躍進のdoq(ドック)、東京進出! 特別対談(作野善教×矢村功)

特別対談

ついに東京進出

ーー躍進のドック、キーマンに話を聞く

毎年オーストラリアで開催される日本映画祭をはじめ、日本政府機関、地方自治体、日系企業のイベントやプロモーション事業など、2009年の開業以来数々のマーケティング事業を手掛け、成長を続ける在豪日系企業doqがこのたび東京オフィスを開設する運びとなった。社長には、かつてPC眼鏡の市場投入で躍進を果たした眼鏡ブランドJINSの立役者矢村功氏。東京オフィス開設の狙い、そして矢村信白羽の矢を立てた同社代表の作野善教の狙いはいかに。作野氏と矢村氏に話を聞いた。(取材=馬場一哉)

ーー開業以来、順調に業績を伸ばす中、8年目のこのタイミングで東京オフィスを開設した狙いはどこにあるのでしょう。

作野「ドックの事業を展開していくうちに、私たちの仕事は必ずしも日本とオーストラリアをつなぐだけではなくなってきました。例えばシドニーにいながら日本企業をイギリスやカナダ、インドネシア、マレーシアなどほかの国の市場とつなぐような仕事も増えてきたんです。そして今後どのように事業展開をしていくか考えた時に気付いたのが、やはり仕事の出どころは日本が多いということ。私が日本人経営者であることや『日本のいいものを世界の人に発見してもらいたい』という私たちの理念に寄るものだと思いますが、いずれにしても仕事の出どころの多い日本に僕たちのオフィスを構える必要があるなと感じたのです」

ーーなるほど。シドニーにいながら多国間をつないでこられたというのもマルチ・カルチャー国家ならではという気がしますね。

作野「そうですね。マルチ・カルチャーというのは消費者のインサイトを知るうえで非常に有益だなと思います。例えばこれを東京でやろうとすると単一民族で日本人ばかりなのでなかなか難しい。シドニーに拠点を構え、常にクロス・カルチャーに接しながらやっていけるのは大きいと思います。また、日本とは時差もあまりないのでオペレーションもしやすいです。シドニーと東京のオフィスは常時スカイプでつなげる状態にしようと考えていますが、両者に足場を置くことで発信の源に良い形でいられるのではないかと思っています」

ーー例えば自治体の仕事を引き受けるとすると先方担当は当然日本人になります。その際に難しいだろうなと推察するのは彼らが目指そうとしているものと正解が実はかけ離れているケースもあるのではないかということです。

作野「多々ありますね。日本市場、あるいはアジアでやったやり方をそのままオーストラリアに持ち込もうとしているケースもあります。市場ごとのマーケティング戦略というのは、そもそも自分たちの強みが何なのか? を十分に理解にした上で、各国の市場環境に基づいてきちんと作っていかなくちゃいけない。そんな中で各市場の文化的・社会的特性、消費者インサイト、メディア会社、ビジネスコミュニティとのつながりは私たちの強みかなと思います」

新卒時代に共有したカルチャー

ーー矢村さんはドックに4月に参画したそうですが、既存のドック・チームにスムーズに溶け込むことはできたのでしょうか。

矢村「想定以上にうまくいっていると思います。実は僕と作野はもともと日本でレオバーネット(現ビーコン・コミュニケーションズ株式会社)というアメリカの広告代理店で働いていました。新卒として同じ会社に入ったのですがそこで植え付けられたカルチャーを共有していることが大きいと思っています」

ーー代理店退職後も親交は深かったのですか。

矢村「作野に一緒にやろうと言われる前は実はさほどやり取りをしていませんでした。ですから何の違和感もなく合流できたのは、自分としてもびっくりしています」

作野「何年かに1回メッセージをやりとりするくらいの感じでしたね」

矢村「ちょうど僕がその代理店を退職してJINSというアイウエア・ブランドに転職したタイミングと作野がオーストラリアで企業活動を本格始動し始めたくらいのタイミングで『お互い頑張ろう』と話をしたのが6年前くらい前でした。それからはフェイスブックなどで何となくお互い近況は知っているという感じでした。やはり最初にカルチャーを共有するというのは大きいんだなと改めて思います」

