UNSW─世界のリーダーを育てる大学・大学院


NSW大のメイン・エントランス

世界のリーダーを育てる大学・大学院

UNSWに潜入


マーケティング・マネジャーのトリさんが温かく迎えてくれた


 シドニーにあるニュー・サウス・ウェールズ大学(UNSW)は、世界でもトップクラスの総合大学。英国の高等教育情報誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」による世界の大学ランキング(2012〜13年)で85位。雇用主による卒業生の評価も高い——。これらの数々の素晴らしい功績は、学校を決める上で重要なポイントとなるが、また、自分自身がのびのび成長するのに最適な環境が整っていることも不可欠だ。
 しかし、ただパンフレットを読んでいるだけでは、真の魅力を感じ取ることはなかなか難しい。では実際に潜り込んで様子を探ってみたらいいじゃないか! そこで編集部は、海外留学生の受け入れに携わる部署の門をたたき、マーケティング・マネジャーのトリさんと、海外留学生のアナスタシアさんに、UNSWの魅力や、大学のキャンパス・ライフ、留学前に気をつけることなどについて聞いてみた。

 シドニーの中心的な駅・セントラル駅のエディー・アベニューから、乗客がほぼUNSW学生というバスに乗り込み、南東に向かって揺られること約15分。たくさんの木々と近代的なビルがそびえる同校のメイン・キャンパスである、ケンシントン・キャンパスが見えてきた。バス停で降り、キャンパスの中心地へと歩を進める。この日は、校内でキャリア・エキスポが行われていたようで、学生たちの中にはスーツで登校している人もいた。
 編集部が向かったのは、ちょうどキャンパスのど真ん中にある、海外留学生センター。そこの1室でマーケティング課のトリさんが迎えてくれた。

 


カフェスペースもいっぱい

セオリーだけじゃない“使える”知識

オーストラリアを代表する名高い8大学で構成される「グループ・オブ・エイト」の創設時からのメンバーであるUNSW。1949年に創立された比較的新しい大学で、2011年度の学生数は約5万3,000人、その中で海外留学生は約1万2,000人だ。QS世界大学ランキングの「QSファイブ・スター」評価では卒業生の就職率や教授法、研究、学習環境、文化、国際性などの分野で最高レベルの「5スター・プラス」を世界で初めて獲得するなど、世界で認められた大学なのである。だが、この学校をこれまで高みに導き、“そんじょそこらの大学ではない”ようにするものとは、いったい何なのだろうか。トリさんに尋ねてみた。
「UNSWはとても若いのですが、世界でも有数の大学として発展することができました。それらの躍進は、「Scientia Manuet Mente」というモットーに基づいて成し得たことだと思います。これを英語に訳すと、『Knowledge by hand and mind=学術的な知識だけでなく実践的な知識』という意味になります。学問の世界で使える知識に加え、実社会でも役立つ知識を得ることができるようなサポートを提供するのが、何よりも大切だと考えています」
 学術的な専門知識のみを知っていても、頭でっかちのままで、実社会で利用するのは難しくなるが、それを応用する技術を得ておくことで、「即戦力」へとつながる——。これらを可能なものにする方針とサポートこそが、この大学の最大の魅力なのだろう。

グローバル人材を育成する


キャンパスでもひと際目立つビル。図書館などが入っている

 キャンパスを歩いていると、道々に何かとボールのような丸い物がモチーフのアート作品が目に留まった。気になってふと「これって、もしかして地球を表わしているのですか?」とトリさんに聞いてみたところ、やはり“世界”を意識しているため、これらの作品を置いている、とのこと。では、グローバル人材を育成する上で、学校では実際にどのようなことを行っているのか。
「現在、アジアの新興国が発展し、ビジネスや交流が盛んになってきているということで、U NS W では国際ビジネス、法律、社会科学、言語学など、多くのコースで、アジア環太平洋にフォーカスした授業を行っています。
 また、海外大学との提携による交換留学プログラムも行っています。グローバル人材を育成するために行っている事業で、学生たちは、実際に学んでいる国でしばらく暮らしながら勉強を続けることで、社会に出た時に役立つ国際感覚と専門知識を得られます。もちろん、ローカル学生だけでなく、海外留学生でも参加可能です。
 海外留学生の中には『オーストラリアで勉強している時点で、既に“留学”している状態にあるし、他国に行かなくても別にいいや』という人もいるのですが、せっかくほかの国で勉強する機会があるのですから、将来世界に羽ばたくためにも、ぜひ参加してほしいと思います」
 また、海外留学生は学生全体の5分の1を占め、その多くが中国やインドネシア、マレーシア、シンガポール、インドなどのアジア諸国から来ているという状況で、彼らとの学校内での交流もまた、留学生活においてかけがえのない経験や知識を与えてくれることだろう。

