立石諒も参加、NSW州オープン選手権

競泳界の未来を担う新星が活躍

ニュー・サウス・ウェールズ州オープン選手権

競泳のニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州オープンが2月27日~3月1日、シドニー近郊で行われ、ロンドン五輪銅メダリストの立石諒を含む21人の日本人選手が参加した。地元オーストラリアの強豪選手が数多く参戦する中、日本チームは多数の試合で表彰台に上がる好成績を収めた。本紙も試合に駆けつけ日本人選手にインタビューを敢行。これからの競泳界を担う若手選手たちの素顔に迫った。(文中すべて敬称略) 文・写真=小副川晴香

NSW州オープン選手権大会ハイライト

シドニーでは2月後半、どんよりとした曇り空が続いていたが、試合初日の27日は久しぶりに晴れ間が広がり汗ばむ陽気となった。試合が行われたのはシドニー近郊のオリンピック・パーク・アクアティック・センター。オセアニアを中心に10カ国以上から選手たちが参加した。

好調なスタートを切った日本勢

日本チームは27日、計7種目で優勝し初日から好調な滑り出しを見せた。先陣を切ったのは矢島優也(スウィン大宮)。男子200mバタフライで1分56秒38を叩き出し見事金メダルを獲得した。1月下旬に西オーストラリア州パースで行われたBHPビリトン4カ国対抗戦でも積極的なレースを見せた矢島は今大会でも大胆なストロークでほかの選手に差をつけ、現地の選手たちに衝撃を与えた。

女子100m平泳ぎでは日本記録保持者の渡部香生子(JSS立石)が1分7秒21で優勝。男子50m平泳ぎはロンドン五輪銅メダリストの立石諒(ミキハウス)が制した。男子50m背泳ぎでは川本武史(中京大学)が25秒38で優勝。リレー種目では、男女混合200mフリー(川内/原田/池江/持田)で1分36秒02、男子400mメドレー(川本/立石/深谷/川内)で3分39秒59、女子400mメドレー(西脇/渡部/中野/池江)で4分04秒73と、それぞれ首位を獲得。日本勢が表彰台のトップに輝いた。

また、女子50mバタフライでは池江璃花子(ルネサンス亀戸)が26秒71で日本中学新記録を樹立した。

日本人が表彰台を独占した男子100m平泳ぎ

大会2日目の28日、日本チームは5種目を制覇した。4人の選手が決勝に進んだ男子50mバタフライでは前日から好調だった川本武史が背泳ぎに続き優勝。日本人同士の戦いとなった男子100m平泳ぎでは、池下尊惇(大阪体育大学)が1分1秒24で、立石諒と押切雄大(日本大学)を抑えて優勝、3人で表彰台を独占した。

女子200m平泳ぎでは、渡部香生子が2分23秒03で優勝。今井月(本巣SS)も3位で表彰台に上った。リレー種目では、男女混合200mメドレー(川本/渡部/池江/川内)は、前日に続き1位。中学生のみで出場した女子800mフリー(持田/伊藤/牧野/池江)でも優勝を飾った。

若手選手の活躍が目立った最終日

大会最終日の3月1日、日本チームは6種目で首位。女子200m個人メドレーでは渡部香生子が2分10秒76で優勝した。同200mバタフライは中野未夢(アクシーひがし)が2分11秒39で優勝した。

男子200m平泳ぎは立石諒が2分12秒89で優勝。同100mバタフライは川本武史が52秒36で1位を獲得した。

この日は、中学生・高校生選手の活躍ぶりが目立った。中学生のみで組んだ女子400mフリー・リレー(池江/牧野/今井/持田)は3分43秒79の中学新記録で優勝。女子50m平泳ぎでは渡部香生子が31秒33で高校新記録、宮坂倖乃(コナミ北浦和)が31秒60で中学新記録と新記録ラッシュに沸いた。

インタビュー 活躍中の実力派選手たちに聞く
今大会には世界を舞台に活躍する日本のトップ・スイマーたちの姿もあった。ロンドン五輪の銅メダリスト立石諒とリオデジャネイロ五輪候補の渡部香生子に話を伺った。

 

