San-Ai社長 小山威氏インタビュー

San-Ai社長 小山威(たけし)氏インタビュー

シドニーで食品の総合卸売会社を経営する小山威氏。自身が飲食店経営時に感じた「仕入れに手の届かないところがある」という点に商機を見い出し、わずか3人でスタートさせた会社は18年目。年商10億円の企業へと成長させた。精力的に事業を広げ続ける小山氏に、今後の新たな取り組みについて話を伺った。

「特徴的な商品展開でより美味しい食品を届ける」

創業時の野菜から始まり、鶏卵、鶏肉、牛肉、米と多岐にわたる商品を展開。現在は、クライアントの要望に合わせ、野菜を扱う「アトランティス・ファーム」、肉を専門とする「ミート・インターナショナル」、テイク・アウェイの容器やレストラン用ナプキンなどを取り扱う「プラネット・パッケージング」の3社へと分社化し、進化を遂げてきた。これからの事業では、さらに養鶏業、魚の輸入と販売を計画しているという。

 

—今回、日本を訪れ、放し飼いを行う養鶏所への視察を行ったそうですね。


出荷前の鶏肉は、クライアントの要望により脂身を丁寧に切り落とされている

日本で放し飼いをしている鶏の卵は、やはり味がいいんですよね。現在San-Aiでも週200〜300ダースの卵販売を行っています。オーストラリアでは「フリー・レンジ」と言われるこの卵、日本人が作っているものもあるのですが市場に出るとすぐ売り切れるという人気の上に、入荷数も少ない。美味しい、品質にこだわった特殊性のある商品を増やしたいと思っていますので、今回は日本の株式会社オークリッチ(www.tamagotofo.com)へ伺い、その卵を育てる方法をオーストラリアで取り入れられないかと、放し飼い養鶏の現場を見てきました。山形と新潟のちょうど間の場所で、日本海側の気候の下、鶏にストレスを与えないで、草を食べさせることで美味しい鶏卵作りをしていらっしゃいます。健康の証だと言えますが、鶏の糞の臭いがしないことには驚きました。普通の鶏だと60%程度ですが、この会社だと80%が産卵するんです。この方法をオーストラリアで取り入れるべく、現在調整しているところです。

 

—どのような方法で、この飼育方法を確立するのでしょう。

日本の技術を学ぶためには人的交流が必須になりますし、試行錯誤もするでしょう。放し飼いですから、鶏同士がケンカしたり、ちょっと弱っていると攻撃したり、ストレスを与えないという状況を作るのが、なかなか難しいんですね。小屋を作り、雛から育てて卵ができるまで最短で6カ月程度はかかりますので、準備ができるまでに1年は必要になるかなと思っています。とはいえ、やはりオーストラリアのこの広大な土地を生かし、最初は1週間で60〜70ケース程度で2,500羽の飼育を目指したいです。

 

—また、魚についても取り扱いをスタートされると聞きました。

日本からの仕入れを検討しています。メインは本マグロです。クロアチアやスペインなどの生け簀で育てたヨーロッパからの冷凍ものの仕入れ状況確認、四国の養殖所への視察を行い、実際に味も確かめてきました。ヨーロッパから日本への輸入は商社を通じて行っているので安定した供給ができるし、オーストラリアから直接やり取りするより低価格で仕入れられることが分かりました。シドニーでも冬場はバチ・マグロ(ブルー・フィン)、キハダ・マグロが脂が乗っていて美味しいですよ。ただ春からは出荷が減りますから、その時期にこちらへ日本から輸入する予定です。トロの美味しさをオーストラリアでも楽しんでほしいですね。

 

—魚を美味しく届けるための工夫はありますか?


出荷前の商品が並ぶ倉庫。大型の冷蔵庫など、同施設の改装も検討している

最新の技術を搭載した特殊な冷凍庫がありまして、2社訪問してきました。日本では10年くらい前から開発しているそうで、特殊な電子機器で食材を振動させながら凍らせます。そうすると細胞が破壊されないまま凍らせることができ、結晶の粒をより小さくできるのです。こうして解凍した時にフレッシュなまま、冷凍前と見た目も味も遜色ないものを味わうことができます。実際に今回は、握りたての寿司をそのまま冷凍させ、そのあと解凍したものを食べてきたのですが、これがまったく変わらない。冷凍独特の匂いも、解凍時に溶け出る汁もない。日本の技術力の高さには驚くばかりです。まだ高価なのですが、今回の魚の販売開始に併せて、導入していきます。

 

—多方面にわたり拡大を続けられていくのですね。

そうですね。ですが、やはり「良いものを安く提供する」というのが弊社として心がけていることですから、皆さんに美味しい食材を届けれられるよう、独自の路線で新たなことに絶えずチャレンジしていきたいと思っています。私は、そのために突っ走るだけですよ。

笑顔で今後の展望を話してくれた小山氏。これから注目される養鶏業や魚の販売に加え、さらにオーストラリアの食文化を発展させていくための大きな夢も語ってくれた。これからのSan-Aiから目が離せない。

 

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