出会いから婚姻・育児・離婚まで最新事情をお届け!国際結婚特集2018③

出会いから婚姻・育児・離婚まで最新事情をお届け!国際結婚特集2018

在豪日本人にとって身近であり、憧れる人も多いであろう「国際結婚」という幸せの形。ただ、出会いからゴールインまでの道のり、結婚後の家庭内の様子など、その実態は果たしてどのようなものなのか。共にオーストラリア人のご主人を持つ40代の主婦、NさんとEさんに国際結婚のリアルについて語ってもらった。(聞き手=山内亮治)

出会ってからゴールインまで

――ご主人とはどのように出会われましたか。

Nさん:前職の友人がソーシャル・テニスをしており、その集まりを通じて出会いました。テニスが終わると集まった皆でビールを飲むなどして楽しんでいたのですが、主人からは最初に出会って以降なかなか連絡がありませんでした。しかし、ある時、ディナーのお誘いの連絡を頂き、そこから関係が発展していきました。

 お付き合いを始めてから結婚するまでは約1年と早かったですね。というのも、向こうから「結婚したい」と押しが強かったんです。私は彼よりも6つも年齢が上で、当時はもうすぐ30代という年齢だったのですが、タイミングを考えるとこれもきっと縁かなと思いました。自分よりも年下の彼の決断の潔さと熱意に押され結婚を決めました。真面目な人柄も決め手でしたね。

Eさん:私も仕事上の知り合いを通じて、主人と出会いました。知り合ってからは、すぐに結婚まで向かったのではなく、長い間仲の良い友達の関係が続きました。その間、結婚を意識することは特にありませんでしたが、良い関係を築いていく中で、当時の日本人には珍しかった彼のある人柄に惹かれていきました。彼には、物欲があまり感じられなかったんです。物に欲を満たすことに熱狂する日本のバブルを経験した直後に来豪したのですが、当時の日本人には珍しかった性格に良い意味でのギャップを感じたことが、結婚のきっかけになった気がします。

――ご両親に彼を紹介し結婚を認めてもらう段階での難しさはありませんでしたか。

Nさん:その点の難しさはありました。学生ビザで来豪したのですが、両親は、私がオーストラリアでの勉強が終わったら日本に帰国し就職するものだとばかり思っていました。なので、オーストラリアで就職し、その上、彼と結婚すると知った時には「裏切られた」という気持ちだったそうで、彼との結婚をめぐってけんかもしました。ただ、私の年齢が30歳に近かったこともあり親としては反対しても仕方ないと思ったのか、最後は父が「結婚式に向けてちゃんと準備をしなさい」と言ってくれ、急いで挙式の準備を始めました。

Eさん:私の場合は、よく反対しなかったなと思うくらい両親からの反対はありませんでした。私の主人は日本語がほとんど話せなかったので、両親との距離を縮めることに難しさがありましたが、私が通訳として双方の間に入り関係作りを手伝いました。その際、あまりストレートに話し合うとお互い驚いてしまうかもしれなかったので、できるだけやんわりと棘のないように表現を変え双方に通訳をするといった工夫をしました。こうした私が彼らの間に入り関係をスムーズなものにすることは、今でもしています。

国際結婚夫婦の苦労、生活のポイント

――結婚生活が始まってから、嫁姑問題や家事、子育てなど何か大変なことはありましたか。

Nさん:大変さという点でまず思い付くのは、夫婦の間の会話があまり深くならないことです。

 例えば日本人同士の夫婦であれば「昔こういうことがあった」みたいな話ができて盛り上がると思うのですが、国際結婚の夫婦だとそれができないんです。あとは、食べ物の趣味が合わないことも大変だと感じました。日本ならではの味覚をおいしいねと共感しながら食べることができないことに寂しさを感じてしまいます。

Eさん:その2点は同感です。

――これまでの結婚生活を振り返ってみて、家庭内の最大の危機などありましたか。

Nさん:特に大きな危機はないのですが、察してもらえない、「こんなこと言いたくないな」という不満に気付いてもらえず、その上で優しい言葉もかけてもらえないことに寂しさを覚えてしまうことが、強いて言えば「危機」でしょうか。

