在メルボルン日本国総領事、松永一義氏着任インタビュー

在メルボルン日本国総領事、松永一義氏着任インタビュー

「ITを活用し、
オーストラリアと日本の地方、人びとの心を結びたい」

5月9日、在メルボルン日本国総領事館に松永一義総領事が新たに着任した。理工系のバックグラウンドを生かし、これまでに数々のイノベーションに取り組んできた新総領事に日豪関係の現状、今後の抱負を伺った。(インタビュー=メルボルン支局 大木和香)


―メルボルンの印象はいかがですか?

世界一住みやすい街と言われるだけあって「Convenient(便利)、Clean(きれい)、Comfortable(快適)」の3Cがそろっていますね。スポーツ、ショッピング、文化施設がまとまっていて便利ですし、街並みもきれいで人がフレンドリーで親切です。私にとってはそれがとても「Comfortable」です。

―外交官になったきっかけは何でしょうか?

5歳の時にナイジェリアの方に出会い、外国に憧れを抱いたことです。高校でハワイ留学を体験し、「ハンバーガー」という英語すら通じなかったことから、ビートルズの音楽を聴いて必死に英語を勉強しました。憧れの海外勤務もあり、IT関連の仕事も出来、それらを通じ社会貢献が出来るのではと外務省に入省しました。

―入省後は情報管理・通信の分野でご活躍されています。外務省とITはどのように通じているのでしょうか?

大学では人間工学を専攻しましたが、情報工学も人かコンピューターかの対象が違うだけで「どのようにしてシステムを最適に動かすか」ということは共通しています。外務省は200以上の在外公館があり、日本で1番のグローバルな組織です。本省と在外公館との通信、それに暗号をかけるなど、実は技術系を必要とする仕事が外務省にはたくさんあります。更に、外務省は「海外」という切り口であらゆることを扱います。漁業、在外公館の建設、文化交流など、実は国際関係の専門家だけでは外交は出来なくて、「ダイバーシティ(多様性)」を生かしたいろいろな専門分野の人が集まり成り立っています。

―今までの任務で印象的なことはありますか。

タイのバンコク市内で洪水が起きた時のことです。「どのようにして情報発信をし、邦人の安全を確保するか」が最大の課題でした。もっとリアル・タイムでビジュアルな情報が欲しいという要望に応えて、グーグル・マップをリンクした情報を大使館のツイッターから発信しました。邦人の皆様からもご協力を頂き、共有情報として活用して安全確保に努めました。これら全て予算をかけず、要望から数日間で迅速に対応出来たことはITをしてきて本当に良かったと思えた経験でした。

―日豪関係の現状について総領事のお考えをお聞かせください。また、その中で大使館はどのような役割を果たすべきと考えていますか。

オーストラリアから天然資源を輸入し、日本からは工業製品を輸出する関係が長く続きましたが、最近はアパレルなどが出店し、食の分野においてはラーメンやお茶など、日豪の関係が多分野に広がり深化しています。今後も日豪双方の良さをもっとアピール出来ると思います。特に多民族国家のオーストラリアから日本は学ぶ点が多いのではないでしょうか。日本は移民の受け入れも少なく人口減少問題を抱え、今後移民を受け入れる上でもオーストラリアの「多文化共生」から学ぶ点は非常に多いと思います。日豪を比べると対局な点がいくつかあり、季節、人口密度、人口の伸び率についても真逆です。私はこの「対極にあるところに価値がある」と言うことを両国の人びとに知って頂きたいし、そのための情報発信をこの領事館を通じて出来ればと思っています。

―メルボルン在任中のミッション、抱負をお聞かせください。

留学生、ワーキング・ホリデーの皆さんが普段から使っているソーシャル・ネットワーク・サービスを活用し、在留届・旅レジ登録の呼び掛け、安全情報の発信など、より多くの人に情報が行き渡るように取り組んでいきます。また、ITを活用する点では「テレビ電話」を使って日豪を結びたいと考えています。例えば、日本の伝統工芸品や食文化に興味のあるオーストラリア人と、日本の地方の作り手をテレビ電話を使ってつなぐことで、作り手の思いをオーストラリアの消費者に届けることが出来るのではないでしょうか。最終的にはバーチャルからリアルな交流につなげていければと思います。

―メルボルン任期中にプライベートで楽しみにしていることはありますか?

写真が趣味でタンザニアの任期中3年で3万枚以上撮りました。たくさんの風景や人々を撮り、ビジュアルでここの魅力を表現したいと思います。また、ゴルフやテニス、新たにクリケットにも挑戦してスポーツを通して地域の方々と交流していきたいです。

―日本人在住者の皆様に一言お願いします。

良好な日豪関係が更にいろいろな分野に深化しているのは、皆様1人ひとりの「思い」を持った活動が多様でより深い関係を構築しているからだと思います。総領事館としては今後も皆様が安全で安心して活動出来るように支援させて頂きます。また、私もこうして働いているのは若い時の海外経験があったからです。留学生、ワーキング・ホリデーの皆様は日本の財産です。3カ月以上滞在する方は、旅レジや在留届に登録して頂き、総領事館が発信する情報を見て安全に活動して頂きたいと思います。

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