【キーマン特別対談】デジタル特化型新事業「d.doq」

デジタル特化型新事業「d.doq」
キーマン特別対談


シドニーを拠点に日系企業及び日本政府機関のプロモーション事業や日本に関連する事業のマーケティングを手掛ける在豪日系企業doqが、この度デジタル・マーケティングに特化した新会社「d.doq」(ディー・ドック、Web: theddoq.com)を設立。その代表には、グローバル・ブランドのデジタル・マーケティングにおいて長く活躍してきた金田竜一氏が就任。新事業開設の狙い、金田氏起用の経緯、そして同社が思い描く今後の展開について話を聞いた。(取材=山内亮治)

変革期に立ち向かう新会社

――今回の新会社設立に至った経緯とはどのようなものだったのでしょうか。

作野「開業以来9年間にわたる事業の中で、顧客の多様なニーズに応えるための最適な布陣作りが求められてきたことに加え、現在ではマーケティング・コミュニケーションに与えるデジタルの影響が想像以上に大きなものとなってきました。デジタルは、単純なツールというよりも人びとの生活の中心に位置するものとなっています。そのため今後は、デジタル分野に特化する形で、顧客により洗練されたサービスを提供する必要があると思ったことがd.doq設立のきっかけでした」

――デジタルに特化するからこその「d.」というネーミングであるわけですね。

作野「それだけではありません。d.doqは『デザイン思考』にインスピレーションを受けて起こされた事業でもあるんです。デザイン思考とは、消費者のインサイトに基づき本当に人が必要とする物を革新的に作っていくということ。そこに向けての新しい取り組みを、デジタルを核に使い展開していきたいと思います。また、今回の新事業は私たちにとって今まで積み上げてきたものを『ぶっ壊す(disruption)』くらいの事業であるという意味合いもあります。これまでの事業展開も間違いではありませんでしたが、今までのものを破壊しても良いというくらいの覚悟を持ち、より新しいサービスを作っていきたいと考えています。ですので、d.doqの名前には“digital”、“design thinking”、“disruption”の3つのコンセプトが込められています」

――積み上げるよりも新しくゼロから作ることが求められるほど、現在のビジネス・モデル自体が変革期に差し掛かっているわけですね。

作野「そうですね。doqは総合代理店機能を持たせたクロスカルチャーな企業として今後も存在していきますが、d. doqはこの時代の変革の中で消費者が求めているものにより近づけるよう機動性やアイデアを持ち合わせ、サービスを展開出来る会社にしていきたいと思います」

20年来の関係とビジネスへの感銘

――d.doqのスタート以前から作野さんと金田さんはビジネスで協力し合う関係だったのですか。

作野「実は、金田とは同じ兵庫県出身でお互いサッカーをしていたんです。同じ地域にいたので若いころは一緒にプレーをしたこともあります。社会人になってお互いのキャリアは違ったものとなりましたが、それでも時々連絡を取り合ってはいましたね」

――デジタル・マーケティングの事業をdoqで立ち上げる際、作野さんにとって適任は金田さんしかいないとお考えでしたか。

作野「もちろん、声を掛けたかった人材の1人でした。その上で、決め手となったのは、経験です。金田はデジタル系クリエイティブ・ブティックを立ち上げたことがあり、その会社立ち上げの経験が他の方よりも抜きん出ていました。デジタルの分野で活躍する多くの優秀な人材の中で、会社立ち上げの経験も持つ人材となれば金田しかいませんでした。そして、20年来の知り合いということもあり、事業の中核を担ってもらうのに最も重要な信頼を置ける人物でもありました」

――金田さんとしては、「d.doq」参画へのお誘いを受けた時の率直なお気持ちはいかがでしたか。

金田「doq入社以前は、世界的に活躍するデジタル・エージェンシーに所属し、COOという肩書も頂けていました。その状況であれば、普通はこのままで良いのではないかと考えますよね。大企業にいることで守られるものも多いわけですから。また、新しく会社を移るということは家族にも影響が及ぶ大きな決断です。そういう意味では迷いはしましたが、それ以上に作野がやっているビジネスとビジネスに対する情熱に感銘を受けたことの方が大きかったですね。自分が40歳を迎え、一生懸命働けたとしてあと残り20年程度と考えた時、もう一度情熱を持って新たに挑戦出来るのは今しかないのではないかと考えていたタイミングで、今回のお話があったんです」

即興性と専門性を兼ね備えた経営

――d.doqは今後、具体的にどのような方法で事業を展開していくのでしょうか。

金田「基本的には、ノマド・スタイルでの経営になります。現在はデジタル技術の発達のお陰で、ツールさえあればコミュニケーションは取れますよね。個人がスキルを使って結果やソリューションを出せれば、働く場所をあえて問う必要は無いと思っています。d.doqとしてのオフィスもありますが、ノマド・スタイルの方が広範囲にいろいろな方と仕事が出来るので、お客さんにとってのベストなソリューションを提供出来るはずです」

――つまり、出来るだけ最小の単位で即興性を持ったビジネスをされていくということですね。

金田「私たちは『トライ&エラー』と言っているんですが、実際『やってみないと分からないこと』が多いんです。ただ、ある程度はリスク・ヘッジしながら事業を進めていくので、100パーセント失敗するということは基本的に無いと思いますが、それでも新たな挑戦を常にしていくでしょうね」

――d.doq自体は何人のメンバーで構成されるのですか。

作野「7月のスタート時点では、私を含め4人です。ただ、デジタルというのはどうしても専門性が求められる分野なので、『ワン・オーシャン・ネットワーク』という300人強のアジア屈指のデジタル専門家で構成されている独自のネットワークから最適な人材、会社を選び協業するというスタイルを採用します。要は、顧客に対しベストなソリューションを提供出来るチームをプロジェクトに応じ構成するのがd.doqの役割です。ただ一方で、デジタル事業をリードする立場として自分自身もデジタルに関する専門性を持ち合わる必要がありました。そこで、今回のd. doq設立に際し、世界中でデジタル・クリエイティブの人材を輩出している教育機関『ハイパー・アイランド』シンガポール校の大学院に月1回通学し、ネットワークも構築しています。まずは、自らデジタルを探求し明確なビジョンを持ってこの事業を展開することが重要だと考えました」

――今後のd.doqとしてのビジョンを聞かせて頂けますか。

作野「デジタル・マーケティングの分野でまだ解決出来ていないことの1つに『人に本質的に好まれるコミュニケーション』が確立されていないという課題が有るのではないでしょうか。例えば、動画サイトで見る数秒のCMが好きだという人はほとんどいないですよね。デジタルというものを駆使して、押し付けではなく個々のユーザーへいかに本質的に有益な情報を伝えるか。これは、まだどの会社も解決出来ていない課題だと思います。その課題をd.doqでは、海外の消費者に日本の良い物を届けるという事業の展開の中で、試行錯誤しながら解決していきたいと思います」

金田「ちなみに、d.doqでは現在、シドニーで『デジタル・サイネージ事業』を日本食レストランを中心に5店舗展開しています。7月中に7店舗、年内には20店舗を目標にしています。また、今後は日本食レストランだけでなく日本に関連する企業やスーパーマーケットに事業を展開し、オーストラリアからその他の国へ事業を拡大していくという展望を持っています」

――本日はありがとうございました。

(6月7日、ドック・オフィスで)

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る