した機材での運航が、シドニー発15年10月26日~16年3月26日まで決定しており、「新・間隔エコノミー」をシドニー~成田間で体験することができる。

寝心地の良さを追求したJALビジネス・クラスの「スカイ・スイート」
寝心地の良さを追求したJALビジネス・クラスの「スカイ・スイート」

また、寝心地を重視したJALのビジネス・クラス・シートも魅力的だ。13年にはスカイトラックス社の「ワールド・エアライン・アワード」で、最も優れたビジネス・クラス座席に贈られる「ベスト・ビジネス・クラス・エアライン・シート」賞を、日本の航空会社で初めて受賞した。同社自慢の「JALスカイ・スイート」は、近年主流の1つである「スタッガード型」と呼ばれる全席から通路アクセスができる座席配置を採用。ベッドの長さは約188cm、ベッド幅は約65cm。クラス最大級23インチの個人モニターも配置し、個室感の高いプライベート空間を実現した。

機内快適性をとことん追求したANA

シドニー~羽田線で投入されるB787-9型機は、客室内湿度、耳への気圧負担感、開放感のある窓を採用するなど、これまでにない快適性を実現した。それぞれのクラスにANAの最新シートを搭載。エコノミー・クラスでは空間の広がりが感じられる薄型のシートを導入し、エンターテインメント機能も充実。プレミアム・エコノミーでも、ゆとりあるシート・ピッチを確保し、ワンランク上の上質さを追求した。

また、今でこそビジネス・クラスで主流となった「スタッガード型」のフル・フラット・シートだが、日本の航空会社で導入したのはANAが初めて。ベッドの長さは約189cm、幅は約64cmと、機内でくつろぐには十分な広さを実現。また、各座席に大型のサイド・テーブルを設け、飲み物やパソコンの置き場にも困らない。完全な個室ではないものの、圧迫感を与えないシート設計になっている。

カンタス、世界初のフル・フラット・シート導入

一方、カンタスも負けてはいない。ブリスベン~成田線のビジネス・クラスでは、世界初となる離陸から着陸までシート・リクライニングが可能なシート「ビジネス・スイート」を搭載した。同シート搭載機が日本路線に導入されるのは今回が初めてだという。シドニー~羽田線のビジネス・クラスでは、乗客の好みに合わせて調整できるシート「スカイ・ベッド」にマットレスを敷き、羽毛布団がセットされる。

気になる機内食は?

旅の楽しみの1つでもある機内食。日系エアラインは近年、人気レストランや有名シェフとコラボレーションしたメニュー開発に注力してきた。機内食は顧客満足度につながりやすいだけに、進化を続ける機内食には今後も目が離せない。

人気外食チェーンとコラボしたJALの機内食「AIRシリーズ」
人気外食チェーンとコラボしたJALの機内食「AIRシリーズ」

JALの「AIRシリーズ」は大人気

JALで注目したいのが、これまでに数々の人気外食チェーンとコラボレーションしてきた「AIRシリーズ」だ。成田発シドニー便のプレミアム・エコノミー・クラスとエコノミー・クラスでは、吉野家ホールディングスと共同開発した「AIR吉野家」の牛丼や、スープ専門店「スープ・ストック・トーキョー」とコラボした「AIR SOUP STOCK TOKYO」のホタテと野菜のチャウダーなどが評判を呼んだ。同シリーズは、シェフとともに調理方法や味付けまで何度も試作を繰り返し、機上でも再現可能な味に仕上げているという。現在は「AIRモスバーガー」が提供されているので、JALを利用する場合はぜひ堪能したい。

