【新年恒例企画】回顧と展望2017/会計・税務(菊井隆正)

新年恒例企画 回顧と展望2017
各分野をクリック▶▶▶ 連邦政局
ナオキ・マツモト・コンサルタンシー
松本直樹
日豪ビジネス
日本貿易振興機構(ジェトロ)
シドニー事務所長
平野修一
豪州経済
時事通信社シドニー特派員
新井佳文
為替
三菱東京UFJ銀行
オセアニア総支配人兼シドニー支店長
谷村昌彦
会計・税務
EY ジャパン・ビジネス・サービス
アジア太平洋地域統括/パートナー
菊井隆正

会計・税務

EYジャパン・ビジネス・サービスアジア太平洋地域統括/パートナー 菊井隆正

EY
ジャパン・ビジネス・サービス
アジア太平洋地域統括/パートナー

菊井隆正

プロフィル◎豪州国内で約20人の日本人スタッフを抱える世界4大会計事務所の1つEYのアジア・パシフィックおよびオセアニア地域日系企業担当部門代表。今年で在豪20年余り。常に監査、会計、税務から投資まで広範囲にわたる最新情報を提供することで、オセアニアで活躍する日系企業に貢献できるよう努めている。

着々と進む多国籍企業への課税強化

2016年は豪州にとって厳しいスタートだった。前年から下落基調だった鉄鉱石、石炭、原油など資源価格が落ち込み、1月にBHPはシェール・オイルとガス事業に対する減損100億豪ドルを計上、4月には鉄鋼大手のアリウムが破綻した。

産業界では家電販売大手ディック・スミスが多額の負債を抱え経営破綻し、同社の取引先から受け取ったリベートに対する会計処理の妥当性が問われた。7月の総選挙ではターンブル政権が下院の過半数を獲得し勝利したが、法案を通過させるのに必要な上院での過半数を獲得できず、政策の実現性が問われている。そのような中、年半ばから資源価格の急回復が再び経済成長をリードする傾向が続いている一方、トランプ氏の米大統領選勝利など不確実性が高まっており、不透明感が強い2017年となりそうだ。豪州における税務事情、会計、M&A・インフラにおいて16年を振り返ると共に17年の見通しについてコメントしたい。

税務

16年は豪州における税制改革への期待から始まったが、首相はGST改正を一時検討後、政治的プロセスに移行した途端にその考えを改めた。経済成長に加え財政赤字の縮小を掲げた5月発表の連邦予算案における主な税制改正には、段階的な法人税減税、退職年金基金に関する税制改革、そして多国籍企業による租税回避に対する取り組みの強化が含まれた。多国籍企業への課税強化を図るために、豪州税務当局(ATO)には更なる予算が割かれ、また、租税回避対策委員会が設置され、豪州はOECDの税源浸食と利益移転(BEPS)措置及び、豪州版迂回利益税(DPT)の導入段階に入った。豪州は、OECDの国別報告書のパッケージを採用し、17年以降より国別報告書、マスター・ファイル、及びローカル・ファイルのATOへの提出が義務付けられた。

加えて、15年暮れにATOが発表したグループ会社の全世界売上高が計1億豪ドル以上の事業者に対する一般目的財務諸表作成義務化が、16年7月1日以降に始まる課税年度から適用されるため多くの日系企業へ影響を与えると予想される。

なお連邦政府発表の27.5%への法人税減税については、17年またはそれ以降に中小企業を対象に開始予定である。

会計

16年1月にリース会計に関する新しい国際会計基準が公表されたのを受け、豪州でも同基準に準拠したAASB第16号「リース」が発行された。AASB第16号は、19年1月1日以降開始する事業年度から適用され、一定の条件を満たせば早期適用も認められる。この新基準は借手にほぼ全てのリース取引を貸借対照表上で資産及び負債として認識することを要求しており、多くの企業にとって重要な影響を及ぼすであろう。

M&A・インフラ

昨今の世界的な超低金利によって、より高い利益率を求めてOECDの中でも比較的高い成長率を維持している豪州市場に世界中から投資マネーが集まった。法規制の透明性が高いこと、またマージンが比較的高いことや豪ドル安も投資を支えた。売り手によるポートフォリオの見直しや、売却案件に対して複数の買い手がビッドする「売り手市場」であったことも資産の売却を促した。一方、NSW州政府の電力公社オースグリッドや牧場運営会社S・キッドマンによる中国企業への売却阻止が話題となり、政府は国益に反する案件にはストップをかける姿勢を見せた。

連邦・州政府ともインフラへの積極的投資が進んだ。背景には高い人口増加率による都市部の交通や老朽化した道路整備のインフラ・ニーズがある。また、高まる財政圧力や非中核的また老朽化した資産を売却し、その売却収入を新たな生産性の高い経済インフラに再投資する資産リサイクル・イニシアチブの下、ブラウンフィールド資産の民営化が幾つかあった。

また、再生可能エネルギー目標の改正法案が昨年上院を通過し、同制度に対する不確実性が取り除かれ、再生エネルギー分野にも資金が充てられた。これまで制度見直しにより再生エネルギーの大型プロジェクトに対する投資にブレーキがかかっていたが、20年の目標値達成に向けて新規の投資増加が期待される。

各分野をクリック▶▶▶ 連邦政局
ナオキ・マツモト・コンサルタンシー
松本直樹
日豪ビジネス
日本貿易振興機構(ジェトロ)
シドニー事務所長
平野修一
豪州経済
時事通信社シドニー特派員
新井佳文
為替
三菱東京UFJ銀行
オセアニア総支配人兼シドニー支店長
谷村昌彦
会計・税務
EY ジャパン・ビジネス・サービス
アジア太平洋地域統括/パートナー
菊井隆正

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る