 あとは、言い方がどうしても直接的になることが気になってしまいます。例えば悩み事を打ち明けても「そういうのって普通じゃない」みたいな返答で、気持ちへの共感の言葉をあまり得られない、コミュニケーションにおける微妙なツボみたいなものも理解してもらえないことが、国際結婚ならではの難しさかもしれません。

Eさん:オーストラリア人男性だから特にそうした気持ちを察することができないというわけではないですが、日本人男性と比べたらその傾向は強いと思いますね。結局オーストラリア人男性との間では「あいまいにする」ということが難しいんです。その「あいまいさ」への美徳を感じていないんです。

 一方で、日本人は「あいまいにすることへの美しさ」みたいなものを感じていますよね。相手を傷付けたくないから、微妙な距離感を保ったぼんやりとさせた言葉遣いをすることがあると思います。自分もそうした言葉遣いをよくします。あいまいな言葉遣いが多くなると相手が「何かぼんやりした言い方をしているな」と思っていることを感じ取れるのですが、私としてはその言葉違いの裏側にある意図を分かって欲しいと思い続けているんです。ただ、こちらでは「はっきり言ってナンボ」、言わなければ意見がないという捉え方をされてしまいます。夫婦関係だから空気を読んでもらえるのかと言われたら、そうではありません。

 こうしたコミュニケーション、日々のちょっとした不満にうまく対処できるかどうかが、円満な家庭とそうではない家庭の差になっているのかもしれませんね。そういう意味で言葉の問題はすごく大きい気がします。

――逆に国際結婚ならではのメリットのようなものを感じる場面はありますか。

Nさん:国際結婚のメリットとしては嫁姑問題があまり起こらないことが挙げられますね。基本的に姑は私が家庭ですることに特別大きな期待を寄せていませんし、夫婦喧嘩をしてお互いが離れていても、それについて特に干渉することはない印象です。

Eさん:これは、オーストラリアでは個人を中心に世界が成り立っていることが理由だと思います。教育・子育てにおいても、子どもが幼い時から1人の個人として認めてあげます。こうした個を尊重し大切にするという考えは、オーストラリア、特に白人において強い気がします。

Nさん:そういう個を大切にしていますから、姑も自分をそういう立場だとあまり認識していないため、うまく関係を築くことができればお互い友人同士のようになります。

Eさん:社会として個人を尊重する傾向が強いので、相手の両親は離婚しているけれどもお互いまた新たな恋愛を始めているなんてことも珍しくなかったりします。日本では家族会議にでもなりそうな人間関係の問題も「まあ、こんなもんでしょう」と個々の自由といった感じで扱われます。1人ひとりの人間が個人として独立するために、たとえ離婚したとしても姑と仲良くしているという女性は意外と多いんです。家族という集団より、個人間のつながりを大切にしています。

――国際結婚での生活を円滑に送る上で、個人のそうしたつながりをうまく作ることが重要ということですか。

Eさん:絶対にそうですね。たとえ言葉や食べ物で難しさを感じたとしても、個々でどう振る舞えるかが最終的には重要になると思います。

未来の国際結婚カップルへ

――国際結婚の良さを実感するのはどのような点においてですか。

Nさん:とにかく家事が楽なことです。主人は私がする家事に過度な期待はしていませんし、自分のことは自分でしますから。家事を優先させるがために、友人との外出を止められるということも基本的にはないですね。

Eさん:自分が日本人であるということを、深く理解できるようになったことでしょうか。国際結婚をしたことで日本という母国を他人の目を通して見るような感覚を得られました。日本の良さの理解だけでなく、日本人としてのアイデンティティーの認識は、外国に渡り国際結婚をしなければできなかったことかもしれません。

――先輩としての立場から今後国際結婚を考えているという人へアドバイスはありますか。

Nさん:特に日本の女性の場合は、よく気が利き、相手の立場に立って考えられる長所があると思います。そうした良さがあるということを忘れず、お付き合いの段階からパートナーのことをよく考え、良い2人の関係を築いてもらいたいと思います。

Eさん:コミュニケーションが、パートナーとの関係作りにおいてやはり大切になり、そのためのツールが言語です。英語に限らないかもしれませんが、時間が許す限り相手の母国語を学ぶ努力が必要ではないでしょうか。