インターンシップで実践力を養う

先ほど、「学術的な知識だけでなく、実践的な知識も得ること」が学校のモットーだということが分かったが、実社会で役立つ実践的な知識というのは、果たして授業だけから得られるのだろうか…。少しあいまいなのでトリさんに質問してみたところ、鍵はインターンシップなのだそうだ。
「この学校では、インターンシップを学生たちに勧めています。幸いなことに、UNSW卒業生についての雇用先での評価がとても高いこともあり、現在、さまざまな分野において国内外の多くの企業に、UNSWの学生を受け入れていただいています。大学にいる間に、ある一定の契約期間、週2日ほど実際に企業で働くことで、より実践的な知識と技術が身に着くようになります」
 提出物やテストがたくさんある忙しい学生生活の中で、特にフルタイムで勉強をしているのであれば仕事をするのは大変かもしれないが、卒業後に役立つ経験や知識、技術が得られるのだから、これを利用しない手はない。産業界との強いつながりや、学校の評判、卒業生たちの頑張りなどによって実現可能となったこのサポートは、UNSWを留学先に決める大きな理由の1つとも言えるだろう。

 


校内には坂や階段が多くあり、アナスタシアさん曰く「いい運動になってる」そうだ

学生たちがせわしなく駆け込んでいく図書館

留学前には将来の目標を定めて

 最後に、数多くの留学生を見てきたトリさんに、留学前に気を付けなければいけないことを聞いてみた。
「よく『残念だな…』と思うのは、留学前にきちんと目標を定めずに入学し、何となくコースを選んで何となく勉強してしまっている、というケースですね。例えば、今流行っている上、両親が勧めるからという理由で、安易にビジネス・コースを取って履修してきたけれども、やっぱり自分に合わないと思って、人文科学のコースを始めから取り直すなど。これではお金も時間ももったいないですし、卒業してもきちんとしたキャリアにつながらないと思うんです。UNSWをはじめ、きっとほかの大学でもこのようなケースはたくさんあると思いますよ。
 この学校では在学中、自分の目指すキャリアにつながる多くのサポートを受けることができます。インターンシップを受けたり、アドバイザーに相談することも可能です。
 もし、この大学でどのようなことを学びたいのか、また将来はそこで学んだ知識をどのように生かしていきたいのか、ということが分からなければ、留学エージェントなどのアドバイザーに相談するなどして、目的を明確にしてから、学校やコースを選ぶようにしましょう。その後は全力でサポートさせていただきます!」
 貴重な留学を無駄にしないよう、ぜひ慎重に学校・コース選びをしたいものだ。
 インタビューの後、トリさんは「会わせたい人がいます」と言い、ある女学生を連れてきた。ロシア出身の海外留学生、アナスタシア・ズベンコさん(21)だ。
 現在、同大学の名門「カレッジ・オブ・ファイン・アーツ(College of Fine Arts=COFA)」の学士課程・デジタル・メディア(3Dアニメーション)を勉強中で、今年卒業予定という。そんなアナスタシアさんに、キャンパス・ライフについて聞いてみた。

留学失敗後、巡り会えたCOFA

まずはアナスタシアさんがこの学校にたどり着いたいきさつを紹介しよう。 高校卒業後、デザイナーを目指し、オーストラリアに来た。ロシアのモスクワで職を探すという手もあったが、経験もないため就職は難しく、競争率もとても高いため、両親がオーストラリア留学を勧めてくれたのだそうだ。
 まず、アナスタシアさんはシドニーの別の大学で留学をスタート。グラフィック・デザインを勉強することに。けれども、当時はあまり英語が分からなくて、授業についていくのが大変だったという。
「言語のサポートや先生方の海外留学生に対するサポートが受けられず、困っていました。例えどこかにサポート・サービスがあったとしても当時の私は、それさえも求める術を知りませんでした」
 また、両親の勧めで入ったのはいいが、きちんとコース内容を把握できておらず、ずっと学んでみたかった3Dアニメーションは、大学の3年間のある一部でしか学ばないことを後で知った。そして留学生活をスタートして間もなく、アナスタシアさんは学校を辞めることに。留学は失敗した。
 けれども、ここまで来たので引き下がれず、すぐに留学エージェントに相談しに行った。すると、UNSWのCOFAなら、3Dアニメーションを集中的に勉強することができることが分かり、転校することを決断した。

 


