モトGP2014 観戦ガイド

今年も熱い!

 

オーストラリア モトGP 2014

観戦ガイド

2014 AUSTRALIAN MOTORCYCLE GRAND PRIX

 二輪界の世界最高峰モトGP、2014年第16戦オーストラリア・グランプリが10月19日、メルボルンの南にあるフィリップ島で開催される。ライダーでは新星マルク・マルケスが優勝を重ねており、誰がマルケスを止めるか焦点となっている。メーカーではマルケスが騎乗するホンダが、追撃するヤマハに対して圧倒的に有利な展開となっている。今年のオーストラリア・グランプリの見所を紹介する。

新星マルケスの時代が到来か


今年も熱いバトルに期待(写真提供=ヤマハ)


バレンティーノ・ロッシ(写真提供=ヤマハ)


ホルヘ・ロレンソ(写真提供=ヤマハ)


マルク・マルケス(写真提供=ホンダ)

モトGPは、Moto GPクラス(1,000cc)、Moto2クラス(600㏄)、Moto3クラス(250㏄)の3つのクラスに分かれている。最高峰はモトGPクラスで最高時速は350kmにもなり四輪最高峰のF1とほどんど変わらない。

一昨年、彗星のごとく登場したスペインのマルク・マルケス(ホンダ21歳)は昨年ディフェンディング・チャンピオンのホルヘ・ロレンソ(ヤマハ27歳)と熾烈な争いを繰り広げた。合計8回の優勝を重ね、終盤3連勝して猛烈に追い込んだロレンソだが、安定して3位圏内に入賞し、優勝6回のマルケスに3ポイント差で逃げ切られた。

今年のモトGPの注目は、昨年初めて年間チャンピオンとなったマルケスがどの程度、成長しているか、ロレンソ、ダニ・ペドロサ(ホンダ 28歳)、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ 35歳)と実力者がどれだけ巻き返すか? という新星マルケス VS 旧王者たちの戦いが最大の見所であった。ところがシーズンが始まってみるとマルケスの連勝街道で、独壇場となった。マルケスは第1戦カタールGPから第10戦米国インディアナポリスGPまでを10連勝した。第11戦チェコGPで4位、第13戦サンマリノGPでは転倒により15位とやや調子を落としているものの、サンマリノGPまで289ポイントと2位のペドロサ(215P)、3位ロッシ(214P)を引き離している。ロレンソは2位が5回と健闘はしているものの177ポイントで4位と逆転優勝は不可能な位置に沈んでいる。年間チャンピオンは各GPでのポイントで決まる。1位25ポイント、2位20ポイント、3位16ポイントであり、優勝を昨年同様の330ポイントとするとマルケスは2位2回でほぼ到達するが、ペドロサ、ロッシは残りを5戦で全勝する必要がある。マルケスの開幕10連勝は、1970年にジャコモ・アゴスチーニの記録に並び、1964年にマイク・ヘイルウッドが24歳で樹立した史上最年少10連勝を更新した。

マルケスのすごさはひと言でいえばその速さにある。13戦の中、PP(ポール・ポジション)が10回、最速周回が10回ととにかく早い。深い前傾姿勢、膝や肘を路面に接触させるほどマシンを傾斜させる技術と度胸、高速を保ちながらターンからターンへの素早い切り替えなど、すべての点でライバルの前王者たちを上回っているのである。練習してできるレベルではなく、天性の運動神経と研ぎ澄まされたドライビング感性のなせる技である。

昨年こそぎりぎりで逃げ切り、初の年間チャンピオンとなったが、今年や来年以降、当分の間はマルケスの時代が続くと見られる。不世出のチャンピオンとしてマルク・マルケスの名前がモトGP史に刻まれる可能性は高い。

追撃するヤマハ、ホンダは逃げ切れるか

メーカー別(コントラクター)では、マルケスが駆るホンダが当然だがぶっちぎっている。サンマリノGPまででは、ホンダがマルケスの11勝とペドロサの1勝で合計12勝316ポイント。ヤマハはロッシの1勝だけだが、2位8回、3位2回で215ポイントと健闘している。昨年の成績ではホンダが8勝で389ポイントで1位、ヤマハは9勝だが381ポイントと2位に終わった。ホンダのマシンはRC213V。ヤマハは、YZR-M1。両社とも2013年マシンから大幅な変更点は無く、マシンの出来はほとんど変わらないと見られる。つまり今年のマルケスの快進撃はマシンの差ではなく、マルケスのドライビング・テクニックによるものである。一昨年からエンジン排気量が800ccから1,000ccへと大きく増加した。日本勢に対抗するイタリア、ドゥカティのマシンはデスモセディチGP14だが、昨年より未勝利で今年も日本勢に大きく引き離されている。