 結婚するということは家族が増えるということですから、相手側の両親や親戚とコミュニケーションをうまく取るには言葉がとにかく重要な役割を果たします。どれだけ言葉を理解できているかによって、彼らとの親密さのレベルが変わってきます。言葉を学んでいるということが相手に伝わるだけでも、心の開き方が変わるので、言語の習得は時間を掛けるべきものになりますね。

Nさんプロフィル
日本で大学卒業後、2年間の社会人生活を経て、留学を目的に学生ビザで来豪。来豪後は旅行会社と航空会社で10年ほど勤務し、その間にソーシャル・テニスを通じご主人と出会い結婚。現在は学校・教育関係の仕事でパートして勤務

Eさんプロフィル
短期大学卒業後、英語学習を目的にワーキング・ホリデー制度を利用し来豪。その間、仕事上の知り合いを通じご主人に出会い結婚。結婚後、日本語教師、日系企業などで勤務を経て、現在はショップ店員として働く


2017年度国際学級スクール・キャプテンから、今年度スクール・キャプテンへの引継ぎ時の記念撮影。瑠菜さんは一番左
2017年度国際学級スクール・キャプテンから、今年度スクール・キャプテンへの引継ぎ時の記念撮影。瑠菜さんは一番左

「日本人学級」と「国際学級」を併設するシドニー日本人学校(Sydney Japanese International School)は長い歴史を持ち、充実の学習環境と高い学力を併せ持つことで高い評価を得ている。同校では、低学年の時期に日本語力の基礎を身に付け、高学年ではハイスクールへの進学へ備え国際学級に転籍するという選択をする国際結婚の家庭が増えているなど、優秀なバイリンガルを育成している。同校の国際学級(イヤー6)でスクール・キャプテンを務める、内田シェルダン瑠菜さんのご家族に話を伺った。

シドニー日本人学校では日本人学級の児童・生徒の約50%が永住者だという。家庭や課外活動では英語を話し、学校では日本語のカリキュラムを学ぶという選択をしている家庭が多いのだ。瑠菜さんは、イヤー1から日本人学級に在籍し、イヤー5で国際学級に転籍したそうだ。日本語と英語のネイティブとして両言語を流暢に話し、国際学級に転籍してからスクール・キャプテンに選ばれるなど、学校のリーダーとして活躍している。

――瑠菜さんが入学する以前(生後から幼児期)に、家庭や習い事で行っていたバイリンガル育児・教育があればお聞かせください。

彼女は日本で生まれ、4歳半まで日本で生活していました。2歳から4歳半までインターナショナル幼稚園に通園、4歳半でメルボルンに移りました。メルボルンの公立校でバイリンガル教育を進める「Huntingdale Primary School」に通い、同校では体育・音楽・図工が日本人教師の下、日本語で行われ(週5.5時間)、日本語の授業が週2.5時間ありました。その間は、公文の日本語とメルボルンの日本語補習校にも通っていました。

――7歳でシドニーに引っ越されてから、シドニー日本人学校の日本人学級1年生に入学されたと伺いました。日本人学級を選択した理由を教えてください。

メルボルンでは学校と補習校と公文とで大変だったので、日本語の習い事を全て辞める代わりに日本語の基礎をしっかり学べるように日本人学級を選択しました。我が家のバイリンガル育児では、常に英語と日本語のシャワーをバランス良く浴びさせる方法を選んでいます。日本にいる際は、インターナショナル幼稚園、オーストラリアにいる際は、日本語教育をしっかり実践している学校を選びました。

――瑠菜さんが日本人学級に入ったことでご家族が感じた気持ちをお聞かせください。

先生方によるきめ細やかな対応により、彼女の日本語力が向上したと思います。何よりも、学校で友達と話すことで生きた日本語を学び語彙力も増しました。また、日本人の友達が増え、日本のコミュニティーを体感することで話すことの楽しさ、日本への文化理解も深まったと思います。

そして、日本のカリキュラムの優れている点も実感しました。特に算数の基礎を徹底して学び、その上で応用力を付ける指導法や多くの画像や実験などを行う理科などはすばらしく、彼女の学力向上につながりました。

――瑠菜さんの弟の飛吾君も同校の日本人学級に通っていますが、瑠菜さんのバイリンガル教育法が成功しているので、同じ道を進んでいるということでしょうか。また、家庭ではどの言語を話されていますか。