ランチや休憩を楽しめる図書館前の芝生

キャンパス内には銀行や郵便局、書店などもある

COFAでの1日

COFAでの留学生活は、予想以上に充実したものになった。
「先生は素晴しいし、クラスメートは刺激的。皆真剣にアートを楽しんでいると感じました。また、海外留学生を温かく迎えてくれるような雰囲気もあり、とても居心地がいいです。勉強したかった3Dアニメーションを集中して学べるし、ここに来てよかったなぁと思いました」
 COFAの建物はメイン・キャンパスではなく、シティ寄りのパディントンという町にある。周辺にはおしゃれなカフェやブティックが立ち並ぶ。建物には、アート・コースの学生が集い、アーティストのコミュニティーのような感じがするそうだ。そこでの生活ぶりがどんなものか気になったので、アナスタシアさんの“とある1日”について聞いてみた。
「授業が始まるのは朝だったり、お昼だったりと、スケジュールは結構バラバラですけれど、たいていはこのような感じです…。
 まず朝起きて、支度をしてからCOFAに登校。授業までちょっと時間があるから、校内のカフェでコーヒーを買って飲みます。今は校内改装中でカフェは閉まっているので、周辺のカフェで朝のコーヒー・ブレークを楽しんでいますけれど。
 そして授業がスタート。1クラスは、長くて3時間ですね。短いレクチャー(講義)やチュートリアル(少人数制クラス)の時もありますが、中にはそれらが全部一緒になったようなものもあります。私のクラスにはあまり海外留学生がいませんが、皆面白くて親切で、恵まれているなと思います。オーストラリアにいるからには、細かなことなんて気にせずに、リラックスして大らかに、そして気さくに振る舞うのが、私たちの暗黙の了解になってます(笑)。だからのびのびできるんですね。
 クラスが終わるとお昼ごろなので、友達と待ち合わせてランチを近くのカフェでします。その後は、もし課題が出されている時はコンピュータ室や図書館で勉強します。今は卒業プロジェクトで自分だけのアニメーションを作成中です! 毎日のように学校で作業しています。コンピュータ室の設備はよく整っていて、最新のマックと学校で必要なソフトウエアがそろっています。自分で買わなくてもいいから助かってます(笑)。
 もし休憩したいと思ったら、“コモン・ルーム”という、団らんエリアでまったりすることもありますね。お気に入りです」

 


海外留学生センターのビル

メイン・エントランスをまっすぐ進むと出くわす、地球型のアート作品

就職前には社会経験を

もうすぐ大学を卒業するということで、アナスタシアさんはUNSW内のグラフィック・デザイン・チームで、ジュニア・デザイナーとしてインターンシップを経験中。インタビューの日も、実は仕事の合間を縫って日豪プレスの取材チームに会いに来てくれていたようだ。仕事中にお邪魔して申し訳なかったなと思いつつも、インターンシップをすることを決めた理由や、卒業後のキャリアについてさらに聞いてみた。
「先輩方やクラスメートたちから聞いた話なのですが、デザイン業界において就職する際、雇用主は志願者の所属するコースの評判や、ポートフォリオ作品、インターンなどの経験が重要視するといいます。COFAは多くの企業から認められたところですし、求める職に就くには、インターンシップで得る職業経験が必要だな、と感じました。
 実際にインターンになってみて、まだまだ学ぶべきことはたくさんあるなと、しょんぼりしちゃうこともありますが、それでも自分の作品がポスターやバナーとなって校内で見かけられると、とてもやりがいを感じますし、いい刺激となっています。実は、海外留学生センターの受付に貼ってあるポスターも私が作成したものなんですよ(笑)! 将来はオーストラリアのデザイン事務所に就職したいので、今はインターンシップをしながら、卒業制作に没頭しています」

 

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トリさんとアナスタシアさんに話を伺って、「When there is a will, there is away=意志あるところ道は開ける」という諺が頭に浮かんだ。将来目指すものに例えいくつかの選択肢があったとしても、それらに何かの筋が通っていて、大学でそれらに向かって切磋琢磨することができれば、自ずと道が開けて良い機会に巡りあうということだ。そしてUNSWにはそのキャリアを築く道のりをサポートするものがたくさんある。キャリアにつながる教育を本気で学びたいなら、8〜9月あたりに開かれる同校のオープン・キャンパスに1度行ってみてはいかがだろう。さらに詳しい情報が手に入るはずだ。

 


今年で大学を卒業するというアナスタシアさんは3Dアニメーションを勉強中
カレッジ・オブ・ファイン・アーツ
(College of Fine Arts=COFA)
学士課程・デジタル・メディア
(3Dアニメーション)

アナスタシア・
ズベンコさん(21)

 


インターンシップ中のアナスタシアさんの作品が、海外留学センターで貼られていた

 
【取材協力】
University of New South Wales
Web: www.international.unsw.edu.au

 

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