【着任インタビュー】草賀純男・駐オーストラリア特命全権大使

【着任インタビュー】駐オーストラリア特命全権大使 草賀純男氏
「日豪関係のさらなる深化に貢献したい」

今年4月7日、キャンベラの日本大使館に草賀純男駐オーストラリア特命全権大使が着任した。草賀大使はこれまでにアメリカ、カナダ、イギリス、タンザニアに赴任し、直近では在ニューヨーク総領事・大使を務めた。草賀大使がオーストラリアに赴任するのは今回が2回目となる。初めて赴任した1981年から30年以上の時を経て、再び同国に戻ってきた大使に、日豪関係の現状と展望などを中心に話を伺った。(聞き手:小副川晴香)


——1981年に書記官としてキャンベラの日本大使館に赴任されたそうですが、当時の公務内容を教えてください。

アメリカで行われた研修が終了した後、81年にキャンベラの日本大使館(広報文化班)に赴任しました。約半年後に政務班に異動になり83年までオーストラリアにいました。当時は駆け出しだったので、先輩の書記官や参事官、公使、大使など、実に大勢の方の指導を受けながら無我夢中で仕事をしました。また、さまざまな現場で通訳も行いましたが、専門用語が多くなかなか大変でした。

 

——草賀大使はこれまでにも多くの国に赴任されていますが、公務の中で印象に残っているものはありますか。また、これまで特に専門とされてきた分野は?

専門分野は経済です。これまで主要7カ国首脳会議(G7サミット)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(サミット)に携わってきました。G7は1979年の東京サミット、95年のハリファックス・サミット、APECは95年の大阪サミットが印象に残っています。

04~06年に財務省に出向し副財務官だった時代は、G20の出張でオーストラリアにも来ましたし、外務省経済局審議官を務めた06~08年の間には、交渉官としてオーストラリアやインドとの二国間経済連携協定交渉(EPA)を総括しました。

 

——約30年ぶりにオーストラリアに戻られて、以前と比べて一番変化したと感じるものは何ですか?

率直に感じるのは「日豪関係が格段に緊密化している」ということです。また、両国の関係の幅も広がっているように思います。これまで日豪両国は、日本がオーストラリアから資源エネルギーや食糧品などを輸入し、工業製品を輸出するという関係を過去何十年にもわたり続けてきました。しかし近年は、それらに加え、日本からの直接投資によるインフラ整備をはじめ、日本企業によるオーストラリア企業の買収が拡大するなどの動きが出ていることも大きな変化と言えます。また今後は、文化面においても非常に親しい関係に発展するのではないかと思っています。

 

——大使として、最大のミッションは何であるとお考えですか。

日豪関係の深化と拡大への貢献です。30年前と比べて、日本とオーストラリアを行き来する人の数は大幅に増加しました。これまで以上に「日本人とオーストラリア人が相互に認め合っている」ように感じますから、草の根レベルを含めたあらゆるレベルで「人間同士の相互理解、親交を深めたい」と考えています。日本とオーストラリアの間ではそれが成り立つと感じています。

 

——現在、日豪関係は経済協力関係の強化などで良い状況にある一方、調査捕鯨活動などの問題もたびたび話題に上っていますが、大使はどうお考えですか?

国と国との関係で、すべてが問題ないということはありません。両国の間で何らかの摩擦が生じた時、それを乗り越えるためには、お互いの信頼関係や普段からのコミュニケーションが大切です。それを元に両国の価値観や背後にある状況や歴史をよく理解しようと努め、尊重していくことが必要なのではないかと思います。

難しい課題に直面すればするほど、信頼関係があるかないかで結果は変わってきます。基盤となる信頼関係があれば、それを改善の方向に持っていくことも可能です。信頼関係がなかった場合、ちょっとしたことでも摩擦が拡大していくと思います。これは国同士のみならず人間関係においても言えることです。

 

——オーストラリアで楽しみにしていること、これから特に取り組んでいきたいことはありますか?

オーストラリア各地を周り、多くの方にお会いしながら、たくさんのことを学んで、吸収したいと考えています。オーストラリアの人のことを最大限理解していきたい。またその過程で、日本にとっても参考になるようなことを学びたいと思います。逆に、オーストラリアの人には、日本に対する理解をもっと深めていただき、大勢の方に日本を訪れてもらえれば嬉しいです。

 

——大使ご自身の性格についてお聞かせいただけますか。

慎重な面もありますし、せっかちな部分もあれば、粘り強いところもあります。自分ではざっくばらんだと思っていますので、できるだけ親しみやすいパーソナリティーでいたいです。

 

——最後になりましたが、オーストラリア在住の日本人に対してメッセージをお願いします。

在豪邦人は現在、約8万人ほどいらっしゃいます。日本大使館と総領事館は、在留邦人の安全を支援し、かつ日本企業に勤める皆様の仕事面から生活面に至るまで、あらゆる側面で後押しをしていきます。それが大使館、総領事館の館員が行う最も大事な職務だと考えています。もし、ご要望やご意見などがありましたら、日本大使館、もしくはシドニー、メルボルン、ブリスベン、パースにある日本総領事館にお知らせください。

また、在豪邦人の皆様で、まだ在留届を出されていない方は速やかに提出してください。メール・アドレスの登録も済ませておけば、いざという時の緊急連絡の受け取りが可能です。そして、ぜひ一度お近くの大使館もしくは総領事館を訪ねていただき、館長や館員と気軽に話をしていただければ幸いです。

 

——本日はありがとうございました。

【略歴】草賀純男(くさかすみお)
 1953年生まれ。中央大学法学部卒、米国ペンシルベニア州のスワスモア・カレッジで経済学位を取得。1999~2000年、米国ハーバード大学の国際問題研究所のフェローを務めた。
 78年に外務省に入省。財務省副財務官(04~06年)、外務省経済局審議官(06~08年)など外務省および財務省で経済関係の主要なポストに就任。これまでに、在ニューヨーク総領事(大使、13~15年)、外務省儀典長(大使、12~13年)、アフリカ審議官(大使、10~12年)などを務め、今年4月より現職。

 

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る