瑠菜のバイリンガル教育法が上手くいっていると思うので、飛吾も国際学級キンディーに入学させ、イヤー1からは日本人学級を選択しました。それでも、現在、姉弟間では、若干英語が多めの日英両言語で会話をしていますので、日本語力を保つ大変さを実感しています。兄弟・姉妹間でも上の子が完全な英語話者になってしまうと、ますます家庭でのバイリンガル育児は大変になると思うので、我が家では日本語会話がある分助かっています。また、家庭での父子間は英語、母子間は日本語です。言葉の使い方がおかしい場合はその場で正しい言い方を教えるよう心掛けています。瑠菜が間に入って通訳することもあります。国際学級に移ってからは、英語力の方が強くなってきましたが日本語学習をあまり押し付けないように、楽しみながら日本語をキープしてもらえるよう心掛けています。

――国際学級に移ってからの、瑠菜さんのバイリンガル力にはどのような変化がありましたか。また、日本語力の維持はどうされてますか。

日本人学級でも、シドニー日本人学校ならではの毎日の英語学習や、ミックス・レッスンで常に英語は学習してきましたが、国際学級に移ってからは、やはり英語力の伸び(Reading、Writing、Verbal Communication)を感じます。国際学級でも1日1時限の日本語の授業はありますし、日本語を話す友達にも囲まれ恵まれた環境ですが、更なる日本語力維持のために、今は日本語土曜学校にも通わせています。

――瑠菜さんがバイリンガルに育って良かったのはどういった点ですか。

英語と日本語のどちらでも違和感なくコミュニケーションが取れることは、本人のバイリンガルとしての大きな自信につながっています。また、オーストラリアと日本両国の文化を理解することで、自分自身のアイデンティティーの確立にもつながっているのではないでしょうか。

――シドニー日本人学校のスクール・キャプテンとしてどのような経験をされていますか。また、同校でお薦めしたい点などありましたら教えてください。

2018年のスポーツ・デー。黄色いハチマキを巻き、エイサー・ダンスを中央で踊る瑠菜さん
2018年のスポーツ・デー。黄色いハチマキを巻き、エイサー・ダンスを中央で踊る瑠菜さん

シドニー日本人学校は、少人数クラスで先生との距離が近くとてもアットホームな環境です。先生もスタッフも友達もみんな優しくて、とても楽しく学校に通っているので大変感謝しています。たくさんの自然と広大な敷地で豊かな気持ちになれる環境も、子どもたちがおおらかに育つ助けになっていると思います。

スクール・キャプテンは、日本に関わる公式行事などに呼ばれる機会があるので、学校代表でいろいろな所に行くことができたのは、彼女にとって本当に良い経験になりました。大勢の前でスピーチをする機会が増えて自信も付いたのではないでしょうか。

日本人学級では日本語の基礎をしっかりと学べ、国際学級に移っても日本語の授業が毎日あり、日本のコミュニティーを感じながらNSW州カリキュラムが学べる点で、同校はバイリンガル教育にとても良い環境だと思っています。

――最後に、バイリンガル教育を志す国際結婚のご家庭にアドバイスがあればお願いします。

我が家では、子どもたちの「好き」や「楽しい」、「自信が持てた」という気持ちを大切にしながら状況に応じて、子どもにとって最適だと思う環境と方法を選択してきました。何が正解かは今でも分かりませんが、今後も見守りながら柔軟に対応していきたいと思っています。そして、子どもたちがバイリンガルとして自信を持ち成長する姿を見ながら応援していきたいと思います。

日本語学級と国際学級の両学級間での転籍が可能という点は、他では類をみない大きな利点である。また、来年度からは、英語が第一言語ではない児童に対するEAL/D(ESL)が導入されるという。シドニー日本人学校では、日本に帰国を考えていて、日本のカリキュラムに興味がある家庭、オーストラリア永住者だが、今後日本人学級でお子さんの日本語力や基礎学力を伸ばしたいなどさまざまなニーズを持つ人の日本人学級への体験入学が可能だ。現地校が休みの1月に授業を体験することもできる。詳しくは下記広告を参照。

シドニー日本人学校
■112 Booralie Road Terrey Hills NSW 2084 Australia
■Tel: 02-9450-1833
■Web: www.sjis.nsw.edu.auwww.facebook.com/SJISAU
■オープンデー予約フォーム:www.sjis.nsw.edu.au/ja/enrolment/open-days


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