「自分を信じて前進するのみ」

立石諒

――1週間前には東京でコナミ・オープン2015がありましたよね。試合が続きハード・スケジュールだと思いますが、今の調子はいかがですか?
 実は先日、右ひざを痛め今も腫れているため、まだペース感覚が鈍っていて本調子でないのですが、試合に出るからには全力でベストを尽くしたいと思っています。今回は若い選手がたくさん参加しているので、明るく前向きな彼らからパワーをもらっています。

 

――試合にはいつもどんな気持ちで臨まれているのですか?
「常に気持ちだけは誰にも負けない」と思って試合に臨みます。自分がこれまでやってきたことを全力で出し切り、あとは自分を信じて前進するのみですね。

 

――4月に行われる日本選手権(4月10~13日・東京辰巳国際水泳場で開催)をはじめ、来年にはリオデジャネイロ五輪なども控えていますが、今後の目標は?
 今年は世界水泳(ロシア・カザンで7月24日~8月9日に開催される世界水泳選手権)があるので、ぜひとも康介さん(北島康介)と代表入りして来年のリオ五輪に向けて全力を尽くすのみですね。もちろんメダルも狙っていきたいです。

 

――日々過酷なトレーニングで体力づくりに励まれているそうですね。体脂肪率はどれぐらいあるのですか?
 体脂肪率は現在8パーセントぐらい。試合が始まるとにすぐに痩せるので、一生懸命食べて体力をつけてはいるんですけどね。水泳選手で体脂肪率が10パーセントを切っているのは入江(陵介)選手と僕ぐらいじゃないですかね(笑)。

 

――なるほど、10パーセントはすごいですね。ところで、オーストラリアは過去にもいらっしゃっているそうですね。
 試合では今回が2回目です。プライベートでは幼少のころ1回旅行で来ています。2009年に試合で来た時は非常に良い結果が出たので、オーストラリアでは試合でもリラックスして臨めます。滞在中はあまり自由時間がないのですが、せっかくオーストラリアにいるのだから試合後にビーチでのんびりできたらいいですね。

 

――オーストラリア在住の立石選手のファンに向けて何かひと言お願いします。
 康介さんのようにオーストラリアのみならず世界中から応援されるような選手になりたい。そのためには、今後も良い記録が出せるようにしっかりと練習を頑張っていきたいと思っています。

立石諒(たていしりょう)プロフィル

1989年6月12日生まれ、神奈川県出身。2010年の競泳の日本選手権で、50m平泳ぎ・100m平泳ぎ・200m平泳ぎで3冠を達成し、ポスト北島康介として注目を集める。12年のロンドン五輪では男子200m平泳ぎで銅メダル獲得。


 

「狙うは表彰台の真ん中」

渡部香生子

――女子200m個人メドレーで優勝されましたね。今年の課題は何ですか?
 平泳ぎは今のところ順調に強化できていますが、個人メドレーは前半の2種目でほかの選手に追いつかれることもあるので、今年は個人メドレーを中心に強化を図っていく予定です。4月の日本選手権までに調子を整えていければいいですね。日本選手権ほどの大きな大会になると、実力のある選手がたくさん出てくるので、それなりに緊張しますが、自分の泳ぎに自信を持って取り組んでいきたいです。

 

――毎日試合が続きますが、体調やメンタル面はどうやって管理していますか?
 たくさんごはんを食べて体力をつけて体調を整えています。メンタル面は、結果が芳しくない時でもトレーニングだと思ってポジティブに考えています。

 

――オーストラリアは何度もいらっしゃっているそうですね。
 そうですね。NSW州オープンも今回で3回目、先月行われたBHPの試合で2回、パン・パシフィック水泳選手権で1回なので計6回です。試合でしか来たことがないのが残念ですが、オーストラリアのティム・タムが大好きなので、いつもお土産に買って帰るんです。今回もたくさん買うつもりです。

 

――では最後に、来年の五輪への抱負をお願いします。
 リオか東京五輪になるかは分からないですけど、最終的な大きな目標は「金メダル獲得」なので、それに向かって日々トレーニングを強化していきます。

渡部香生子(わたなべかなこ)プロフィル

1996年11月15日生まれ、東京都出身。4歳から水泳を始める。2012年にロンドン五輪初出場。昨年はジャパン・オープン100m平泳ぎで日本新記録を更新。女子競泳界の若きエースとして注目を集めている。今年4月から早稲田大学に進学予定。


