第15回 「歯」

慣用表現英語でDo You Know ?

日本語の慣用表現
        どう言うの
英語で Do You Know ?
オーストラリア国立大学
アジア研究学部日本センター准教授 池田俊一

第15回 「歯」

 6月。日本の6月と言えば、梅雨を思い浮かべる人が多いが、8月と並んで祝日がない月でもある。しかし、意外と記念日は多く、6月10日の「時の記念日」などとともに、6月4日の「ム・シ」という語呂合わせによる「虫歯予防デー」がある。今回は、これにちなんで、「歯」にまつわる慣用表現をみてみよう。
例1 辛かったが、歯を食いしばって我慢した。
(It was certainly hard, but I persevered with clenched teeth [with all the strength I could muster] / I took it on the chin.)
「歯を食いしばる (set [clinch, grit] one’s teeth) 」という表現は、何か困難な状況に陥っても、何とか耐える様子を表す。
例 2 あいつは、いつも歯が浮くようなお世辞ばかり言って、上司に取り入ろうとしている。
(He always makes sycophantic remarks to his boss, and this sets my teeth on edge. /He attempts to ingratiate himself with his boss.)
「歯が浮く(set one’s teeth on edge) 」という表現は、もともと、酸っぱい果物や塩分などによって歯が沁みるような感覚を味わうことから、空々しいことを聞かされて、不快な気持ちになることを表す。
例 3 あの人は非常に幅広い知識の持ち主だから、あの人に対抗しようと何をしても歯が立たない。
(She is a person of a vast range of knowledge and no matter what I try to do to compete, I’m no match for her.)
「歯が立たない (too much for [me])」という表現は、もともとの何かが堅くて噛めないという意味から、明らかに力量の違う人に対しては、とても勝てないという意味を表す。
例 4 あの人は、いつも歯に衣を着せないから、煙たがられている。
(He never minces his words and calls spade a spade, so everyone is trying to avoid him.)
「歯に衣を着せない (not mincing matters; call spade a spade) 」という表現は、相手の感情などを無視して、思った通りのことをずけずけ言う様子で、日本社会では、嫌われたり、煙たがられたりすることが多い。
 今回は、理解するのに全く歯が立たない表現はなかったのでは?
(I’m sure there were no expressions too difficult to comprehend in this session, were there?)
■気になる表現、募集中 日本語の「気になる」慣用表現を池田先生が英語を交えて解説します。知りたい慣用表現がある方は、下記の宛先までメールしてください。ご応募お待ちしています。
Email: nichigopress@gmail.com
件名:日本語・池田先生係

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る