教育特集2017・オーストラリアの「子育て・習い事」最新事情(HSC)

2017年 オーストラリアの「子育て・習い事」最新事情

Q & A もっと知りたい「HSC」

日豪プレスでコラム「AUS 教育システムのしくみ」を隔月連載中の内野尚子先生に、HSC(Higher School Certificate)についての質問に回答を頂いた。子どもが小さいうちから気になる大学進学の準備や日本語教育の参考にしてみよう。

●HSCとは?

ハイ・スクール卒業後に行われるNSW州の大学入学統一試験です。あえて言うなら日本のセンター試験に相当し、TAFEや専門学校への進学を希望する生徒は受ける必要はありません。HSCはNSW州での呼び方で、他州ではVCE(VIC州)など、違う呼び方をします。

●受験資格は?

HSCを受験するためには、①オーストラリアまたはニュージーランド市民、②パーマネント・ビザ保持者、③留学生でイヤー12を履修した者、外国の高校を卒業した者、NCEA(NZ National Certificate of Education Achievement)レベル3保持者、の3つのうちいずれかの条件を満たしていることが求められます(①と②ではイヤー10の卒業試験終了証書/School Certificateが必要)。

●試験科目は?

イヤー11になる直前に12ユニット以上の科目を選んで履修し、イヤー12ではイヤー11で履修した選択科目のうち10ユニット以上をHSCの試験科目として選択します。自分の行きたい大学のコースが要求する科目を選択するわけですが、その際少なくとも2ユニット以上の英語必修を含む10ユニット以上(4科目以上)を選ばなければなりません。自分の目指す大学のコースがHSCのどの科目を必要としているかは、UAC(Universities Admission Centre)発行の雑誌(ニュース・エージェンシーで販売)で調べることができます。

選択科目はたくさんありますが、各ハイ・スクールに全ての科目があるわけではありません。自分のハイ・スクールに選択したい科目が無い場合は、TAFEやオープン・ハイスクールなどで取ることができますが、まずは学校の先生に相談しましょう。

また、HSCが日本のセンター試験と違うところは、試験当日の成績のみで判断されないことです。イヤー12の授業の課題や宿題、各ハイ・スクールでの試験、実習などの学内評価がHSCの結果に加味された「Australian Tertiary Admission Rank(ATAR)」と呼ばれる評価点によって、どこの大学に進学できるかが決まります。つまり、普段からしっかり勉強することが大切というわけです。

オーストラリアの大学は、実技試験が必要なものなどを除き、基本的に大学別の入学試験は実施していません。

●HSCと大学入学までの流れは?

大まかな流れは右表の通りです。更に詳しい情報や日程は、NSW州のBoard of Studiesウェブサイト(Web: www.boardofstudies.nsw.edu.au/yourhsc)、UACウェブサイト(Web: www.uac.edu.au)を参照してください。

●HSCの日本語科目は?

HSCで「日本語」を受験科目の1つとして選択する場合、必要とされる日本語能力は「お子さんがどのレベルを選択するか」にもよります。日本に何年住んで、何年生まで日本語で教える学校に通ったか、また家庭内の使用言語状況により、「Background」「Heritage」「Continuers(Extension)」の3つのレベルのうち、どれを受験できるかが変わります。

Backgroundレベルについては履修条件はありませんが、HeritageとContinuers(Extension)レベルの場合は履修条件があります。小学校4年生(10歳になる年)以降に日本語で教える小学校(インターナショナル・スクールは除く)に通っていた経験がある場合、Heritageレベルを履修することができず、Backgroundレベルを選択することになります。

Continuersレベルを履修する場合は、①小学校1年生以降に日本語で教える小学校に1年以上通っていたことがある、②日本に過去10年間のうち3年以上住んでいたことがある、③日本語のバックグラウンドを持つ者と教室外で継続的に日本語を使用している、という3つの条件のいずれかに「当てはまらないこと」が履修条件です。

それぞれの日本語レベルについては「Board of Studies Teaching and Educational Standards(BOSTES)」のサイト(Web: www.boardofstudies.nsw.edu.au)から「シラバス→HSC→J(Japanese)→レベル名(Heritage、Backgroundなど)」の順に選んで進んでいくと確認できます。各レベルごとに目的、対象者、コース内容、タスク、文法、文体、漢字リスト、過去問題などが掲載されています。また、HSC日本語対策委員会のウェブサイト(Web: www.hscjapanese.org.au)では上記のような情報を日本語で確認できます。

HSC大学入学までの流れ

時期 スケジュール
①イヤー10の終わり イヤー11(Preliminary HSC Course)での選択科目決定
②イヤー11の4学期 イヤー12の1学期目に相当。選択科目を決定
③イヤー12前半 小テスト(Mini Trial)実施(学校によるので要確認)
④同8〜9月 模擬試験(Trial Test)、UACへ志望コース提出(志望は9つまで)
⑤イヤー12の9月末 ハイ・スクール卒業
⑥同10月中旬〜11月中旬 HSC試験本番
⑦同12月中旬 HSC結果発表(ウェブサイト、SMS、Eメールで)
※NSW Student online (Web:
studentsonline.bostes.nsw.edu.au/go/results/getting_your_results/)にログインして確認できる。
⑧同12月末 ATAR(New Australian Tertiary Admission
Rank)発表。これはHSCの結果と学内評価を合わせて計算した総合的なランクで、0.00〜99.95まで0.05刻みで表示される。これにより大学合否を決定する。
⑨翌1月初旬 成績優秀者への大学コースからのオファー。オファーは1つのコースからのみで、それを受けなければ第2回目以降の新たなオファーを待つことになる。
⑩同1月中旬〜 Main Round Offer(第1回目の大学コースからのオファー)
⑪同1月末〜 Late Round Offer(第2回目の大学コースからのオファー)

◆◆◆セミナー情報◆◆◆
「子供をバイリンガルに育てる」
~親が出来ること~

子どもをバイリンガルに育てるためにできることをさまざまな角度から考える日本語セミナーが3月にシドニーで開催。パネリストと参加者のディスカッション形式で行われる。パネリストは内野尚子氏(言語にフォーカスした2歳からの学習教室「Universal KIDS」代表)、神代典子氏(カナダ育ちのバイリンガルで同時通訳者)。

■日時:3月25日(土)2PM〜5PM(受付:1:15PM〜1:50PM)■会場:University of Technology Sydney(UTS/235 Jones St., Ultimo)■料金:大人$20(付き添いの家族は無料)※当日までに要申込。定員になり次第締め切り ■問い合わせ・参加申込Email: secretary@hscjapanese.org.au ■Web: www.hscjapanese.org.au ■主催:HSC日本語対策委員会、協力:Faculty of Arts and Social Sciences、University of Technology Sydney(UTS)


内野尚子プロフィル◎
96年よりシドニー在住。11年間ローカルの幼児教育機関で教師「Authorized Supervisor」を務める。元日本語補習校代表兼教師。幼児から大人のための学習教室「Universal Kids」の代表。Universal KIDSやNPO日豪教育サポート・グループを通して、在豪日本人のための現地教育のシステムや、バイリンガルなどの教育の情報共有に努めている。
◎Web: www.universalkids.com.au(ユニバーサル・キッズ)、www.facebook.com/universalkids.com.au(同Facebookページ)、nichigopress.jp/category/ikuji/auskyoiku(日豪プレス連載コラム)


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