11年からモトGPから撤退していたスズキが15年から復帰すると発表された。ホンダ、ヤマハ、スズキの日本の3チームの活躍が楽しみである。

ブリヂストン、2015年シリーズで撤退

 

今シーズン第4戦スペインGPの最中に公式タイヤ・サプライヤーである日本のブリヂストンが15年シーズンを最後に公式サプライヤーを降りると表明し、モトGP関係者間に動揺が走った。現在のGPタイヤはワンメイクといって1社独占で供給する仕組みだ。ブリヂストンは、ワンメイクより前の時代、フランスのミシュランが独占供給していた02年に割って入り込み、徐々にシェアを伸ばし、開発力、製品力でミシュランを圧倒していった。09年からはGPのワンメイク化によりブリヂストンが独占公式サプライヤーの地位を勝ち取っていた。ブリヂストンはF1の公式タイヤも10年を最後に撤退している。一方でブリヂストンは今年、オリンピックのトップ・スポンサーに内定した。ブリヂストンのグローバル戦略がモータースポーツからオリンピックへと移行してきている。

日本人ライダー、若手ホープに期待

日本人ライダーでは、青山博(32歳)が昨年からモトGPに復帰し13ポイントを獲得した。今年はアスパル・ホンダへ移籍し、サンマリノGPまで全レースでポイントを獲得し、通算43ポイントを挙げている。10位以内を目標として頑張ってもらいたい。

モト2クラスには中上貴晶(カレックス・ホンダ、22歳)、長島哲太(モリワキ、30歳)が参戦している。若手ホープの中上貴晶は、昨年は4戦連続で2位に入るなど優勝まであと一歩まで迫ったが、今年は10位以内がなく伸び悩んでいる。青山に次ぐモトGPライダーとして活躍できることを期待している。


文=イタさん(板屋雅博)
ジャーナリスト。日豪プレスのコントラクト・フォトグラファー。AFL、テニス、ゴルフ、F1、サッカー、競馬などメルボルンのプロ・スポーツをメインに取材、撮影。メルボルンの情報・歴史が盛りだくさん「メルボルン百景(melhyak.web.fc2.com/)」も更新中。

観戦お役立ち情報

■レース・コース

 フィリップ・アイランド・グランプリ・サーキットは、メルボルンから140キロ南に位置し、コアラやペンギン・ツアーとして名高いフィリップ島にある。晴れた日には美しい海と緑に囲まれた世界一美しいサーキットと呼ばれるが、咆哮する南緯40度と恐れられるバス海峡から強烈な南風が吹き込むと世界一厳しい難コースに変わる。ホーム・ストレートは900メートルで全長4,448メートル。高低差も大きく、美しいが難しいコースである。

 

■服装

 フィリップ島は南極海から冷たく強い風が吹き付ける。メルボルン市内とは体感温度で4~5度は違う。地元の人は、完全な真冬用防寒具で身を包んでいる。冬用ジャケットや長靴、また観戦時に会場で広げるビニール・シートなども準備しておくこと。晴れた日には日焼け止め、サングラス、帽子も忘れずに。

 

■交通

 メルボルンからはシャトル・バスが運行している。市内フェデレーション・スクエア裏手にバス乗り場がある。決勝戦当日は朝6時45分と9時半の2便が運行している。メルボルン空港から会場まで毎朝10時1便の直行バスも運行されている。

 

■イベント

 会場では各種イベントが行われるが、目玉はライダーたちによるサイン会。17日、18日に行われ、マルク・マルケスなど世界のトップ・ライダーの直筆サインが入手できる。朝8時15~30分までにサイン会場に並んで整理券をもらうこと。
 決勝戦のある19日午前中は9時過ぎからスーパー・バイク・レースやモトGPのウォーム・アップなどが行われる。 午後12時25分からは、モトGPライダーのパレードがある。1時からはモト3クラス決勝レース(23周)、2時20分からはモト2クラス決勝レース(25周)と続き、4時からモトGP(27周)がスタートする。
 サーキット内の各種レースだけでなく、いろいろなイベントが開催されており、朝早くから丸1日楽しみたい。

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