ーーそれはうらやましい関係ですね。

作野「24時間稼働で体力的にも精神的も非常にきつい経験をその会社ではしました。そんな中、僕らはアイデア、企画力を武器に、さらにそこに行動をコミットメントさせるカルチャーを身に着けました。それを2人とも経験もしているし、血となり肉となっているということもあり、合流してすぐに矢村がトップ・スピードで動き出せたというのがあると思いますね。ちなみに彼が合流して2日目に僕、腕の骨を折って全身麻酔で手術をしたんですよ」

ーーうわ、それは大変でしたね。

作野「それもあって手術前に矢村にすべて意思決定を任せるというメールをチーム全員に送りました」

矢村「次の日から1日5時間のスカイプ地獄でした(笑)まあ少々乱暴ではあったけど何とかうまく回りました」

作野「そういったこともあってすぐにトップ・スピードで動けたというのもあったとは思うんです(笑)」

ーーなるほど。ところでそもそも矢村さんを日本オフィスの代表に選ばれた理由は何なのでしょう。

作野「外から見ていて彼が日本のブランドを世界に広げていくような仕事をすごく楽しみながらやっている感じを受けたんですね。全然違うことをやっているんだけど、たぶん目指しているものは同じだなという思いがずっとありました。そんな中、矢村がシドニーに3~4日くらい来たことがあったんです。その時は彼には何も言わなかったんです、うちに来ないかなというような話は。ただ、目指してることは一緒だなという再確認ができ、頃合いが来たら声をかけようという決心が付いたのです」

ーーその後、実際に今年それが実現したと。

矢村「相当悩みましたけどマーケティングという立場で日本初のグローバル・ブランドを作るというのは非常に面白そうだなと思い一緒にやろうと決意しました」

小さい会社だからできること

ーードック・ジャパンがいよいよ本格始動するわけですが今後の事業の展望をお聞かせください。

作野「事務所が1つ増えるわけですが、組織としては常に1つと考えています。組織図も日本とオーストラリアで分けず1つにしています。私と矢村がいて、その下にシドニーのスタッフがいて、ただたまたまいる場所が違うという感じです。大手の広告代理店だとよく現地法人である海外支社を作るんですよね。ただそうなると2つの組織が動いてしまう。2つのオペレーションとコスト・マネージメントをしなくてはならないんです。でも僕たちはそうではないシームレスな形でやっていこうと考えています。僕らは自分たちのことをマイクロ・グローバル・エージェンシーと位置付けていますが、小さい会社だからこそ出せる動き、ソリューション、カルチャーを武器にして世界を変えていくような大きなことをしていきたいなと思ってます」

ーーそれがシドニー、東京の2つにオフィスを構えることで可能になる。

作野「そうです。東京に拠点を持つことで日本企業のオーストラリア市場以外のマーケティングのご相談にものりやすく、また海外企業の日本でのマーケティング・サポートも可能になります」

矢村「また、日系企業に対して、グローバル化を想定した企業自体や、商品、サービスをいかにブランディングするか?といったソリューションも提供可能になります。この点に関しては日本の国内消費の成長が鈍化する中、今後は大企業のみならず、すべての企業においてますます重要度が増してくると考えています」

ーー各企業のグローバル化にマイクロ・グローバル・エージェンシーだからこそ力を貸せるわけですね。

矢村「ええ、グローバルって大きいイメージがあると思うんですけど、小さいものの集合体の方が、はるかに動きやすいというのを感じるんですよね。シームレスに動ける組織のほうが、今激変しているグローバル環境の中で進化をしていけるんじゃないかなと思います」

ーーたしかに今はスピード感が何より求められるしそういう時代に入っているのかもしれないですね。

作野「そうですね。その上で最適なソリューションを提供するためにはプロセスを楽しみながらしっかりプロの仕事をしていかねばと思っています」

ーー本日はありがとうございました。(6月1日、ドック・オフィスで)


作野善教(さくの・よしのり)
日本と世界をつなぐクロスカルチャー・マーケティング会社ドック、マネージング・ディレクター。日本のプロダクト・カルチャーの認知拡大、訪日促進に尽力している。

矢村功(やむら・こう)
JINS躍進の立役者としてメディアにも多数出演。J I NSを経てIT企業勤務後、ドック代表作野氏に声をかけられ、ドック・ジャパンのマネージング・ディレクターへと就任。

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