【新年恒例企画】回顧と展望2017/為替(谷村昌彦)

新年恒例企画 回顧と展望2017
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谷村昌彦
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三菱東京UFJ銀行オセアニア総支配人兼シドニー支店長 谷村昌彦

三菱東京UFJ銀行
オセアニア総支配人兼シドニー支店長

谷村昌彦

プロフィル◎1989年4月三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。ストラクチャード・ファイナンス部、アジア投資銀行部(香港)、アジアCIB部(シンガポール)、欧州CIB部(ロンドン)、トランザクションバンキング部などを経て、2016年10月より現職。東京大学、ニューヨーク大学ビジネス・スクール卒業。

豪ドル下落局面あるも底堅く推移

2016年は、想定外の事象に世界のマーケットが揺れた。それは英国国民投票におけるEU離脱決定(6月)であり、米大統領選挙におけるトランプ氏勝利(11月)である。この2つの事象に共通するのは、反グローバリズム、孤立主義である。また米国の金融政策の行方も大きな注目を浴びた。市場は年初時点で4回の利上げを期待していたが、結局最多でも1度となる可能性が高く、改めて超大国の金融政策運営の困難さを浮き彫りにした。16年は、グローバル・ベースで不確実性が大きく高まった年であったと言える。

豪州経済は、グローバル経済が不確実性を増す中にあって景気拡大が続いている。豪中銀は景気をサポートするため16年5月と8月に金融緩和を実施し、政策金利は史上最低水準となる1.5%に引き下げられた。資源価格は、石炭価格が12年前半レベルまで戻すなど底入れ感が強まっている。以下、16年の豪ドル相場を振り返りつつ、17年の相場動向を展望する。

16年、豪ドルの対米ドル相場は0.72ドル台後半で取引を開始した。年初から中国経済の先行き懸念から人民元が急激に値下がりしたため豪ドルも連れ安となり、年間最安値となる0.68ドル台前半を示現した。しかし豪中銀の四半期報告において経済見通しが改善されたこと、米FRBのイエレン議長が米ドル高を懸念する発言を行ったことから豪ドルは持ち直した。その後、景気加速を示す経済指標や商品価格反発を材料に上伸、米国の追加利上げ期待が後退したことも追い風となり、4月には年間最高値となる0.78ドル台前半まで上昇した。

5月には、物価指標が豪中銀のターゲットを大きく下回ったことから反落、豪中銀が0.25%の利下げを断行したことも嫌気され、豪ドルは0.71ドル台半ばまで値を崩した。しかし米国の経済指標が冴えず、追加利上げ期待が後退すると豪ドルは下げ止まり、英国国民投票におけるEU離脱決定の報に一時値を崩したものの底堅く推移した。年後半は方向感なく0.74~0.78ドルの保ち合い相場が継続した。しかし11月の米大統領選挙でトランプ氏が勝利すると対主要通貨で米ドル買いが殺到する中、豪ドルは一時レンジを下抜けたが、11月末現在0.74ドル近辺で推移している。

対円相場は年初87円台後半で寄り付き、ドル円主導の値動きに上値の重い値動きが続いた。英国国民投票におけるEU離脱決定の報にドル円が100円を割り込むと、豪ドル円相場は一時72円台半ばまで値を崩した。その後は膠着(こうちゃく)状態が続いたが、11月の米大統領選挙におけるトランプ氏勝利を受け11月末現在、84円台まで値を戻している。

17年は、米国の政局、財政政策、金融政策に大きく影響を受ける展開を予想する。米大統領選挙におけるトランプ氏勝利を受け、米ドル高、株高、長期金利の上昇が進行している。豪ドルについても対主要通貨での米ドル動向に左右される可能性が高く、特に年前半についてはトランプ氏の手腕に対する期待感も相まって一段の米ドル高/豪ドル安が進むと見る。一方で昨年同様に米国の追加利上げが期待通りに実行されない場合、豪ドルは買い戻されると見る。

豪州経済を俯瞰すれば、内需が底堅く推移していること、石炭や鉄鉱石など主要輸出資源価格が反発していること、財政・金融政策両面において景気をサポートする方策が取られていることから、本年も着実な景気拡大が持続すると予想する。また金利水準は引き下げられたとは言え、依然として先進国で見れば有意に金利水準は高く、海外投資家の直接投資を通じて豪ドル支援要因となろう。

一方で豪政府は財政健全化を進めており、施策進捗次第では最高位の豪格付けに悪影響を及ぼす可能性がある。また海外では独仏で重要な選挙が実施されるが、ポピュリズムが台頭する場合は、市場の混乱が予想されるため注意を要する。以上から懸念材料は残るものの豪ドルは総じて底堅く推移する可能性が高く、対ドル相場は当面0.68-0.78ドルで取引されると予想する。対円相場は、日豪金利差、両国の金融政策の方向性に着目すれば豪ドルが優位な状況は不変と見る。下落する場合でも75円近辺では旺盛な需要にサポートされると見られ、中期的には底堅く推移しよう。(16年11月30日時点)

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