JALのビジネス・クラスで和食を選ぶと郷土料理を味わえる
JALのビジネス・クラスで和食を選ぶと郷土料理を味わえる

また、ビジネス・クラスでは「空の上のレストラン」をテーマに一流シェフの監修による旬の食材を使った機内食「BEDD SKY AUBERGE by JAL」が楽しめる。8月の成田発シドニー便で洋食を選択すると、東京・麻布十番にある「山田チカラ」のオーナー・シェフ、山田チカラ氏監修による献立「国産牛サーロイン・ステーキの夏野菜ソース、ジャガイモのニョッキ添え」を堪能できる。和食を選んだ場合は、日本各地の郷土料理が機内で炊き上げた白米とともに提供されるので、こちらも見逃せない。

ANA、空の上で一風堂のラーメンを

ANAのビジネス・クラスでは世界の有名シェフによる機内食が楽しめる
(上)ANAのビジネス・クラスでは世界の有名シェフによる機内食が楽しめる (下)アルコールや軽食類が充実したANAのプレミアム・エコノミー・クラス

ANAは13年9月、世界的に有名なシェフらとANAのシェフから成る機内食プロデュース・チーム「ザ・コノシュアーズ」を立ち上げ、メニュー開発を行っている。フレンチのミシュラン3つ星シェフとして名高い美食の巨匠ピエール・ガニェール氏をはじめ、和食では奥田透氏(ミシュラン3つ星)や西川正芳氏(ミシュラン2つ星)など、世界的に知られる有名シェフが季節ごとに機内食をプロデュース。

さらに国際線のファースト・クラスや一部のビジネス・クラスでは、人気ラーメン店「博多一風堂」と約1年半をかけて機内専用に独自開発した、空の上のトンコツ「そらとん」とコク極まる味噌「大地」が提供され人気を博している。

プレミアム・エコノミー・クラスでは、エコノミー・クラスの食事に加え、スパークリング・ワインのサービスやビジネス・クラスで提供される赤・白ワインや日本酒、デザート、軽食などが楽しめるという。

カンタス、新機内食はボリューム大

エコノミー・クラスの機内食といえば、メインが「肉か魚」の2択しかないのが一般的だ。しかし、カンタス航空は今年3月、国際線のエコノミー・クラスの機内食をリニューアル。メイン・ディッシュのボリュームを50パーセント増量し、メニューは従来の2種類から「ヘルシー・オプション」「なじみのある食事」「路線の特徴を生かしたメニュー」の3種類に拡大、日本発の路線では和食も楽しめる。また、離陸直後には、オーストラリアの老舗飲料メーカーBickford社がカンタス向けに開発したウェルカム・ドリンク(レモンとエルダー・フラワー味、ピンク・グレープフルーツ味)が提供される。

成田空港に第3ターミナルがオープン

成田国際空港株式会社は4月8日、成長著しいLCCの受け入れ体制を強化するために「第3旅客ターミナル」をオープンした。これにより、ジェットスター・ジャパンやバニラ・エアなどLCCによる国内線利用が従来より便利になった。


陸上トラックがモチーフのユニークな第3ターミナル(提供:成田国際空港株式会社)

新ターミナルの特徴は、陸上トラックをモチーフにデザインされたターミナルの床。出発は青、到着は赤のラインで示し、分かりやすさを重視した。また、LCCターミナルというと簡素なイメージがあるが、国内空港最大となるフード・コートを設置。寿司やうどん、ハンバーガーなどのファスト・フード店を置き、早朝4時から夜9時まで営業している。

オーストラリアから直行便を利用して、第3ターミナルを利用する時に注意したいのが乗継時間だ。例えば、JALやカンタスが発着する第2ターミナルから第3ターミナルまでは約500メートル離れているため、徒歩15分かかる。このため、両ターミナルを無料で往復するターミナル連絡バスを利用することをお勧めする。

同バスは、午前4時半から午後11時20分まで5~8分間隔で運行し、所要時間は10~15分。第2ターミナルでは24番乗降場から、第3ターミナルでは1階バス乗降場から乗車できる。なお、国際線から国内線への乗り継ぎは、2時間以上のゆとりを持って臨みたい。

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