新総領事着任インタビュー

在シドニー日本国総領事、高岡正人氏着任インタビュー
「人と人がつなぐ、日豪の信頼関係」

2月11日に着任した高岡正人新総領事に、着任後の感想、今後の日豪関係への想い。また、シドニーの前任地イラク・バグダッドで取り組んだ活動内容など話を伺った。インタビュー=市毛綾(編集部)

 

——15カ月のイラク・バグダッドでの特命全権大使の任期を終え、直接シドニーへ赴任されたとのことですが、オーストラリアの印象はいかがですか?

「スカッと抜けた空と美しい海、朝からたくさんの人が走り、スポーツをしている、とても活発な国という印象を着いた翌日から受けました。前任地のイラク・バグダッドでは、決して安全とは言えず要塞のようなところにいましたから、その環境の違いに驚きました。イラクの厳しい情勢の中、日本がどういう役割を果たしていくべきか、どういう関係を築いていけばいいのか、また、治安が悪い中、大使館の運営をどう行っていくか。寝ても覚めても仕事のことだけを考えていました。シドニーへ来て2週間経って(インタビューは2月28日に行った)、ようやく凝り固まった思いが徐々にほぐれてきたというのが正直な感想です」

 

——イラクでは、どういった活動をされていたのでしょう。

「2012年からの任期では、イラクでの日本の存在感を高めるための活動をしていました。70年代から80年代初め、イラクにとって日本はそれまでに培った信用、企業の技術力、経済力などの理由から存在感のある国でした。03年の戦争後もそれは続き、日本にとって歴史的な決定となった“自衛隊のイラク派遣”、また、その任務終了後も復興の支援、そして経済協力を続けています。日本もまた戦争から復興した国ということで信頼や尊敬の念を持っていただいているのだと思います。任期中は、政府の中枢・閣僚レベルの方とイラクと日本の関係のあり方について議論を重ねて、時として日本企業の方がイラクを訪問する際には、ビジネスを進めるための情報提供、イラク政府への働きかけなどを含め協力を行いました。企業の方が普通に活動するのが難しいイラクでは、経済面でも大使館の役割が大きかったですね。

思い出深いことといえば、文化交流の一環として、イラク国会のホールで日本の戦後の歴史を伝えるための写真展を実施したことです。とても多くの議員の方に参加いただき、イラク復興に向けた、1つの考え方のヒントを提示できたのではないかなと思います」

 

——日本人の在住者が多い都市として、世界第7位となるシドニーには、大分違った印象をお持ちだと思いますが、今後どのような活動を予定されていますか。

「今は、まずはシドニーについて知ることですね。シドニーには、既に大きな日本人のコミュニティーが存在します。先日、3団体(日本クラブ、日本商工会議所、日本人会)の皆さまとお話する機会があったのですが、日本の存在感を高めようとされている努力がすばらしく、それに対して支援したいという気持ちがより強くなりました。日本祭り、クリーン・アップ、カウラ70周年、それぞれにコミュニティーに貢献しようと行動されている。生け花の会にも参加し、この地の植物を使用した作品を鑑賞しました。生け花は日本が発祥地ですが、シドニ−の多文化の中で、日本的な香りをかもし出しながら融合していく、その文化的な進化が面白いと感じています。日本が存在感を示すため、それがどういう形であれ、私たちはそのサポートという役割を果たすことが大切だと認識しています。また、オーストラリアからの日本に対する好感度も非常に高く、NSW州だけでも姉妹都市が40都市に及びます。ネットワークを発展させ、支援していきたいですね」

 

——日本企業や経済面のサポートについてはどうお考えですか?

「国と国の結びつきの基本は“人”です。日本人が大勢いるというのは、より結びつきが強いということ。日系コミュニティーのサポートだけではなく、日本企業の支援は重要な仕事の1つと認識しています。日本企業は、日豪の経済発展に大きく貢献し、安定的で頼れる経済パートナーだと認識されています。現在は各企業の方から、どのような仕事をされているのか説明をいただいており、ビジネスを進める上で難しい問題、例えば鉱山の許認可手続きや環境団体との調整などについて聞いています。それらをオーストラリア側に伝えることで、日本企業にとって仕事のしやすい環境作りと日本企業の存在感を示していきたいですね。アジア太平洋地域という点で見ても、日豪関係は重要です。経済だけでなく、政治、安全保障、文化などの面でも、人と人との交流を通じて、信頼関係をしっかりと強く築いていきたいです」

 

——豪州在住の日本人の印象は?

「国柄が良いからか、にこやかに過ごしている印象があります。それぞれの方が、この国の暮らしを楽しんでいらっしゃいますね。オーストラリアの土地柄があるからこそ、個人の好みや考えに従って、働き、学んで生活することができているのではないでしょうか。皆さんが幸せに暮らされていることは何よりですし、私としてもその楽しいところを嗅ぎ付けていきたいと思います。一方で、安全面についても情報発信を続けていきます。そのためにも、在留届の提出をお願いしたいと思います」

 

——日本人のパワー溢れるシドニーをはじめ、オーストラリアで挑戦したいことはありますか?

「趣味は『トレッキング』です。山に登り写真を撮るのがとても好きで。日本に帰った際には、息抜きで立山連峰や剣岳にも登りましたよ。自然が好きだからオーストラリアはいいですね。オーストラリアの広大な自然も楽しんでみたいです」

イラクでの勤務について質問した際には表情が硬くなっていたが、終始笑顔で朗らかな印象を受けた。これからの手腕に期待したい。

在シドニー日本国総領事 高岡正人氏
●PROFILE
たかおまさと
兵庫県生まれ。東京大学教養学部教養学科( 国際関係論)卒。ハーバード大学ケネディー・スクールで修士号取得(公共政策)。1981年外務省に入省。近年は、外務省経済局参事官(2008年〜10年)、財務省国際局審議官(2010年〜12年)、在外では在インド大使館政務担当公使(2003年〜05年)、在英国大使館経済担当公使(2005年〜08年)などを歴任。前職は2012年から務めた駐イラク日本国特命全権大使。2014年2月、在シドニー日本国総領事として着任。
兵庫県生まれ。家族は夫人および子ども2人。

 

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