【QLD版】教育特集2016/就学前~大学進学

就学前から大学進学まで オーストラリアの教育制度をきちんと理解しよう!

現在オーストラリアで子育てをしている人なら、学校などの教育制度が日本と大きく違うことに戸惑う人もいるだろう。本特集では同国の教育システムを詳しく解説。しっかりと理解して、子どもの将来に備えてベストな環境を整えよう。取材・文:内藤タカヒコ、取材協力:斎木航(写真/ゴールドコースト留学.com)

教育制度の概要

連邦国家であるオーストラリアでは、教育制度は州ごとに異なっている。QLD州の大学入学までの教育制度は大きく4つに分かれる。①就学前教育(キンダーガーテン)。②準備教育(プレップ)。③初等教育(プライマリー・スクール)。④中等教育(セカンダリー・スクールまたはハイ・スクール)となっている(右図参照)。

日本のように学年が小中高と区切れず、初等教育のイヤー(Year)1から中等教育のイヤー12までの12年間を通して「イヤー○」という呼び方をし、義務教育期間はイヤー1から10まで。学期はタームと呼ばれ、1年4学期制で各タームの間にスクール・ホリデーが挟まれる。新学期は1月末から始まりその年の12月中旬までとなる。

基本的な就学年齢は、その年の6月30日までに4歳になる子どもがキンダーガーテンに、5歳になる子どもがプレップに入学できることになっている。もっとも、オーストラリアでは保護者が入学時期を決めることが可能な場合もあり、子どもの成長に合わせ、入学時期を早めたり遅らせたりすることができるのも特徴だ。

学校の種類と学ぶ内容

学校の種類は大きく州立校(ステート・スクールまたはパブリック・スクール)と私立校(インディペンデント・スクールまたはプライベート・スクール)の2つの形態に分かれている。

州立校で1,200校強、私立校とカトリック校などで約500校ある。州立校の場合は学区があり、生徒たちは自分が住む家の近くの学校に通う。

私立校には、男子校、女子校、宗教に基づく学校、バイリンガル教育を実施する学校、モンテッソーリ・メソッドやシュタイナー教育を取り入れた学校など、さまざまな特徴を打ち出している。

では州立校はどの学校も同じかと言うと、必ずしもそうでなく、スポーツや音楽が盛んだったり、IT教育を積極的に取り入れていたり、第2外国語でどの言語を学ぶのかなど各学校にそれぞれの特徴がある。このため人気のある州立校に子どもを入学させるため、学区内の住所へわざわざ引っ越しをする人もいる。

州立、私立を問わず、オープン・デーと呼ばれる学校説明会が年に複数回開催され、実際に校内の雰囲気や様子を知るのに役立つので、機会があれば積極的に参加しよう。

プレップでは、遊びを通して楽しい時間を過ごしつつ、読み書きや基礎的な計算能力を習得することを目指している。加えて、集団生活のルール、自己肯定感などが学べるような工夫がされている。

イヤー10までに、英語、算数・数学、理科、歴史、地理、芸術、保健体育、公民、技術、経済、外国語の授業が行われ、イヤー10を修了すると義務教育修了証が与えられる。

イヤー11とイヤー12の2年間は、シニア・イヤー(シニア)と呼ばれ、英語、数学、科学、歴史、地理の各分野に複数のコースが用意され、大学・専門学校への進学や就職に役立つ科目を自分で選ぶ選択制となっている。

イヤー12を修了すると、シニア・エデュケーション・プロファイル(SEP)が交付される。SEPには、シニア・ステートメント、QLD州高等学校教育修了証、QLD州個人成績証明証、OP(高等学校新卒学生順位)とFP(調整用評価)値の記載された大学入学許可証明書の4つの文書が含まれている。OPとFPは大学入学の際に必要なスコアだ。



もっと知りたい! オーストラリアの学校 のこと

Q:ビザの種類によって入学できる学校は変わるの?

A:基本的には変わらないが、オーストラリアの学校の入学枠は2種類あることを理解しておこう。
 州立、私立に関係なく、永住権保持者や保護者がビジネス・ビザを取得している人の子どもであれば、オーストラリア人と同じ条件で入学するローカル枠となり、公立校では学費が無料(ただし制服や遠足などのレクリエーション費用は負担する)。私立校に入学するにはオーストラリア人と同じ入学条件になる。
 これに対して子どもが学生ビザの場合や、保護者が学生ビザで子どもはその付帯者の場合(Dependent Student)はインターナショナル枠になり公立校でも学費が必要になる。また私立校ではローカル枠とは入学条件(ウェイティング・リストへの登録が不要など)が異なり、学費もローカル枠より多く必要になる。

Q:公立と私立は何が違うの?

A:公立校は学費が無料(インターナショナル枠の場合は必要)で近所にある学校へ通い、豪州政府やQLD州が定めた教育が実施される。私立校は学費が必要で、学校の設備が充実し、質の高い教育が行われ、全体の学力も高いと言われている。また教育方針に特徴があり、比較的富裕層の家庭が多いと言える。

Q:私立校に入学するには?

A:日本のような入学試験は存在しない。インターナショナル枠は、希望する学校の定員に空きがあり、受け入れ態勢が整っていれば入学できる。学校によって状況が違うので専門家もしくは子ども留学を扱うエージェントなどに相談してみよう。
 ローカル枠の場合は、まず入学希望者はウェイティング・リストへ登録しなければならない。このリストの上位からの順番によって一定の人数が入学できる。基本的に先着順でリストに登録されるため、人気校に入学するために、子どもが生まれてすぐに申し込むといったケースもある。
 またリストは常にアップデートされ、子どもの成績を考慮したり、特別な賞を受賞した時などでリストの上位へと入れ替わることになる。また既に兄弟が同じ学校に入学していれば、リストの優先順位は高くなる。

Q:公立校は学区外からでも入学できるの?

A:原則的にはできないが、入学時の住所から学区外へ引っ越した場合などは越境入学が許可されることもある。また音楽やスポーツが盛んな学校で、その分野が得意な子どもを特例として認めるケースもある。事情を説明したレターを求められたりするが、判断はすべて学校側が行うためきちんと確認しよう。

Q:通学の時間に送迎ができない時はどうすれば良いの?

A:低学年の子どもの場合、通学は保護者が付き添うのが基本。しかし仕事などで通学時間帯に送迎ができない人のために、始業前や放課後、学校の敷地内で子どもを安全に預かるビフォー・スクール・ケア、アフター・スクール・ケアというサービスが有料で提供されている。定員に空きがあれば利用できるが、満員の場合はウェイティング・リストへ登録し、順番を待つことになる。

Q:もし英語や勉強についていけなかったら?

A:英語を母国語としない生徒のためのESL(English as a Second Language)クラスが設けられていて、担任教師の判断でESLクラスを受講することがある。また、学年を下げることも認められているので、担任教師に相談してみよう。

Q:卒業後の進路は?

A:大学や専門学校へ進学する人もいれば、卒業後すぐに就職する人もいる。大学に入るには一部の大学や学部を除いて入試がなく、QLD州の場合はOP(Overall Position=高等学校新卒学生順位)という高校の成績が大きな判断材料になる。これは州が定めた科目を選択し、イヤー12にQLD州の統一テスト(QSCテスト)を受けた人に対し1~25までの数字で表される。

■参考情報
 英国の教育専門誌『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)』(電子版)のウェブサイトでオーストラリアと世界の大学ランキングが確認できる。
Web: www.timeshighereducation.com

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