インタビュー 今注目の若手選手を紹介
10代の活躍ぶりが目立った今大会。本紙はその中でも伸び盛りの若手選手、池江璃花子と矢島優也の2人に話を聞いた。

女子50mバタフライで日本中学新記録を樹立

池江璃花子

――女子50mバタフライで、見事日本中学新記録を更新されましたね。
 今大会では決勝に残ることを目標にしてきました。タイムは狙っていなかったのですが、隣で泳いでいた選手と0.07秒ぐらいしかタイムの差がなく「この人に勝てば決勝戦に残れる」と思い必死で泳いだら、中学新記録を達成しました。しかし大幅な記録更新ではなかったので、あまり嬉しさは感じませんでしたね。

 

――まだ中学2年生ですが、学校生活は楽しまれていますか?得意な科目は?水泳の練習をしていない時は、どんなことをされているのですか?
 友だちがいるから学校は楽しいです。得意な科目はやっぱり体育ですが、国語も好きです。オフの時は、友だちと遊ぶこともありますが、家でテレビを見たりしてのんびりすることが多いです。

 

――今年開催される世界水泳選手権をはじめ、来年にはリオ五輪などが控えていますが、今後の目標は?
 まずは世界水泳に向けて体力を強化したいです。バタフライをはじめフリーのリレー・メンバーに入れるようになりたい。最終ゴールはもちろん五輪で金メダルを狙うことです。

池江璃花子(いけえりかこ)プロフィル

2000年7月14日生まれ、東京都出身。江戸川区立小岩第4中学2年。兄と姉の影響で3歳10カ月から水泳を始める。昨年4月の日本選手権は50m自由形4位。今年1月の北島康介杯・東京都選手権では200m自由形に続き、100mバタフライでも中学生記録を樹立した競泳界のシンデレラ・ガール。


 

男子200mバタフライで自己ベスト更新

矢島優也

――今大会を通じての目標は?
 今回は身体のコンディションが万全ではなく海外という慣れない環境にも関わらず、200mバタフライで自己ベストが出たので、自信がつき心身ともに強くなった気がします。今大会を通じて自分が成長できるところを見つけて日本に帰国したいです。

 

――4月から大学生ですね。高校生活での一番の思い出は?
 高校生活はとても充実していました。ただ水泳三昧の毎日で、修学旅行も友達と行きたかったのに合宿が重なって行くことができなかったのが残念でした。でも、2月の最終登校日に、クラスメートがサプライズで色紙をくれたことは嬉しかったですね。4月からは明治大学への進学が決まっています。勉強が結構大変だと思うので、水泳と学業をしっかり両立していきたいです。

 

――1月にはパースでBHPビリトン4カ国対抗戦に参加されましたね。オーストラリアは今回で何回目ですか?
 BHPの大会で初めてオーストラリアに来て、今回は2回目。1月は憧れの入江陵介選手と同室だったので、緊張してあまり寝ることができなかった(笑)。オーストラリアでは時間があればサーフィンをやってみたいですね。

 

――今年はどのような年にしたいですか?
 世界水泳に出場することが自分の自信につながると思うので、それに向けて全力でトレーニングに挑みたいです。世界水泳や五輪選考会などの大きな大会では、ほかの大会とは一線を画すピリピリした雰囲気が漂うんです。その中にいても勝気でいられる強さ、どんな時でも自分の泳ぎができるようにメンタル面も強化していけたらと思います。今大会が終わったら、メキシコで高地トレーニングを行います。4月の日本選手権に向けて全力で頑張っていきたいです。

矢島優也(やじまゆうや)プロフィル

1996年7月14日生まれ、埼玉県出身。春日部共栄高校3年。専門はバタフライ。6歳のときに、体力づくりの一環で水泳を始める。昨シーズンは、初出場を果たした日本選手権で200mバタフライ7位。インターハイではバラフライ2冠を獲得。今年4月から明治大学商学部に進学予定。

大会PHOTO GALLERY
熱戦が繰り広げられた今大会では、日本チームが多数の試合でメダルを獲得。試合中は真剣なまなざしの選手たちも、プール・サイドでは満面の笑みを見せてくれた。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る